アシェラレイ 漆黒を継ぐもの (6)

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   第  三  章

成星の儀式終え 任賜りし 琴座王女リエラの瞳


天の川が天頂に流れている。地球では伝統的七夕の頃だろうか。
琴座ベガ王妃の末娘リエラ王女が白鳥座デネブが運ぶ地球からの玉手箱を
待っていた。
「リエラ、待ち人かな?」と声がする。振り返ると
「こんにちは、アルゴーのおじ様。デネブを待っているのよ」
アルゴ座 南天の空に見える巨大な星座。(現在は4つに分解されている)
ギリシャ神話に登場する巨大な船の名前。ギリシャの英雄
「デネブ?そう言えば今日は60年に1度、地球に虹色の光が立つ時だな」
「えぇ、地球で傷ついた生命の遺伝子が再生の為に天の川に乗って運ばれてくるの。地球ではもう息絶えてしまった命なの。悲しいわ。
私が受け取って光の調べの癒しの空間に運んで行くの。
おじ様の船に乗せていってくださらない?」
「あぁ、良いよ。でも悲しいな。
地球の今の文明はリエラが創造したのだろう?
何故、息絶える生命があるのだろう?」
「えぇ、私もこの時期が来る度にとても悲しく辛い思いを感じるわ。
やはり、人間という生命は欲が芽生え暴走してしまうのね。
今回は前回文明崩壊をを考慮して琴座最高の科学者ニンフルサグと慎重に
遺伝子を選択して最善の人類を誕生させたのだけれど辛いわ。
このまま人類が暴走してしまうと地球が崩壊してしまう。
その前に何か対策を講じなければ」
「リエラは最大の努力をしているよ。まだ崩壊した訳ではないから悲観することはないよ。地球は虹の銀河を司る白の奏の宇宙船でもあるから余計に難しいのだろう。虹の銀河団星系での事象も地球に投影されてしまうからね。虹の銀河団星系にはこの天の川銀河よりも高度な文明を持つ象もあれば発祥間もない象もあるからね。でも、白の奏の役割を担えるということはそれだけ霊性の高い惑星でもあり、とても重要な生命体でもあると言える。
大丈夫だと信じて推移を見守っていこう。
地球にはリエラとコンタクトを取れる宇宙からの血筋があるのだろう?
人類発祥から地球を護り続けている筈だよ。
何と言ってもリエラが手塩にかけて生み出した最愛の地球だからね」
「えぇ、紀元前12000年頃琴座に隣接するヘラクレス座(跪くもの)イオタが北の北極として輝きりゅう座や蛇遣い座が見守る中、レムリアやムーの超古代文明の記憶を物質の性質が普遍に変わらず保護機能を持つ地球の金鉱脈に転写し、光の調べに奏上し水の泉から青い水を拝受し音の泉からはハーモニーの周波数を拝受して透き通るような美しさを融合する白い霊性を託したち地球という生命体の惑星を再創生したのよ。
但し、これらの調和が乱れ地球が自らの運命を決断し始めた時、地球の金鉱脈を守護していた地球核融合が起動し中性子星爆発同様の超強磁場を発生させマントル流動から世界各地の地殻変動を誘発する。
地球は地球並びに地球における生命体守護並びに地球記憶蘇生の為に金鉱脈断層を変動し地球調和周波数再生軌道に入る。
人類の存続は人類と時のアシェラレイ統帥の決断に委ねられることになる」



リエラ王女とアルゴーの会話を凪の様な清廉な気持ちで拝していたニンフルサグが過去文明を反芻しながら思い出していた。

「リエラ王女、今回のラミュア文明の人類はどの地域に発祥させましょうか?」ニンフルサグが尋ねた。
「この二つの大河に広がる葦原にしましょう。ニンフルサグなら私の意図を汲んで素晴らしい人類を生み出してくれるでしょう。過去文明の教訓を活かして臆することなく自由に思うがままに桃源郷の人類を描いてください。
母のベガ王妃から最高指揮官として琴座最高位アカデミア紋章を預かってきました。ベガ王妃も期待されています。私も楽しみにしています」
リエラ王女はニンフルサグの額に指先の光粒子で紋章と黄金花鈿を刻んだ。
「謹んで拝命を承ります」
ニンフルサグは両手を胸の前で組み深くカーテシーを取った。

