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クラシック音楽 × 筋力トレーニング:運動後の大動脈圧の抑制に効果的!

▼ 文献情報 と 抄録和訳

音楽はレジスタンス運動による中心脈圧の拡大を減衰させる;無作為化、単盲検、偽装対照、クロスオーバー試験

Tagawa, Kaname, et al. "Music attenuates a widened central pulse pressure caused by resistance exercise: A randomized, single-blinded, sham-controlled, crossover study." European Journal of Sport Science (2020): 1-9.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] 中心血圧の上昇は、心血管疾患の独立した予測因子であり、高強度レジスタンス運動の急性の効果である。クラシック音楽は、運動中の末梢血圧の上昇を抑制することが示されている。我々は、クラシック音楽が高強度レジスタンス運動による中枢性血圧の上昇を抑制するという仮説を立てた。

[方法] この仮説を確認するために,若い男性18名を対象に,高強度レジスタンス運動後の中枢性圧力に対するクラシック音楽の効果を調べた。無作為化,単盲検,偽装対照,クロスオーバー試験を,4日間の並行実験条件で行った。実験の順序は,シャムコントロール(座位安静),音楽(20分間のクラシック音楽トラックコンピレーション),レジスタンス運動(1回の最大反復回数の75%で10回の反復を5セット),音楽付きレジスタンス運動の条件で無作為に決定した.全被験者の大動脈圧を測定した。

[結果] 大動脈収縮期血圧および拡張期血圧については,時間,音楽,レジスタンス運動の間に有意な相互作用は認められなかった。一方,大動脈脈圧では有意な相互作用が認められた。すなわち,大動脈脈圧はレジスタンス運動後に有意に拡大したが,音楽はこの拡大を有意に抑制した。大動脈脈圧は,シャムコントロールと音楽条件では,有意な変化は見られなかった。

[結論] 今回の結果は、音楽がレジスタンス運動による中心血圧の上昇を抑制することを示唆するものである。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

いつもと同じことをしているのに、いつもより効果が大きくなる
そういう外的環境や事前準備が、ある
SuperHuman

音楽は、エンパワーインターベンションの代表的な1つだ。
以前、パーキンソン病に対する音楽療法の威力に関する論文を抄読し、大いに注目していた分野だ。

音楽の威力には頭が下がる。
僕たちは、どうもこの威力を生かしきれていないように感じる。
今回は若年男性が被験者だが、高齢の循環器疾患を有する患者でも同様の効果が見込めるならば、心血管リスクを低減しながらのリハビリテーション、自主トレが可能になるわけだ。

音楽のあるところには、真の悪は存在できない
セルバンテス

音楽のあるところには、大動脈圧上昇というリスクも存在できないようだ。
音楽には、強くなることをより強化する他に、リスクを低減する魔除けの作用もあるということか。#いずれ総論になる

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