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守護の熱 第二章          第二十七話 東 都へ

「・・・あー、済まないなぁ、雅弥。来る途中にさ、このポンコツ、クーラーがぶっ壊れちまったみたいでさ。まあ、旧い車だから、仕方ねえなあ。そう、窓開けて、全開で。悪い、そっち側もしてくれ。なぁに、朝の涼しい内にいきゃあ、なんとか、堪えられるだろうから。まあな、都内に入ったら、こっちよりは暑くなるのは、仕方ない。前に、来た事、あったろう?あの旧い家を建て直してなあ。そう、お前にな、もともと、離れに住んでもらおうと、用意はしてたんだがな、それは、来年の三月の予定だったから・・・、なぁに、少し、予定が早まっただけだ。ああ、喉が渇いたら、さっき持たせてくれた、缶のりんごジュース、冷たい内に飲んだらいい。その隣のアイスボックスに入ってるからな。・・・うーん、しかし、長箕沢も、随分、垢抜けてたなあ。街道沿いに、なんてったっけな、あれ、ああ、ファミリーレストランとかいうやつができたんだな。さっき、通ったな。東都はなあ、数年前に、色々とできてきたんだ。最近ではなあ、和食が食える専門店とか、ステーキの店もあるんだぞ。今度な、行ってみるかな・・・寝てるのか?雅弥、お、起きてんだな。あー、なんだ、星の観察は、まだしてるのか?まあ、今回は、済まないが、望遠鏡とかは持ってこれなくてな。まだ、離れはお前専用にはできない事情があって。何人かと、共同で住んでもらうことになる。まあ、叔父さんもな、色々とやってるの、知ってるだろ?うん、何でも屋がな、だいぶ、軌道に乗ってな。今は、頼まれて、何人かの、丁度、お前の年ぐらいの、若いのを預かってるんだ。まあ、一緒にな、仕事を手伝ってもらおうと思ってるから。色々と慣れて、落ち着いたら、また、その先のことは考えればいい。ちょっと、窮屈かもしれんが、慣れれば大丈夫だ。荒っぽい連中だが、きっと、仲良くやれるだろう。お前なら。雅弥・・・、まあ・・・色々とあったと思うが、すぐにな、その、なんていうか・・・、雅弥、すまんな。叔父さんも、未だ、粗方のことしか・・・詳しい事情は、聴いてはいないんだ。ただ、あの田舎町、何か、起こすと、すぐ噂が回る。いいか、これは、お前を守る為に、兄貴が、お前の父さんが、頼んできたことだ。いいか、決して、追い出されたんじゃあない。解るな。お前の為を思ってのことだ。だから、いいんだ。恐らく、お前は、何も悪いことはしていない。だから、今、こうして叔父さんの車に乗って、東都に行く。巻き込まれただけだ。・・・雅弥、お前は、悪くない。ショックだったろうが、居合わせただけなんだから・・・」

「雅弥、これあげる。これね、カレーの最後の隠し味。ランサム産のお酒なんだけどね。偶然、前に見つけたの、入れてみたら、すごく、美味しくなってね。これはね、まだ、未開封のやつ。・・・記念に持ってて」

                             ~つづく~


みとぎやの小説・連載中 守護の熱 第二章 第二十七話「東都へ」

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