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Nujabes - Sea of Cloud について

初めてのnoteということで、自己紹介や意気込みなどを書くのが定石なのかもしれませんが、あえて?行わずにふと書きたいと思ったことだけを気ままにつらつらと書いていくような日記や備忘録的なスタイルで始めてみようと思います!

拙い文章ですが、興味のある方は気軽に読んでいただけると幸いです。よろしくお願いいたします🙏

Nujabesが亡くなって11年...

この記事の投稿日2021年2月26日をもって、Nujabesが亡くなってから11年が経過したことになります。NujabesはJazzy HIP HOPや近年のLo-fi HIP HOPブームのルーツとも言われており、世界中から愛されているビートメイカー、プロデューサーです。Spotifyによると、Nujabesは2018年「海外で最も再生された国内アーティスト」3位にランクインしており、亡くなってから8年も経っているにも関わらず、今も尚世界中で高い人気を誇っていることがわかります。(ちなみにランキングの1位はONE OK ROCK、2位はRADWIMPS)

個人的にもNujabesは大好きで、彼の独特のサンプリングによって作られる音楽を聴くといつも感傷的な気持ちになります。彼の音楽は辛い時に慰めてくれるような優しさや、前向きな気持ちへと導いてくれるような強さを持っていると思います。

Nujabesや彼の音楽については色々話したいところもあるのですが、今回は特に彼の"Sea of Cloud"という曲について感じたことを備忘録的に書いていこうかなと思います。

Sea of Cloud という曲

"Sea of Cloud"は、Nujabes自身の2作目にして最後となってしまったアルバム"Modal Soul"の12番目に収録されている曲です。同アルバムは、人気曲"Feather", "Reflection Eternal", "Luv (sic.) Pt. 3"なども収録されており、全体を通してとても人気の高いアルバムとなっています。"Sea of Cloud"は先に挙げた人気曲と比べると人気度は若干下がりますが、個人的には大好きな曲です。

アルバムにおける前曲"Flowers"では花吹雪が舞うような晴々した情景を感じますが、"Sea of Cloud"では景色が一変し、ミステリアスな空気感が漂います。"Sea of Cloud"は日本語で「雲海」を意味しますが、曲全体の雰囲気は周りを雲に包まれているような不思議な感覚に、温かみのあるトランペットの音からは雲のような浮遊感、続くピアノの音からは遠くから照らす微かな日の光を感じさせられます。

個人的には↓こんな感じの景色を思い浮かべながら聞いています。笑

「サムライチャンプルー」の印象的なシーン

少し話は変わりますが、Nujabesと言えばアニメ「サムライチャンプルー」に楽曲を提供したことでも有名です。アニメ「サムライチャンプルー」は2004年に放送された深夜アニメで、特に海外からは高い人気を誇っています。この作品の舞台は江戸時代の日本で、時代劇×ヒップホップというなんとも独特なテーマを持っており、作中ではブレイクダンス的な殺陣やグラフィティなど多くのシーンでヒップホップカルチャーが散りばめられています。(ストーリーも面白くて楽しく全話観させてもらいました。笑)

Nujabesの音楽は、この作品のOP曲 (battlecry) ・ ED曲 (四季ノ歌) は勿論、ストーリー中でも沢山使われています。監督の渡辺信一郎氏がヒップホップカルチャーを好んでおり、当時流行り出していたジャジーヒップホップからNujabesに声を掛けたという経緯で楽曲提供が実現することとなったようです。また同氏は、本来映画音楽は映像を補佐する脇役として機能するものであるのに対して、この作品は音楽と映像が50:50で競い合うようにしたかったとも述べており、インパクトとクオリティの高い音楽を求めていたことも語っています。

個人的には実際にこの作品を観て、まさに映像と音楽が拮抗していると感じました。(何なら音楽に映像が負けてないか?くらい笑)Nujabesの音楽が持つノスタルジックな哀愁漂う雰囲気が作中のシーンや「サムライ」「時代劇」というような日本の文化と絶妙に結びついており、痺れました。また、今やアニメも日本が海外へと誇れる偉大な文化となっていることから、「アニメという日本文化」「サムライや時代劇という日本文化」「Nujabesをはじめとした日本人特有のメロディアスな音楽」の3要素が作品の肝となっており、これらが日本文化・日本人特有の感性を濃厚にわかりやすく表現しているのではないかなと思います。だからこそ、この作品は海外から高い人気を得ているのではないでしょうか。

