すぱのば

小説を書きたくて、あなたに見てほしくて、あなたに褒めてほしくて、あなたに認められたくて…

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小説を書きたくて、あなたに見てほしくて、あなたに褒めてほしくて、あなたに認められたくて、noteをはじめました。よろしくお願いします。

マガジン

  • 【小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット

    第二回小説(連載中)

  • 【小説】ウルトラ・フィードバック・グルーヴ(仮)

    第一回小説。

最近の記事

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #70

僕はドレラの言葉に少し照れながらも、彼女への感謝の気持ちを再確認した。駅に近づくにつれ家路を目指す人々とすれ違う回数が増える。その時僕は、突然、7月の暑さや、湿気、言わば夏を感じとった。 「ドレラ、これからもよろしくお願いします」と僕は再度確認するように言った。 「なんで畏まってるの。ふふ。はい、かしこまりました。ビギーが安心して過ごせるように、私も精一杯協力いたします」 駅に着くと同時に、駅員のアナウンスが聞こえ、電車がホームに入ってくる音が響いた。ドレラは少し慌てて

    • 【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #69

      ドレラはその後もケージや餌入れ、飲み水ボトルなどを熱心に見比べていた。僕もドレラと一緒に意見を交換しながら、ビギーにとって最適なものを僕らなりに見つけようとした。 「このケージ、広さも高さもあるし、ビギーが快適に過ごせるんじゃないかな」と僕が言うと、ドレラはうなずいて「そうだね、これならビギーも羽を広げて飛べるし、遊ぶスペースもあるね」と賛同してくれた。 ミキモト君も「確かに、このケージは理想的ですね。ビギーもきっと喜ぶでしょう」と付け加えた。 その後、餌のコーナーに移

      • 【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #68

        放課後、僕たちはペットショップに向かった。僕たちといってもミキオ君は部活のため、僕とドレラ二人きりという嬉しいシチュエーションだ。いや、そうなるはずだった。駅を降りた途端にミキモト君に声を掛けられ、首を突っ込みたがりの彼は、帰り道だし、店員だしと半ば言いくるめられる形で一緒に行くことになってしまった。ま、仕方がない。道中はミキモト君が今日あった授業の感想を熱く語っていたが、特に僕たちに刺さるような話はなかった。一応ミキモト君にもビギーの、キバタンのことを聞いてみたけれど、担当

        • 【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #67

          「そう、その続き。イギーから新しいメッセージが届いたんだ、それを見て欲しくて」 僕はイギーが映る画面をミキオ君に向けた。 「なるほど、通訳しろ、と」 「その通りです」 ドレラが割って入る。 「いいですけど、正確にできるかはわかりませんよ?」 「大丈夫だって」 「いや、そんな勝手に判断されても」 ドレラがミキオ君の脇腹に肘を入れる。じゃれ合う二人というかミキオ君に嫉妬しそうな自分が情けない。 「ま、やってみますね。お借りします」 ボリュームを上げてから、スマ

        【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #70

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        • 【小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット
          69本
        • 【小説】ウルトラ・フィードバック・グルーヴ(仮)
          56本

        記事

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #66

          朝、アラームが鳴る前に目が覚めた。夢の中での不思議な感覚が、なかなか振り払えない。枕元のスマートフォンを手に取り時間を確認する。と同時にドレラから通知が来ていることに気がつく。昨日の僕のメッセージに反応したものだった。期待していた通りの、早く知りたいという内容で、僕は満足した。それに対して、「学校でね」というシンプルなメッセージを添えて、彼女の返事を待った。 その間に、僕は顔を洗い、朝食を食べ、制服に着替え、学校に向かう準備をした。すると、靴下を履いているときに、スマートフ

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #66

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #65.0

          ミキオ君はキミオ君からビギーの件は聞いているらしく、僕たちがやろうとしていることを知っていた。むしろそのことにドレラが「なんで知ってるの?」と驚いていたのが可笑しかった。 おばちゃんが運んできてくれたラーメンを啜りながらスマートフォンをチェックした。その瞬間、箸をスープの中に落としてしまった。 「ちょっと、どうしたの」 「イギーから返事」 「うそ、なんてなんて?」 君なら画面をそのまま渡すところだけど、今日はミキオ君なので、自力で (ミキオ君も英語ができるかもしれ

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #65.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #64.0

          駅を降りてからぎこちない会話をいくつか交わして、家に着いた。妹は部活だし、母親は仕事だろう。おなじみのシチュエーションだが、最近出演者がいつもより一人多い。僕はふわふわとした緊張感に包まれながら、ドレラを案内し、お茶を出し、着替えてから自分の部屋に戻った。ドレラはその間特になにをするでもなく正座して待っていた。 僕は机の引き出しを漁り、通帳を見つけ出して、ドレラの横に座った。 通帳をテーブルの上に置くと、それを見てドレラは言った。 「キネン君はお金持ちになりたい?」

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #64.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #63.0

