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ファンタジー

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空想のおもむくまま,自由に書いています。近くの公園のベンチに座ると何故だかアイデアが浮かびます。
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2024年1月の記事一覧

#1 「ナチュなる坊や」の思い 不毛な夫婦の口喧嘩について

ぼくは はるま3才、みんなから「ナチュなる坊や」ってよばれているんだ。なぜって ぼくの話す言葉は、なぜか全部「ナチュなる」に変換されるから。 たぶん、パパやママがぼくの本当の言葉を聞いたら、腰を抜かすだろう.だって、ぼくは、3歳とは思えない洞察力をもっているから。 今朝のパパとママの会話だってそうだ。いつも同じことがぐるぐる回っているばかり。 今日はパパのお休み。ママはパパの大好きな唐揚げを入れたお弁当を作り、公園にみんなで出かけ、芝生でくつろごうと楽しみにしていた。

#2 「ナチュなる坊や」の思い ママがぎゅ〜っ!

今日はいつきちゃんのところに遊びに行った。家が近所で幼稚園が いっしょ。 ぼくのママが、いつきちゃんママに相談している。「うちのはるま、先週3歳になったのに、まだ『ナチュナル』しか、言葉が出ない。心配だから、どこかに相談した方がいいのかなあ」 「そうねえ〜。私は、はるまちゃんの『ナチュナル』には、いろいろな意味があるように思えてしかたがない。一回一回表情が違うし、言い方にも変化がある気がするんだよね。何よりはるまちゃんの笑顔は、まるで天使のようだから。今はこれでいいのかと

#3「ナチュなる坊や」の思い さみしげなおじいさん

金曜日の朝、ママと『ナチュなる坊や』こと、はるまくんは、近くの公園にお散歩へ。静かで、木々の多いその場所は、2人のお気に入りだ。 ゆっくり散歩に来たのに、たくやくんのママとばったり会った。この二人のおしゃべりは、ちょっとやそっとでは終わらない。いつもの決まりきったような話を聞いているのは退屈なので、ママから見えるところで、公園に来ている人のウォッチングを始めた。 向こうから走ってくる人は、何かの大会に出るのかな?鍛えられた身体で、ぼくの横を風のように通り抜けていった。

#4「ナチュなる坊や」の思い ママ友のランチ会

 はるくんのママは、同じ幼稚園のママ友のランチ会に参加している。2か月に1回の外でのランチは、日頃の家事から解放されて、いい気分転換になる。だが、今度の会場は、オープンしたホテルのお洒落なレストラン。それもなんとお値段 8,000円。  このランチ会、最近は値段が高すぎて、参加を続けることができるのかと、はるまママは正直、思っている。最近オープンした駅前のスーパーだったら、何日分も食材が買える金額だ。  場所の提案をすることの多いひろとママは、私たちとは金銭感覚が違うよう

僕にはむかし翼があった

 翔太はある病気がもとで、今は足がふらつき、どうしても前屈みで歩いてしまう。むかしは、スポーツも万能で、颯爽としていたのに……  どうしても伸びない背中を鏡にうつし、今朝も溜め息をついてしまった。  そんな翔太に対し、友人も周りの人達も優しく気遣ってくれる。 だけど僕が僕を許せないんだ。情けなくなってしまったことに。  自分でも本で調べたり、体操をしたり、工夫はしているんだ。 筋力アップもしているし、視線が大切だと聞けば、試しているし…… でも、どうしても変わらない。