前置きが非常に長くなりましたが、実はこのサムライチャンプルーでも第十七話「酔生夢死 ふた夢」のクライマックスで"Sea of Cloud"は使われています。このシーンは作品のいわゆる名シーンのうちの一つだと思っていて、登場人物の持つミステリアスな雰囲気と悲しい過去に曲が絶妙にマッチしています。このシーンを初めて観ていて"Sea of Cloud"が流れ始めた時は鳥肌が立ちました笑。個人的にはそのくらい強く印象に残っていて、以降に曲だけを単体で聴いた時にもたまにふと、このシーンを観た時の記憶が蘇って、曲をより楽しめるようになりました。普段観る他のアニメや映画の後ろで音楽が流れているシーンと比べても、映像と音楽がここまで強烈に結びつくことはほとんどありません。これは、サムライチャンプルーがまさに監督が言っていたような「音楽と映像が50:50で競い合う」作品であった結果がもたらしたものだと思います。(スポーツとかでも拮抗した良い試合は記憶に残りますよね)

ということで、自分の中では切っても切れないサムライチャンプルーのワンシーンと"Sea of Cloud"について書かせてもらいました。余談ですが、同作品の別の回ではNujabesの"Counting Stars"が使われているシーンもあり、そのシーンもとにかく最高です。また、制作の段階で最終話のラストシーンで"Luv (sic) Pt. 2"を使用するというアイデアがあったらしいのですが、「アニメに使ってしまうと、そのイメージがついてしまうから」という理由でNujabesが頑なに拒んだそうです笑。(なら、"Sea of Cloud"とか"Counting Stars"は本当に使って良かったのか...?🤔笑)やはり、それだけLuv (sic)シリーズには思い入れがあるのですね!

Chet Baker と Bill Evans からのサンプリング

また話は一転して、今度は曲を制作的な観点から見つめてみたいと思います。タイトルにも書いた通り、この曲のメインループでは以下の2曲がサンプリングされています。

・Chet Baker - What'll I Do

・Bill Evans - Symbiosis 2nd Movement (Largo - Andante - Maestro - Largo) Pt.1

"Sea of Cloud"では、Chet BakerのトランペットとBill Evansのピアノが使われていますが、どちらも大きくテンポやピッチを変えていないのにも関わらず、それぞれが別の曲からのサンプリングだとは思えないくらい絶妙にマッチしています。

ジャズの天才として、有名な Chet BakerとBill Evansですが、両者にはいくつかの共通点もあります。「白人であること」「ドラッグに依存していたこと」「同年の生まれであること」「悲しい最期」など。一方で、Chet Bakerは楽譜も読めないほど音楽の理論的な部分に疎かったのに対して、Bill Evansは幼い頃からしっかりと音楽教育を受けて育ったというような対照的な点もあります。また、生前2人は"CHET"というアルバムでも共演しています。(ジャズについては詳しくないため、この程度の簡単な紹介に留めておきます)

2人は80年代に亡くなってしまいましたが、2000年以降に形こそ全く異なるものの、Nujabesの手によって"Sea of Cloud"で彼らの音が交わるということには、ドラマチックでどこか感じるものがあります。個人的にはサンプリングの魅力にはこういう側面もあると思っていて、時間を超えて音が蘇ったり、交わったりするのはサンプリングという手法の醍醐味じゃないかなと考えています。

このような点から考えても、"Sea of Cloud"で既に亡くなってしまっていた2人を引き合わせたNujabesは偉大だと思います。そして、そのNujabesももういない... それでも彼の作った音楽やサンプリング元の曲は今も尚聴かれ続け、受け継がれていきます。

終わりに

長くなりましたが、"Sea of Cloud"という曲について現時点で色々思っていたことをまとめることができました。自分自身まだまだヒップホップや音楽について知らないことがとにかく沢山あるなと感じているので、もっと勉強して面白いことが話せるようになりたいなあと思っています。また、色々な曲を聴いたりして新たに思ったことなどがあれば、また適当にnoteにも書いていきたいなと思います。

最後に、要はこの記事で何を言いたかったのかというと...

Nujabes最高!🔥 Sea of Cloud最高!🔥

ということです!

Rest In Peace, Nujabes.

(This article was written by Silly Peach)

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