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長崎旅行2022『崎陽半日旅行記』5

第5章 稲佐山から長崎の街を見下ろす

 昼食の後は、腹ごなしに少し運動しようかというつもりで、稲佐山という山に登る計画を立てていました。この山の頂上は、長崎の街の全景が見渡せる場所です。標高は333mということで、東京タワーと同じ高さです。下からロープウェイで登ることができます。なお、この山は、山頂から見える夜景が特に有名ですが、今回は夜まで滞在することはできないので、昼下がりの時間帯に登頂することにせざるを得ませんでした。

 まずは、長崎駅前に戻り、そこからロープウェイの乗り場のある淵神社まで移動しなくてはなりません。そこで中華街を後にして、まず市電に乗ることにしました。

 市電で、長崎駅前には無事到着したのですが、母と弟は疲れているようでしたので、稲佐山には私だけが登ることになりました。そこで、待ち合わせ場所として、長崎駅のお土産売り場である「長崎街道かもめ市場」を選び、場所の確認のためにそこへ移動することにしたのですが、その前に、帰りに慌てなくても良いように、予め自動券売機で帰りの列車の切符を買いました。その後、「かもめ市場」に入って、お土産に平戸銘菓である「蔦屋」のカスドースひと箱と、「蘇州林」の月餅の詰め合わせをひと箱買い、それを弟に預けて、ひとりでバス乗り場まで行きました。計画とは違う順序になってしまったのですが、臨機応変に対応できたかと思います。

 どの路線のバスに乗るかは、予め調べておいたのですが、ロープウェイ乗り場へ向かうバスはなかなか来ませんでした。3号系統、もしくは4号系統のバスに乗れば良いと計画書に書いていましたし、看板にもそのように書いてあったので、その番号のバスを待ちましたが、来るのは違う番号のバスばかりでした。やや焦りましたが、待ちに待ってようやく来たロープウェイ前停留所に停車するバスに飛び乗ると、5分ほどでロープウェイ前停留所に到着しました。運賃は160円でした。バスの停留所からロープウェイ乗り場「淵神社駅」までは、やや傾斜のある道(或いは階段)を登らなくてはならず、暑くもなってきたので、多少疲れました。母と弟を無理に連れてこなくて良かったかもと思いました。

 ロープウェイの「淵神社駅」は、淵神社という神社の境内にありました。神社の中にロープウェイの駅があるって珍しいと思いながら、駅の建物に入り、往復切符を購入しました。運賃は往復で1120円でした。

ロープウェイのゴンドラ内より


 ロープウェイのゴンドラには、それほど待たずに乗ることができました。乗客は私の他に2人だったかと記憶しています。他にロープウェイの女性乗務員(?)が1人ゴンドラの中の出入口の前に立っていらっしゃいました。夜景の時間になるともっと人数が多くなったのではないかと思います。昼下がりに来て正解だったかもと思いました。ゴンドラはガラス張りのように透明だったので、下の景色がよく見えました。高所恐怖症だとかなりスリルを感じたかもしれません。やがてそれほど揺れることなく、山頂の「稲佐岳駅」に到着しました。

ゴンドラから下の景色を見るとこんな感じです


 山の上はひんやりとしていて、気持ちがよかったです。人もあまりおらず、長崎の街並みを一望のもとに独占するような気持ちで眺めることができました。リアルに街並みを見下ろしたので、心の中で「空へ…」を思い出したのは言うまでもありません(ロミ空を知っている人しか分かりませんね 汗)。太陽の光は強く、厳しかったですが、日陰に入ると丁度いい涼しさでした。立派な展望台もあって、そこから眺める景色はまさに絶景でした。ゴンドラに乗っている時に聴いた音声ガイドなどによると、長崎の夜景は、平成24年(2012年)に、「夜景サミット2012in長崎」において、モナコ・上海と並ぶ「世界新三大夜景」に選ばれたそうで、夜景の素晴らしさが強調されているようでした。しかし、明るいうちには明るいうちの良さがあると思います。

稲佐山の山頂
奥に見えるのが展望台です


展望台から観た景色


 長崎の街は平地が少なく、山の中腹にまで住宅などが建て込んでいます。そして麓に目を移すにつれて建物の密集度が増していき、平地には高く聳えるビルなどが、所狭しと立ち並んでいるのです。この構造が、山の方から次第に平地にある中心部になるにつれて光が重なっていく効果を発揮して、夜になると映えるのでしょう。それを想像してみるのも一興です。

 それに、この場所からは性格の異なる6つの海を一気に見ることができます。目前に横たわっている長崎港をはじめ、水深が浅く干満の差が大きい有明海、「琴の湖」とも呼ばれる穏やかな大村湾、マグマが噴出した際に陥没してできたとされ、内海と外洋を結んで沿岸水と外洋水が入り混じる橘湾、島原半島の向こう側に見える天草灘、西に広がり、西彼杵半島沿岸海域では「角力灘(すもうなだ)」の別称もある外洋の五島灘、などといった、目でそれぞれの特徴を見分けることはなかなかできないものの、個性的な6つの海を同じ場所から眺めることができるのも、この稲佐山ならではの魅力のひとつだと言えると思います。これは日中ならではの楽しみ方ですね。そのことに、帰りのロープウェイのゴンドラの放送で気づき、もっとよく見て写真も撮っておけばよかったと後悔しました。ちなみに、長崎県は離島が多く、また海岸線が複雑に入り組んでいるので、海岸線の総延長が非常に長く、北海道に次いで全国で二番目に海岸線が長い県として知られています。

 この他、稲佐山の頂上と中腹を結ぶ、「スロープカー」という珍しい乗り物があったのですが、時間の都合上、乗車するのを諦め、ロープウェイで麓に降りました。ロープウェイ前停留所に戻ると、幸いにも長崎駅への帰りのバスが、それほど待たずに来たので、それに乗って長崎駅に戻ることができました。


長崎稲佐山スロープカー



 ちなみに、後で知ったことですが、ロープウェイは6月6日から点検のため30日まで運休するとのことでした。危なかったですが、ラッキーだったとも言えるでしょう。

第6章へ続く





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