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北海道の廃線跡探訪 第55回 胆振線(3/6)久保内~北湯沢間


1.ごあいさつ

ご訪問ありがとうございます

北海道の廃線跡探訪第55回 胆振線伊達紋別だてもんべつ倶知安間くっちゃんその3 久保内くぼない北湯沢きたゆざわです。

この区間は、国道に転用されたところ、転用工事中のところ、遊歩道やサイクリングロードとなったところ、放置されたところなど、さまざまです。
一部には鉄橋も残っています

なお、これからの投稿予定路線などは、初回記事にありますので、そちらをご覧ください。

2.久保内~蟠渓ばんけい

1/5万地形図「虻田」 昭和28年修正に加筆

久保内を出ると国道とクロス、南側へ移った路盤には、赤いガーダーのレルコマ川橋梁(川名はレルコマベツ川)が残っており、並行する国道からよく見える。

①レルコマ川橋梁 2017年10月撮影

橋の写真を撮っていたら、近所の人が声をかけてきた。

なんでも、久保内発電所までの路盤を買い取り、2016(平成28)年自費で桜の木を植えたとのことで、その甲斐あって今では美しい桜並木になっている。

開業当時を知っているような年齢には見えなかったが、「(国鉄)胆振線」ではなく「胆振縦貫鉄道」が通っていたと語ってくれたのが印象的だった。

②みごとな桜並木となった路盤 2023年5月撮影
1/5万地形図「徳舜瞥山」 昭和43年編集に加筆

やがて両側から山地が迫ってくると、第4長流川橋梁で再び長流川を渡る。

このあたりから蟠渓までは、国道つけかえ工事の対象区間となり、新しい道路が胆振線跡を利用して建設中。

以前は、久保内方に第4長流川橋梁の橋台と斜面に最初の高い橋脚があり、川の中には、橋脚の基礎も残っていた。
2023年11月現在、橋台はすでになく、橋脚だけが真新しい道路橋の橋台の蔭に見えた

③第4長流川橋梁の橋脚 今後どうなるか 2023年11月撮影

対岸の蟠渓方も道路化工事が始まり、路盤は大きく改変されている。そのため、近年まで姿をとどめていた白水川橋梁も撤去され、新しい道路橋が架かっている。

④架け替えられた白水川の道路橋 2023年5月撮影
(タイトル写真は残っていた白水川橋梁 2017年10月撮影)

白水川を渡ると直角に北へ曲がり蟠渓に着く。

蟠渓はひなびた谷間の温泉街の南端に位置し、駅前広場から階段を上ると、なかなか凝った柵のある下りホームがあった

⑤まだ残っていたころの蟠渓の下りホーム 2010年10月撮影

しかし、道路化工事が進み、2023年11月には一部を除いてなくなっていた
黒い機器箱が奇蹟的に残り、上りホームの跡だろうか、古枕木の土留めがある。
いずれにしろ、あと少しで消え去る運命。

⑤蟠渓の上りホーム跡?と機器箱 2023年11月撮影

3.蟠渓~北湯沢きたゆざわ

1/5万地形図「徳舜瞥山」 昭和45年編集に加筆

蟠渓~優徳ゆうとく間は両側から山が迫り、長流川の渓谷を行く。

胆振線は蟠渓を出ると国道とクロス、すぐ優園川と第3長流川橋梁が連続していた。

踏切跡から北湯沢手前の優園架道橋までは国道転用工事が進められ2016年2月に開通している。

路盤は大幅に改築され、ウエンベツトンネルは撤去されるなど、鉄道時代の面影はほとんどない

ただ、道路横には胆振線時代の古いコンクリート擁壁が残り、消えかかった陶製の銘板がついていた。

⑥国道転用区間に残る擁壁 2017年10月撮影

北湯沢方手前で新国道は左に曲がり長流川を渡って元からの国道に合流するが、胆振線は直進し、第2長流川橋梁と優園架道橋を渡っていた。

廃止後もしばらくそのままだった鉄橋も、今は完全に撤去されているが、北湯沢方の堀割の先には優園トンネルがある
ポータルは金網で閉じられているが、反対側の明かりはよく見える。

⑦優園トンネルの蟠渓方ポータル 2023年5月撮影

長大トンネルこそないが、山間に大小の橋梁が連続するこの区間は胆振線のハイライトともいえ、一地方私鉄が建設した路線とはとても思えない。

内地私鉄唯一の自社発注D51形5輌の導入とともに、鉱石輸送の重要度がうかがえる。

国有化時に優園停留場から改称・昇格した北湯沢は、温泉ホテルの駐車場に変わっている。

ホテル入口の脇に傾きながらも建っている、駅跡を示す細い木柱が唯一の証だが、今ではほとんど字が読めなくなっている。

⑧朽ちつつある標柱「旧国鉄胆振線北湯沢駅跡地」 2023年11月撮影

ここから蟠渓方はバードウオッチングのための遊歩道となっていたが、2023年5月には入口にロープが張ってあった。

その手前には、鉄道当時の小さなIビームの鉄橋がそのまま利用されている。

遊歩道の途中には立派な落石止擁壁もあるが、大雨で土砂が流入したこともあり、維持管理は楽ではなさそうに思える。

⑨遊歩道にある落石防止擁壁 2010年10月撮影

遊歩道はトンネルまでは続いておらず、トンネル手前はヤブになっている。ところが、目を凝らすと、けもの道のような踏み分け道がある(ようにみえる)。
そこを行くと、優園トンネルに続くスノーシェッドが見え、内部には勾配標の支柱と思われる杭が横たわっていた。

⑩スノーシェッドの奥にある優園トンネルの北湯沢方ポータル 2017年10月撮影
⑩長流川対岸の国道から見たスノーシェッド 2017年10月撮影

今回はここまでです。

おしまいまで読んでくださり、ありがとうございました。

次回は北湯沢から御園みその向かいます。

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