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その組織変更って本当に必要?

頻繁に組織変更がされる会社の悪循環

組織論の話が他のパートに比べるとやや簡略的に感じるかもしれませんが、そのご指摘は正しいです。私自身、経営者や経営に近い立場で長く働いてきましたが、組織論が好きな経営者、頻繁に組織変更をしたがる経営者に優秀な経営者は少ないと感じています。私の経験から言うと、組織の骨格を一度決めたら、それを安定させることが重要だと考えています。実際、私がマネジメントした部署では、組織の骨格を一度も変更する必要がありませんでした。

一方で、事業が上手くいかない場合、組織や人事を頻繁に変更しようとする経営者がいます。私が見てきた事例から考えると、そのような経営者の共通点は、自社の事業を深く理解していないことです。事業が上手くいかないと、事業責任者を頻繁に変更する人事異動が行われることがあります。最初は事業部内から昇進した人材が配置されますが、数年経つと他の部門からの異動者が事業責任者に就任することがあります。しかし、事業のパフォーマンスは改善せず、事業責任者の交代が続きます。

このような状況では、事業部長の在籍期間が短すぎて、事業部の実情を把握することが難しくなります。そのため、問題の解決策を見出すことが困難になります。このため、現場のメンバーに問題点の説明と解決方法を聞くことになりますが、そもそも現場が正しい問題把握や解決策を理解していれば、その事業は長期的に低迷していないはずです。

では、そのような時に事業責任者ができることは何であろうか?上司にパフォーマンスが上がらない説明しようにも部下の受け売りプラスアルファくらいの事しか言えない。そもそも、自分でも原因がわからないのであるから、それしかしようがない。ただし、何もしないわけにも行かない。どうしよう。。。という状況に陥るわけです。その時に出来るソリューションとは何でしょうか?

組織変更と人事異動って経営している気分になれるお手軽手法

そのような状況において、組織改編や人事異動は、経営者にとって簡単な解決策のように見えてしまうのです。なぜなら、これらの変更は自らの配下でほぼ完全にコントロールできるからです。また、変更前後の問題点と改善点をそれっぽく説明することも容易です。その結果、経営者は自ら経営をしているという気分に浸ることが出来、周囲からもそのように見られることが出来るかもしれません。

しかし、私の経験から言うと、事業や組織がうまくいかないとき、本質的な問題は組織の部署の分け方に起因することは稀です。組織は常にメリットとデメリットが共存するため、単純にBeforeとAfterを比較してBeforeの悪い点を列挙し、Afterの良い点をアピールしてもそれは問題の解決になっていないことが多いです。なぜなら、ここまでの議論を読んでもらえばわかると思いますが、大抵の場合、トレードオフでAfterの組織形態ではBeforeのメリットが失われるからです。

さらに問題なのは、組織変更だけでなく、人事で人を入れ替えようとするパターンです。人事は経営者のコントロール下にあることが多いですが、その人が本当に問題の原因なのか、それ以外の要因があるのかを正確に判断できていなければ、マネジメントとして正しいソリューションになっていないからです。。

私は、事業がうまくいかなくなった場合、問題の原因を理解することが非常に難しいと考えています。特に事業規模が大きくなると、問題の原因を見つけるのがさらに難しくなります。そうなると、組織変更や人事異動のような簡単な解決策を求める傾向があります。しかし、少なくてもマネジメント層にいる人間は、その配下の人材よりも高い報酬を受け取り、高いクオリティの仕事を求められているのですから、自分にとって一番簡単な解決策に逃げるべきではないと思います。

私のの組織の話が薄い理由は、このような考え方からです。組織の変更が本質的な問題を解決することは稀であり、それよりも事業の問題の本質を理解し、それに対処する解決策を必死になって考え抜くことが重要だと思っています。組織変更が頻繁に行われる場合、それは経営の黄色信号の一つかもしれません。あなたの組織は大丈夫ですか?

【この文章は以下の文章のライトバージョンです。より詳細な議論はこちらでご確認ください】




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