黒船さん

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木枯らしの吹く街で…第6話

第6話:意外な告白…? 『まぁ…いいや…久しぶりに遊びに来たんだからゆっくりして行ってよ』 私は雰囲気を変えようとそう言った。 涼介は小さく頷いた。 『なんだかんだ優菜とも付き合いなげーよな』 涼介は物思いにふけるようにそう言った。 『そうだね、なんかずっと一緒だよね』 と私は笑った。 一瞬、静まり返ってピンと張り詰めた空気が流れた。 そう、思い起こせば涼介はずっと隣にいた。 いるのが当たり前になっていた。 『優菜…あの…』 涼介は何か言いかけたので 『うん?』 私は涼介の

    • 木枯らしが吹く街で…第5話

      第5話:二人の時間 『えっ?なんか言った?』 私は涼介に尋ねた。 『いや…何でもない…あれだな、優菜の部屋、久しぶりだよな…』 まるで取り繕った言い方をする涼介 『用件はそれだけ?』 私は涼介の問いを無視して、そう聞いた。 『まぁ、たまにはゆっくり話そうぜ』 涼介が笑った。 『毎日話してんじゃん…』 私の対応は変わらない。 きっと、涼介も何か企みがあるとはいえ、この雰囲気に耐えられないのだろう。 『優菜は、変わんないよな…』 ぼそりと涼介が呟く 『

      • 木枯らしが吹く街で…第4 話

        第4話:始まりの季節 『あのさ…優菜…来週火曜から秋休みだろ?』 『うん…?』 私は小さく頷いた。 『いや…その…』 煮えきらない態度を取る涼介 『秋休み、俺に買わせてくれよ』 涼介は真っ直ぐ私を見て、そう言った。 『はあ?何言ってんの?』 私は吹き出して笑ってしまった。 『お前の秋休み…俺が買って、その期間、恋人にしてやるよ』 涼介は至って真面目な顔で言う。 『秋休み買うってなに?恋人にしてやるって何なの?バカにしてる?』 悪い冗談だと想った。

        • 木枯らしが吹く街で…第3話

          第3話:季節は過ぎるとも… 『にしても、優菜の家来るの久しぶりだよな』 涼介は部屋を見渡してそう言った。 『どうしたのよ、急に家に来るなんて?』 私は涼介の方を向いて、言った。 『まぁ…たまには…イイだろう』 と涼介は笑った。 『でも、あれだな、女の子の部屋って感じだな』 と涼介は部屋をもう一度見渡してそう言った。 『あのさ、私の事何だと思ってんのか知らないけど、生まれた時から女の子なんですけど?』 と少し怒り加減で言うと涼介は 『確かにそうだよな』

        木枯らしの吹く街で…第6話

          木枯らしが吹く街で…第二話

          第二話:秋の風に身を委ね… カーテンの隙間から漏れる日差しに目が覚める。 スマホを見ると、時計は9時半を少し過ぎたところだった。 身体を起こして、伸びをひとつ。 そういえば、涼介の奴が来るって言ってたなぁ… それにしても急にどうしたんだろ… ベッドから降りて、机に向かい、 ふと、小中のアルバムを見てみる。 そこにはずっと涼介がいる。 まぁ興味無いんだけどね… なんだか、また眠くなってきた。 あんなに寝たのになぁ… カーテンを開いて、朝の陽を浴びる。

          木枯らしが吹く街で…第二話

          木枯らしが吹く街で…第1話

          第1話:深まる秋の中で… 私は、相坂優菜 都内の高校に通っている普通の高校2年生だ。 そして、私の隣でYouTubeを見ながらベラベラ喋っているのが、小学校からの幼馴染、倉田涼介 『なんだこれ〜つまんな…優菜見てみ〜』 幼馴染でずっと仲は良いけど、お互い好きって感情は無くて、でもずっと一緒いる…みたいな関係。 涼介の家は超が付くほどのお金持ち… でも、金持ち独特の嫌な感じは無いし、普通にファストフードも食べに行く。 通学だって電車で行くし、お迎えが門まで来て…みたいなとこ

          木枯らしが吹く街で…第1話