ニンフルサグは科学アカデミア最奥の黄金の生命の樹を見つめていた。
生命の樹には天の川銀河の全ての生命の遺伝子情報と歴史を記憶した黄金の林檎が各惑星毎に実っている。
ニンフルサグは地球の林檎に光粒子を注ぎ過去文明の人類の遺伝子情報から「共生」をコンセプトとし僅かずつ変異を持たせた遺伝子を選択し7組の授精玉珠を生成した。
ニンフルサグはこの7組の中から紫微星の様に純紫の輝きを持つ一つの女神の玉珠にリエラ王女から授かった黄金花鈿をトレースし、自らのウテールスに包み込んだ。
「この純紫玉珠はリエラ王女と私を繋ぐアシェラレイとして萌芽の時期を私自身のエターナルエナジーを注ぎ慈しみながら育もう。
人類を守護する漆黒を継ぐものとして」

ニンフルサグはこの期間を桃源郷人類の構想や遺伝子の研究・太陽系星座ネットワーク会議等の多忙な日々をこなしながらも燦燦とした愛を描きながら純紫玉珠を育んだ
萌芽期を終え健やかに成長した純紫玉珠を携えながらニンフルサグはエメラルドの海が広がる琴座シェクリアに向かった。
シェクリアの宮殿には鮫族の精霊ライラがニンフルサグから預かった授精玉珠をリュウルリ貝のゆりかごで育んでいた。
「ニンフルサグ様のご到着です」妖精ミレが告げた。
「拝謁を賜ります」
「お立ちなさい。お楽になさってね。この度は大切な任を有難う。
順調に成長しているようですね。お礼を言います」
ニンフルサグはライラに礼を尽くした。
「有難うございます。皆健やかに成長なさっています。
私も安堵しております」
「本日は純紫玉珠も預けたく参りました。これから十月十日の器官形成期~誕生までの守護を宜しくお願い致します。このシェクリアの海の無垢の清らかさと柔らかな芽吹きの光そして、鮫族を始め海洋族の溢れる愛情によって玉珠達は健やかに成長することでしょう。リエラ王女も私も折に触れて見守りに参ります。宜しくお願い致します」
「畏まりました。シェクリアの私達全種族で成長を見守って参ります。
任を拝命し光栄でございます。深い愛情を以て尽くして参ります」
玉珠達は地球で生きる生命としての成長過程を健やかに過ごしている。
その様子をシェクリアの海洋民達は不思議を垣間見るように興味深く見守り愛おしんでいた。
「ライラさま、次のユナライン満潮時にご誕生の運びとなります。
お慶びを申し上げます」
「ミレ、報告を有難う。ご誕生の時が訪れたのですね。
待ちわびていました。任を拝命し重責を担い緊張の日々でしたが、いざご誕生となるとあっという間であり色々な感慨を覚えます。成長するに従って発揮された玉珠達の個性は時に笑いを誘い驚きの発見も多かったですね。何よりもその成長を見守ることは私達の喜びでありました。楽しくもあり私達に心の穏やかさをもたらし生命の神秘さ厳かさを拝しました。
感謝のお礼と共にリエラ王女とニンフルサグ最高司令に奏上をお願いします
きっとこの日を心待ちにされていたことでしょう。
そして、シェクリアの民達にも知らせご誕生を共に祝いましょう。
ミレにも多くの任を課してしまいました。本当に有り難う。
心からお礼を伝えます」
「とんでもないことでございます。ライラ様と共に玉珠様達のご誕生を見届けられることを嬉しく思います。早速、リエラ王女とニンフルサグ最高司令に拝謁を賜ります」ミレは科学アカデミアに向かった。