          何が起きたのかしばらく飲み込めなくて、世界が静止したみたいに動きを止めてしまった。ドレラも同じみたいだったけど、なんとか口を開いた。 「これ、信じていいのかな?こんなうまくいくかな?詐欺とかじゃないよね?」 「詐欺なら逆じゃない?口座を教えるからお金送れって」 「そっか、あれ、それじゃ僕たちの方が詐欺やってるみたいにみえない?」 キミオ君が間に入った。 「だからこそイギーは君たちを信じてるって言ったんだと思います。藁にもすがる思いで日本の高校生のことを信じたとも言える

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #63.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #62.1

          いつの間にか眠っていて、そのまま朝になっていたらしい。 重たい身体を起こし、いつものように支度をして、学校に向かった。 起きてから学校に向かう今まで、スマートフォンを何度も確認したが反応はなかった。 「キネンくん」 改札を出ると、ドレラとキミオ君が立っていた。 「お久しぶりです」 「そんな久しぶりじゃないでしょ」 ドレラが横でクスクス笑っているのを見て、気がついた。よくみたら楽器も持っているし、なんとなくだけど雰囲気も違う気がする。それはキミオ君に会った回数が多い

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #62.1

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #61.0

          「彼に気に入られたみたいですね。店の人間にもそんなことするの見たことがないです」 ビギーは急に静かになり、そして鳥籠の中でゆっくり羽を伸ばした。その様子を、ドレラと僕はじっと見守った。進展も質問もなさそうだとわかると、なにかあれば、といって再び店員は去っていった。 「ビギーは本当にすごいね」とドレラは言った。 「ビギーが自由を求めていることは伝わってきたよ。はやく彼を自由にしてあげて、イギーのもとへ返したい。鳥籠を開けて、放してあげたいくらい」 「それはさすがにまずい

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #61.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #60.0

          「元気そう・・だよね?」 痩せたり太ったりとかもなく、毛並みというか、羽のツヤもよく、生命のエネルギーのようなものを感じられる。もちろんキバタンの健康状態の目安とかなんてわかっていないけれど。 「うん、大丈夫そうな気がする」 彼女は微笑みながら指でそっと鳥籠を撫でた。僕も鳥籠に近づき、様子を伺った。 「ビギー、元気そうだね。君を救うために今頑張ってるところなんだ、もう少しだけ待ってて」 僕が話しかけると、ビギーは左右の足を交互に動かし、体を揺らした。その姿はまるで踊っ

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #60.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #59.0

          僕たちそれぞれ、短冊に書くことにして。何を書いたっけな」 思い出を辿りながら続ける。 「たしか僕は『世界一周したい』って書いた。当時、僕は世界の国々に興味を持ち始めて、いろんな国を訪れることが夢だったんだ。知ってる国なんてたかが知れてたけどね。でも、当時は、というか今もだけど家族で国内旅行したことがあっただけで海外なんて行ったことなかったから、世界一周旅行なんて考えただけでもワクワクしたんだ。」 「ちょっと意外。だけど、いい夢だね」と、彼女は笑顔で答える。 「それで、

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #59.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #58.0

           午後の授業は現代社会からだった。テーマは科学技術の発達と生命で「生命の尊厳」についての授業だった。重要ワードとしてSOLが黒板に黄色いチョークで書かれて、何の略か考えてみろと、頭頂部が薄くなっていて、銀色の細いフレームの眼鏡(心なしか斜めにずれ落ちている)の男性教員が生徒に向かって問いかけていた。  SOL、なんかの歌で「Suck Of Life」ってあった気がする。suckってどんな意味だろう。まぁ、ろくな意味ではなさそうで、到底答えではなさそうだけれど。考えているうちに

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #58.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #57.0

          さらに言えば、アルバイトをしてるわけでもないので、なにか策を考えなければならない。丁度よい提案といいながら、それすらもうまく叶えられない自分が情けない。そして、その策というのも昼食代を切り詰めるしかないとわかっているので尚更だ。 「じゃあ、契約成立ですね。謹んで依頼をお受けします。誠意を持って仕事に取り組みたいと思います」 そう言うと、キミオ君がおもむろに僕に近づいてきて、ドレラに聞こえないであろう小さな声で、僕に伝えてきた。 「星野さんのおかげで、家でもドレラが以前よ

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #57.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #56.0

          席に座り、一通り準備を終えてから、スマートフォンを取り出し、データを移動させておいた昨夜の文章をチェックした。ドレラに見られでもしたらなんだか恥ずかしいので、まだ来てなくて良かったのかもしれない。改めておかしなところはないか見返した。イギーはもとより、キミオ君に変な文章だと思われたくなかった。いちおう先輩だし、こんなもんかみたいにも思われたくない。三回最初から最後まで見返して、自分の中では大丈夫だと認識した。 それにしてもこんなに一生懸命文章を書いたのはいつ以来だろう、ひょ

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #56.0

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #55.0

          自宅に戻り、少し遅めの夕食を済ませた。部屋に戻って、PCの電源を入れ、 デヴィッド・ボウイについて少し調べた。食井さんが教えてくれたアルバムが相当に有名なアルバムであることもわかったし、イギーとの関係も多少なりとも理解できた。 何よりボウイさんの偉大さが、ネットサーフィンをしてるだけで分かりすぎるほどにわかった。多分それってすごいことなんだと思う。そして動画サイトの検索窓に「david bowie」と入力し、さらに「Moonage Daydream」も打ち込んだ。公式の音源

          【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #55.0