マガジンのカバー画像

ファンタジー

16
空想のおもむくまま,自由に書いています。近くの公園のベンチに座ると何故だかアイデアが浮かびます。
運営しているクリエイター

#ナンセンス

モッツァレラチーズの恋

僕はモッツァレラチーズのアドリアーノ。 シェフのこだわりでイタリア直輸入だ。 なぜか、いつもトマトのひとみちゃんと一緒になる。 今日も前菜 カプレーゼで。 「このさわやかなトマトとモッツァレラチーズの組み合わせ、最高!!」 「2つの相性、抜群だね。ここのカプレーゼ大好き!」 そうお客さんが喜んでくれるんだ。  ところが最近、ひとみちゃんに元気がない。 「アドリアーノはいつも優しいけど、なんだかつまんなくなってきた 私は、刺激的な恋がしたいの」  僕はマイルドさが売りだから

ナメクジの恋

 なめすけには、好きな娘がいる。ねこのルナちゃんだ。大きくつぶらな ひとみでじーっと見つめたかと思うと、さっと視線をそらす。 そこが何とも魅力的。僕は一瞬でルナちゃんのとりこになった。  (もう一度会いたい)はやる気持ちで、3日かけてルナちゃんのところに想いを伝えに行った。  僕が意を決して 「付き合ってください」 と言うとルナちゃんは 「あなたのように粘っこくて重たい人は、嫌いなの」 とあっさり断られた。それは事実で、僕は返す言葉もなかったんだ。 「私はね、好きだと言

鉄筋コンクリートの恋① 現状認識

 仕事が終わり、自販機の前でほっと缶コーヒーを飲んでいると先輩が声を かけてきた。 「最近、調子はどう?」   「だんだん時代に取り残されていくって感じですよ。昔は耐震性と耐火性に優れているともてはやされた時もありましたっけ。でも今やー脱炭素の時代ー ハイブリッド木材や竹筋コンクリートも登場し、先はどうなる ですかね~」   「なんかお前の話を聞いていると、こっちまで気が滅入っちゃって かなわない。ところでおまえ、彼女いる?」 「俺、かっこよくないし、口下手だから、いない