「レジリエンス」と「リバティ」 大学入学共通テスト後の高校で☆越川慎司さんの2024「働き方」キーワード☆から考える
ビジネスのトレンドを知ることはとても大事だといつも思っています。
教育が明け渡してはいけないことと、変わらなければいけないこと、社会の変革のなかで判断に迷うことがとても多いです。越川さんと緒方さんの対談はとても興味深く、共感しました。越川さん、対談の冒頭でまずこのように結論を提示されました。
3つのキーワードから1月前半の仕事を振り返ってみたいと思います。
キーワード①レジリエンス(しなやかさ)
先日行われた「大学入学共通テスト」の自己採点のデータを無事送り(これも短時間でミスの許されない、なかなかストレスフルな仕事です)、その分析結果を受けて、「国公立大学出願検討会」が行われました。
文系・理系分かれて行い、14時30分にスタートし、今年は22時を超える長丁場となりました。
1人1人のやりたいことがことが叶う大学はどこか、成績データと検索機能と経験を駆使してみんなで探しまくる会議です。
今年の共通テストは、波乱もなく、全体としては昨年より少し点数がとりやすかったようですが、テストが終わってほんの3日間で、予備校さんや教育産業さんの大車輪の働きでデータ分析がなされ、受験生は「志望校判定」というかたちでフィードバックを受けます。
共通テスト直前は、かつて経験したことのないような緊張とストレスで「年明けからよく眠れてない」という生徒もいるのですが、できてもできなくても、悔し泣きしながらでも、結果を受け入れて強くなっていく姿には毎年胸が熱くなります。
受験勉強が大きなストレスであることは紛れもない事実なのですが、みんな試行錯誤で、どんどん「学びの効率」を高めていきます。そして、ストレスとの付き合い方もうまくなり、上手にリセットすることもできるようになれば、ストレス耐性そのものも、相当上がってくる。本人も気づかないうちに「学力も人間力も格段にレベルアップ」しています。
これは一般入試で最後まで真剣に学習に向き合いうことの副産物ですが、実は、長い人生の中では、目の前の目標である「大学合格」以上にかけがえのない経験になるのだと思います。
キーワード②リバティ(勝ち取る「自由」)
受験生はストレス満載の激動の年明け3週間をくぐり抜けたのち、たった1〜2週間で、どの大学を受験するか決断しなければなりません。その決断が「悔いのないものになるように、誠心誠意支えたい!」というのが先の長ーい会議の目的なのです。
あくまで、決断は本人の自由意志によります(であってほしい。経済的制約は仕方がないとしても、一生懸命勉強してきた成果でもって、親=投資家?の意思からも自由であってほしいなあ)。
彼らは成果に見合った選択肢の中から自由に選ぶことができます。自分の人生に大きな責任を感じるのもこの時が初めてかもしれません。
先の熱い会議を基にしたアドバイスは参考にはされるけれど、採用率でいったらどうでしょうか、五分五分といったところかな。
それでいいと思っています。
我々の「働き方」は?
コストパフォーマンス、タイムパフォーマンスの観点から。
そして、「働きがい」
#まずはコスパ。
顧客である生徒にとって、公教育は完全なるサブスク状態なので、あらたなコストはかかりません。納得いくまで先生に話を聞いてもらえます。塾に比べてたいへんお得なサービスです。
我々を雇用する側からすると、この会議には多少なりとも報酬を払う規定を用意してくれてあったので、会議が長引いて、事業所としてはやりくりが大変かもしれません(汗)そのくらい、低予算なのが公教育の現場です。
#次にタイパ。
労働者側の視点でいうと、情報技術の進歩で随分と精度の高い情報を短時間で得ることができるようになったと思います。
また、経験豊かな若手からベテランまで、多くの視点で検討がなされた今回の会議では、自信をもって自分の大切な生徒に向き合うための情報が得られたのではないでしょうか。(この点からは、AIにまだ負けてません。)
しかし、検討しなければいけない案件が多くて(みんな頑張って、検討できるくらいの成績をとった子が多かったということで、うれしい悲鳴!)、いくらなんでも…な時間に。
それでも、その場にいる全スタッフが全力で生徒一人一人の事情に合った有効な情報を見落とさないように、最後の1人まで熱量を落とすことなく公平に検討することを自らの意思で選んでその場にいたわけですし、今後の仕事にも大いに活用することができ、研修の意味合いも大きく、タイパは高かったと思います。
#働きがい
迷いに迷って、まったく合理的でないような決断をしたとしても、18歳の彼らが初めての横並びでない、自分だけの道を歩み出す重大局面に立ち会うって、かなりレアで素敵なことです。いろんな選択肢を一緒に検討して、自分の決断に納得して、腹をくくって新たな努力を始める姿を見るのは本当に働きがいを感じる瞬間です。そして、ここからの1か月、また、生徒の著しい成長を目にすることができるのです。
ところで、ブラックと言われがちな教育現場ですが、本当のブラックってなんでしょうか。
先日、希望する生徒向けに実施した「教職セミナー」の講師で来てくださった義務教育の先生がこう言っていました。
「大学を卒業して43年間もする仕事だけれど、飽きることはないよ」と。
確かにね。困ることや、行き詰まること、辞めたいと思うくらい苦しいことがあっても「飽きること」だけはない!
飽きないって、働くための最高のモチベーションですよね。
ということで、キーワード③「フリクション」についてはまた次の機会に書いてみたいと思います。
追記:タイトル写真の「赤門」は、著者とはなんの縁もないのですが、去年たまたま訪れて、うきうきと撮ってきたものです。鴎外や漱石に思いを馳せて、扇谷さんの赤門もちもいただきました。加賀前田家のお屋敷だったんですね!
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