モジュラー・ファッション
アドベントカレンダーの時期ですね.今年もFarmtory-labでのアドカレでやっていきます.
今日紹介するのは,モジュラー・ファッションです。モジュラー・ファッションとは,フェルトやアクリルなどの素材をベクター画像を元にレーザーカットで同一パーツを大量に切り出し(テッセレーション方式)、組み合わせ、アクセサリーや衣服などを生産するアプローチです.
従来工場生産として使われていたレーザーカッターや3Dプリンタなどのツールが一般家庭でも購入できる価格に近づいたことで,ここ数年でモジュラー・ファッションという概念が普及して来ました.日本には,あまり普及していないので,日本の服を作るメイカーにこの情報が届けばと思っています.
このアプローチをもとに,筆者が作成したモジュラー服が ↑ のものです.今日はこのモジュラー服を作る方法を紹介します.
モジュラー服の作成プロセス
1. 衣服の素材を選ぶ
2. ベクター画像を作る
3. ベクター画像をインポートして、レーザーカットする
4. トルソーを作る
5. モジュールを組み合わせる
というプロセスでモジュラー服を作成していきます。モジュラー服の作成にはレーザーカッターが必要なので、試しにFabCafe 等のファブスペースを利用するのがおすすめです。
1. 衣服の素材を選ぶ
今回は素材として100円ショップで簡単に手に入るフェルトを選びました。フェルト以外にもカシミヤ、革、不織布なども素材として利用してみると良いかもしれません。
2. ベクター画像を作る
素材を選んだら、次は素材をカットするためのデータ作りです。レーザーカッターでカットするには、ベクター画像(DXFやSVG形式)をレーザーカット専用のソフト(今回はFABOOL Desktop)に読み込ませる必要があります。
そのため、Adobe Illustrator、Valentina,AFFINITYなどの画像作成ソフトを使って、ベクター画像を作成する必要があります。
今回作成したモジュールは,EUNSUKらの論文を参考に作成したものです. e1, e2, e3のパーツのみを今回は使用しました.データはこちらから
3. ベクター画像をインポートして、レーザーカットする
今回は,レーザーカッターとしてFABOOL Laser CO2を使用しているため, ソフトウェア FABOOL Desktop に作成したベクター画像をインポートして,レーザーカットします.
今回は薄めのフェルトなので ↓ のように設定しました.
- Head Speed(レーザー照射部分のXY移動の速度):1000
- Laser Power (レーザーのパワー):15
- Times(カット回数):1
↓ はレーザーカッターを使って素材をカットしている様子です。
生地が燃えた時のために,念のため消火器を用意しておきましょう.FARMTORY-LABで共有しているレーザーカッターの注意点,素材ごとのパラメータも参考にしてみてください.
4. トルソーを作る
トルソーの製作に関しては,Carolinによるこちらの記事が大変参考になります.流れとしては,MakeHumanで人間の3Dモデルを作成し,Blenderなどで編集し,
それを ↑ のようにFusion 360のSlicerで2D画像の形式(SVG)に変換させ,その生成したSVG(ベクター画像)を使うというものです.どのソフトウェアも無料で使うことができます.
5. モジュールを組み合わせる
レーザーでカットしたモジュールを下の画像のように手で組み上げていきます.
ここまで来れば,レゴのように簡単に組み上げることができ,かつ組み上がったものを崩して新しい形に変形させることができ,自由自在に表現ができます.
各種ベクター画像データ: https://github.com/supertask/ModularFashionModules
まとめ
モジュラー・ファッションについて,Calorinによる Modular Fashion も大変参考になるので,ぜひ参考にしてみてください.
また,さらに詳しい説明や他のモジュラーについてFARMTORY-LABの技術書に載せているので,興味のある方はそちらもぜひ.
筆者のTwitterアカウントはこちら