琴座から見えるユナ(月)は片割れ月であるが地球の満ち欠けと同様に周期ごとにライン上に星々が並び一際輝きを放つ時がある。
星々の祝福が降り注ぐユナライン満潮時、珠玉達が胎児の時期を過ごしていたウルリ貝のゆりかごが多くの海洋民が見守る中ライラによって海上に運ばれた。
リエラ王女・ニンフルサグ始めベガからの精霊たちもライアーを調弦するかの如く緊が漲っていた。
リエラ王女がとユナラインが一体となると佳宵の光陰が放たれ誕生の儀礼が始まった。
光陰が放たれたウルリ貝から生まれた生命をリエラ王女が一人一人抱きかかえ一組ごとに虹の色の徴を刻み白いチュールドレスを羽織り笹舟の様な可愛らしい白銀の舟に慈しむように優しく声を掛けながら乗せて行く。
純紫玉珠から生まれた生命には
「あなたがアシェラレイとなり私とニンフルサグを繋ぐ絆となるのね。
誕生を心から喜んでいますよ。健やかに成長されてね。有難う」と
頬をそっと撫でた。
「ご誕生を心からお慶び申し上げます」ニンフルサグの奏上を機に拍手と歓声が沸き起こった。
「皆様方のご尽力のお陰です。お礼を申し上げます。母君・ベガ王妃からの祝福のお言葉を伝えます。
「チグリス河・ユーフラテス河流域のメソポタミア地域を選びラミュア文明=地球ではシュメール文明と人類の誕生をします。
平和と安寧の未来を託します」

リエラ王女とニンフルサグは一人一人に名前を贈り琴座リエラ宮殿ミュアの間を設けで成長を見守った。
出来るだけ地球と同じ環境下で育つように、各々玉珠遺伝子に相応しい両親選び配した。天の川からはミルキー粒子を頂き母乳を生成し、離乳食には地球の作物から成長過程に合わせて味・形状等様々な食を楽しめるように工夫が施された。
3年を過ぎた頃には地球の環境に慣れるようにとシュメールの地にドームを作り遊んだり地球の動植物たちと触れ合いの時間を作っていった。
同時にリエラ城宮殿では宇宙の仕組みや地球の成り立ち、医療・技術のあらゆる知識を学んでいた。

15年の月日が流れた頃、珠玉達のコミュニティを人類として発祥させた。
 リエラ王女とニンフルサグはその人類にリエラ王女と繋がる遺伝子を持ち王の司祭・巫女としての役割を担うアシェラレイを密かに存在させた。
同時に地球のマリアナ海溝に神殿を造り黄金の生命の樹の叡智を担うユラクリスタルを蓮連に秘した。

アシェラレイは長い歴史を経て失われたイスラエルガ=ド族とア=シェル族の末裔と共に古代の日本に渡来した。
この集団が丹後国を構築することになってくのである。
ニンフルサグはシュメールの豊饒の女神としてリエラ王女と共に地球を守護している。


「デネブが着いたわ。デネブご苦労様でした。確かに受け取りました。
有難う、お礼を言いますね」
「リエラ王女、今、地球は環境破壊が進み幾つもの生命が絶滅し瀕死の状態です。どうかご助力をお願い致します」
「s統治しています。私も最善を尽くしますから88星座の星々にもご助力をに仰げるように伝令をお願いします」
「承知致しました。早速伝令致します」
「さぁ、リエラお乗り。急いで光の調べに玉手箱を届けよう。
帆座・羅針盤座・とも座・竜骨座も用意は出来ているよ。出発だ」
「はい。アルゴ=おじ様には古代地球で大洪水が起こった時もノアの箱舟を遣わせてくださって生命の種を護って頂いたわ。本当に有り難うございます」リエラはわし座のアルタイル王の息子カイル皇子と一緒に乗り込んだ。
カイル皇子もリエラ王女と共に地球を守護している。
アルゴーは天の川を上って行った。
虹の銀河団星系の扉に辿り着くとリエラが扉を開いた。
光の調べに繋がる螺旋階段が続いている。アルゴーは両翼を出して力強く羽ばたき始めた。

