【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #52.0
僕は食井さんの気が変わらないうちにと、ポケットからスマートフォンを取り出し、ビギーの動画をセットしてレジの前に置いた。今日のビギーの動画だ。
小さな画面からビギーの動画が流れ始める。食井さんは腕を組み黙って画面を覗いていた。
食井さんがもしビギーのことを知っているならば、これまでのいきさつを話すべきなのかもしれないが、どうやら知らないようだ。音楽好き、ロック好きだからって誰もがイギーのビギーのことを知っているわけじゃない。
ドレラが期待と不安を滲ませながら、食井さんの姿