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ファンタジー

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空想のおもむくまま,自由に書いています。近くの公園のベンチに座ると何故だかアイデアが浮かびます。
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2023年12月の記事一覧

鉄筋コンクリートの恋① 現状認識

 仕事が終わり、自販機の前でほっと缶コーヒーを飲んでいると先輩が声を かけてきた。 「最近、調子はどう?」   「だんだん時代に取り残されていくって感じですよ。昔は耐震性と耐火性に優れているともてはやされた時もありましたっけ。でも今やー脱炭素の時代ー ハイブリッド木材や竹筋コンクリートも登場し、先はどうなる ですかね~」   「なんかお前の話を聞いていると、こっちまで気が滅入っちゃって かなわない。ところでおまえ、彼女いる?」 「俺、かっこよくないし、口下手だから、いない

鉄筋コンクリートの恋② アクション

 向こうから歩いてくるあいつ。遠くてよく見えないけれど、感じが変わったことはわかる。 「先輩、一か月あっという間でしたよ。」 そういう彼は、髪形もすっきりして、別人のようになっている。 「おまえの印象がそこまで変わるとは、予想していなかったよ。」  あいつは照れて、頭に手をやりながら、  先輩が「他人の目から自分を見る」と言ったので、試しに 「すっきりする髪形、お任せで」と頼んだんです。  「よく似合っていて、目が印象的に見えるな」 今まではマッシュヘアで(柔らかい 抜け

喫茶 「マカチョーネ」〜今のあなた様にぴったりのお飲物を〜

#シロクマ文芸部  #ありがとう    カラン コロン。ドアベルが鳴って、1人の女性が入ってきた。 歳の頃は27、8歳といったところだろうか。長いストレートの髪、 端正な顔。寒さのためか、こわばった表情だ。  今朝は朝から北風が強く、通りの木立もほとんど葉を落としてしまった。 歩いてここまでくる間、さぞかし寒かったことだろう。  「いらっしゃいませ。この店は、お任せでお飲み物を提供いたします。 お客様は、こちらが初めてですよね。それでよろしいですか?」 「それは、知りま