「青の象 おとめ座銀河群天の川銀河こと座王女リエラでございます。
地球の傷ついた生命遺伝子をお持ち致しました。拝謁を賜りたく存じます」
光のカーテンがふわりと舞い静かに開いた。
「リエラ王女ご苦労様でした。お預かりします。地球では多くの生命が絶滅の危機に瀕しているようですね。私もこのままでは地球自体の生命も終わってしまうのではないかと懸念しております。貴方が届けてくださった遺伝子は光の園で修復を行った後再び地球に生まれたり他の惑星で新たな環境を見つけ再びの生命が育まれています。
植物や動物や鉱石始め全ての存在は固有の周波数を持ちお互いの領域で交流し生命を営んでいます。その周波数のハーモニーが地球の生命を育んでいます。
何故、地球人類はその最も大切な摂理に気付かず自分達の欲望や栄華の為に自分たちの生命の源である他の生命を危機に追いやるのでしょうか?
何時から人類は他の生命の声や営みを感じられなくなったのでしょうか?
地球並びに全宇宙の存在は人類の在り方を観ているでしょう。
心しておくことが肝要です。
60年前に王女からお預かりした生命遺伝子の新しい芽が生まれています。
持ち帰って再び育んでくださいね。希望の種として笹舟に乗せて天の川に流し子供たちに届けても良いです。子供達はその波動を感じ新しい心を育んでいくでしょう。その心は新しい閃きや仕組みを産む原動力にもなるでしょう
未来の子供たちとなる星々に宿しても良いです。未来の人類は再び他の生命と意思を交わすことが出来るでしょう。様々な人類の病巣を修復する波動は全て地球の生命の波動に存在しています。共に手を繋ぐことです。
リエラ王女、どうか自然の摂理を伝え励み尽くされてください。
期待しています」光の調べの心から地球を慈しむ波音が伝わってくる。
「有難うございます。必ず、務めを尽くす所存でございます」
リエラは新しい萌芽の種を玉手箱に大切に納め光の調べを辞した。

 
光の調べには虹の銀河と同じ天空間の庭園が広がっている。
地球が属する青の象の天空間が光のドームに包まれている。
人類は「光は粒子か?波動か?」で物議を醸していた時代があったが、
『光は粒子であり波動であり生命を慈しむ根源である』
生命の源である光のドームの中にに惑星や星々のゆりかごがあり各々から持ち込まれた傷ついた生命体を修復している。リエラはこの波音の様な精妙でたんぽぽの綿毛の様に優しく暖かな庭園が大好きだ。
絶えることなく愛おしむ光が注がれている。
太陽はその光から誕生し生命を育んでいる。
光の調べは水と音が融合したスラトサラ精霊が見守っている。
地球の水もリエラが光の水の分子を運んだのである。その宇宙空間を旅した水のその軌跡が宇宙空間に残り、地球とも共振できるのである。人類が宇宙に郷愁を感じるのは自らの身体の水が記憶を持ち繋がっているからだろう。

「水の軌跡 地球共振し  自らの記憶 郷愁を想う
 水揺れし時 水溢れ 水沈み  水の鼓動は絶える」


リエラは琴座ベガ王妃の7番目の王女である。
幼い頃から天の川で過ごすことが日課であった。
星の砂を拾い集めたり、周りの星々や宇宙に咲いている花々達と楽しく楽器を奏でたりアルゴー船に乗って探検することが大好きだった。
一角獣座のペガサスの背中に乗って天の川銀河を駆け巡っていた。
ベガ王妃は温かく見守り、成星の儀を終えたリエラに地球創世の任を授けた


光の調べでは虹の銀河の各象を統べるエネルギー体が集まり宇宙情勢についてのミッションネットワークが行われる。
地球は青の象に属している。
太陽系は天の川銀河に属し 天の川銀河はおとめ座超銀河団に属し
おとめ座超銀河団はラニケニア超銀河団に属します
そして、ラニケニア超銀河団は更なる深遠な宇宙に内包されています

虹の銀河団星系には青の象より遥かに進んだ文明を持っている銀河系を持っている象もあればまだ生まれたての象も在り、宇宙の安定と安全な発展の為に様々な法則と仕組みを置いている。
それらの虹の銀河団星系の記憶の保存を現在は地球が担っている。
青の象から地球が選ばれた理由は美しい水を有しているということと、地球創世の任を好奇心旺盛で幼い頃から万物の生命を慈しみ、88星座唯一の音を奏でる琴座ベガ王妃の王女であるでリエラにという光の調べの希望でもあったからである。
故に一万年光年地球は白の奏でとしての責務を担うことになった。

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