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経験とは何か?

経験=実際に見たり、聞いたり、行ったりすることではない!

今回は、ビジネスにおける経験について、私の考えを述べてみます。経験というと、一般的には活動や出来事に関わることを指しますが、私が強調したいのは、それから得られる知識や技能の重要性です。つまり、ただ活動や出来事に関わるだけではなく、その中で得た知見やスキルが、実際の価値を生むのです。

私はビジネスにおける経験を、日々直面する様々な課題や問題に対する解決策のストックと捉えています。そして、そのストックの中から、必要な時に適切な解決策を迅速に引き出し、利用可能な状態に保つことが肝要だと考えています。

自らの経験を振り返ると、25年以上にわたりインターネット関連のビジネスに携わり、さまざまな事業展開に関わってきました。楽天やゲーム会社などの大手企業のマーケティングから、新規事業の立ち上げまで、幅広い経験を積んできました。その過程で、日々様々な課題や問題に直面し、PDCAサイクルを回しながら解決策を模索してきました。その結果、デジタルビジネスにおけるマーケティングの課題や問題に関しては、ほとんど未経験の状況はないと自負しています。

実際、最近の業務では、自社やチームで発生する課題の多くが、過去の経験から得た知識や類似事例に基づいて解決できることが多いと感じています。これは、経験が現在の業務において非常に役立つことを示しています。

最後に、報告や会議において瞬時にフィードバックを行う能力も、経験に大きく依存していると考えています。過去の経験が蓄積されることで、似たような状況に対する解決策を迅速に思いつくことができるようになります。これにより、長い時間をかけずに問題解決や意思決定が行えるようになります。

何故、同じ社会人歴がある人でも経験値に違いがあるのか?

経験は単純に時間の経過と比例するわけではありません。年齢が上がれば、社会人経験も増えますが、それが必ずしも私がここでいう経験の量と質を向上させるとは限りません。実際、多くの人が同意するでしょうが、長く仕事をしているからといって、自動的にパフォーマンスが向上するわけではありません。

では、なぜ長期間の経験が高いパフォーマンスにつながらない場合があるのでしょうか?私の見解では、それは日々の業務をただこなすのではなく、吟味し、分析し、成功パターンを抽出し、それを記憶に刻み込む積極的な姿勢の違いによるものだと考えています。

経験は、自らの血肉として育てるものだと私は思います。もちろん、ノートに記録して後で振り返る方法もありますが、優秀な人々は、報告を聞きながら過去のノートを見返してソリューションを引き出すような姿は滅多に見かけません。ほとんどの場合、彼らは自分の記憶から適切な解決策を引き出します。

経験値を増やす2つの方法論

経験を記憶に残すという点について、確かに日々の出来事や情報の全てを記憶することは不可能です。そこで、どの情報を記憶に留め、どの情報の優先順位を下げるのかを選択する方法について、私なりの考えを共有します。

まず、私が考える一つ目のパターンは、反復です。日々の業務で頻繁に遭遇する課題や問題は、重要度が高いため、一度良い解決策が見つかれば何度も利用される可能性があります。そのような解決策は自然と記憶の引き出しに優先して保存されると感じています。

二つ目は、インパクトの大きさです。一度発生した重大な課題や問題は、その影響やコストが大きいため、再度同じ経験を繰り返したくないという気持ちが強くなります。そのため、そのような課題に関連する解決策は、優先的に記憶に残ります(逆に、大成功のパターンも同様です)。

私自身を振り返ってみると、脳内に優先して利活用できるように残っている大部分の経験がこの2つのパターンで説明できるように思います。したがって、この分析が正しいとすれば、経験の引き出しを開く頻度を高めることが、経験の質と量を向上させる鍵であると考えます。

では、引き出しを開く頻度を高める実践法を考えてみましょう。私はここでも、日々の会議に対する取り組み姿勢が重要であると考えています。私の立場は、部下からの報告を受けることが多いため、毎回フィードバックをすることで経験の引き出しを頻繁に開くことができます。一方で、部下の報告をただ聞いている上司の立場では、引き出しを開く機会は少なくなります。つまり、まず多くの部下を抱える立場にいる人間は、真剣に会議に向き合う姿勢さえ持っていれば、本来であれば引き出しを開く頻度を格段にあげ、経験のストックに増やせる可能性を高めることが出来るはずです。

報告を受ける立場でない人にとっても同様です。例えば、チームの会議で他のメンバーの報告を聞きながら、その問題に対する解決策を考える習慣を身につけることで、経験の引き出しを増やすことができます。

私は自分の部下たちよりも、チーム内の課題に真剣に取り組んでいると自負しており、その結果、経験のストックが増え続けていると自信を持っています。また、たとえ現場のメンバーであったとして、工夫の仕方によっては前述のように経験値をほかの人より早くためていくことは出来るのです。同じ年数働いていても、日々なんとなく仕事をしている人と、貪欲に自分毎として自分だけでなく周りのメンバーの業務内容も吸収しようとする姿勢の違いにより、経験値に大きな差が出来てくるのです。

経験とは、日々の出来事や問題に対して真剣に取り組むことによって培われるものだと私は考えています。そのため、単に経験したことの量ではなく、その経験をどれだけ活かし、学び、成長につなげるかが重要です。これらの考え方や方法論は私のものであり、唯一の正しい方法ではないと理解していますが、自分の仕事のやり方を振り返り、効率的に経験を積んでいるかどうかを考えることは価値があると思います。



【この文章は以下の文章のライトバージョンです。より詳細な議論はこちらでご確認ください】



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