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「リメイク」を再考する

 今年は「リメイク」という単語を耳にする機会が非常に多かった。そう、2年ぶりのポケットモンスターシリーズ新作「ブリリアントダイヤモンド/シャイニングパール」によるものだ。残念ながら私は原作をプレイしたことがない(プラチナならちょっと)ので感動は薄いのだが、当時を懐かしむ青年から、恐らくサンムーンの発売頃に生まれた子どもたちまで、多くの人々が熱狂している光景を見ると、シリーズの人気ぶりが窺える。かくいう私の友人にも、初めて遊んだポケモンがハートゴールド(金銀リメイク)だという人もいる。

 さて、ここまでポケモンの話をしてきたことから私がポケモンのファンでいう事が分かったと思うのだが、私は界隈柄たくさんのリメイク論争、罵倒、称賛を目にしてきた。しかも面白いのが、この論争は作品毎に繰り返されている。どの世代でも起こりうるということだ。主に批判が集中しやすいのが、BGM、そしてストーリーの改変である。追加された内容がイマイチ、残念程度で済めばいいのだが、それが作品及びファンへの攻撃理由にまでなっている。私はオメガルビー・アルファサファイアというリメイク作品が大好きなのだが、未だにファンへの攻撃を続ける者がいるのだという。最初は悲しみの感情が大きかったが、次第にそれは興味へと変わっていった。何故人々はここまでリメイクに躍起になるのか、そしてリメイクとはどのような作品形態なのか、今一度調べ直したいと思ったのだ。

 まず、ゲームのリメイクとはどのような定義なのだろうか。以下はwikipediaからの引用である。

一口に「リメイク」といっても、比較的基本に忠実なリメイク作品もあれば(『ドラゴンクエスト』シリーズのリメイクなど)、オリジナルを大きく逸脱したリメイク作品もある(『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』や『ファイナルファンタジーIII』など)。

リメイクされる際、オリジナル版発売当時のグラフィック・難易度で再現されるとは限らず、グラフィックのブラッシュアップやムービーの追加、現在のゲームユーザー(特にライトユーザー)にアピールするために難易度を引き下げるなどの措置を施されることもある。

また、一つのシリーズ作品における初期の作品がリメイクされる場合には、現行の作品のシステムを組み込んでプレイの効率化を図っていたり、

...など、要約すると「デザインを新しくしただけのようなリメイクもあれば、ざっくり内容改変しちゃってる作品もあるし、システムを近代化してるのもあるよ」ということだ。原作に忠実なリメイクに近いのが今回のブリリアントダイヤモンド、逆に改変寄りがオメガルビーである。このリメイクの裁量は各社に任せられるもので、作品によって差異が存在するのは当然である。しかし、「あのころのホウエン地方をもう一度」という宣伝文句を引用してオメガルビーを批判するファンもいる。そもそも消費者である私達は、本来リメイクやリマスターの定義を把握してから批判するべきなのだ。さて、ここまででリメイクの定義について見てきた。では、類似の定義として何が考えられるだろうか。リマスターと復刻である。リマスターとは、古い作品の画素数や明度を調整し、現代の画面で遊びやすくしたものである。つまり、グラフィックや音楽を1から作り直すリメイクとはその本質が全く異なるのである。復刻とは、既に絶えた商品を、当時の型や技術と、それではどうにもならない部分を現代の技術で補って制作されるものである。こちらの方が逆にリメイクに近い。ブリリアントダイヤモンドのような原作に忠実なリメイクは、復刻作品としての側面も持っているように思う。

 上記の引用でも述べたように「ハードの絶版が原因で移植するくらいなら1から作ったほうがマシだ」と判断された作品もリメイクの対象となることがある。具体的には「スーパーマリオコレクション」である。これはSFC向けのソフトで、伝説のファミコン4作をマリオワールドのグラフィックでリメイクしたものである。アクションゲームは逆にリメイクしやすく、ストーリーの改変自体がほぼ存在しないので完成度の評価が高くなりやすい。

 一方、同人作品ではリメイクに積極的なサークルと消極的なサークルに二分されているように思える。同人は少人数、もしくは一人で作品を制作している超人が多く、それに飽きっぽさも兼ね備えているため、一作出したらストーリーは完結、としてしまう事も多い。東方Projectがその一例である。…「ハードやバージョン非対応が原因で移植するくらいなら1から作ったほうがマシだ」って作品、何作かありますよね…?(頼みます、私はピアノ調の上海紅茶館とグリアリが聴きたいんです、あと新ZUN絵のフランちゃんも…)

 既にシーズンを外してしまった欲望はさておき、リメイクと一言でいっても業界全体で見れば多種多様な形態があることをご理解いただけただろう。基本的にリメイクは、熱いファンからの声を拾って作られているケースが多い。リメイクを要望していないのなら巷の評判はガン無視でいいし、リメイクを熱望したのならば、先入観なしに楽しもうとしてみるべきだと私は思うのだ。

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