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「年だから回復が遅くなっちゃって・・・」、なんてことはないかもしれない

▼ 文献情報 と 抄録和訳

加齢とレジスタンス運動による筋損傷後の回復;現在のエビデンスと今後の研究への示唆

Fernandes, John FT, et al. "Aging and Recovery After Resistance-Exercise-Induced Muscle Damage: Current Evidence and Implications for Future Research." Journal of Aging and Physical Activity 1.aop (2020): 1-8.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 加齢がレジスタンストレーニングからの回復を長引かせることに関連しているという逸話があるが、現在の文献ではまだはっきりしていない。本レビューでは、高齢男性の筋肉の損傷と回復の間接的なマーカー(すなわち、筋肉痛、血液マーカー、および筋力)に対するレジスタンストレーニングの効果について検討した。

[方法] 加齢、筋肉の損傷、回復に関連する論文を4つのデータベースで日付制限なしに検索した。11件の研究からデータを抽出し、検討した。

[結果] このうち、4件は若い集団に比べて高齢者の方が症状が悪化することを報告しているが、2件はその逆を観察しており、残りの研究(n=6)では年齢層間の差がないことを提案している。

[結論] 高齢者でも回復力の低下を心配することなくレジスタンストレーニングを行うことができると思われる。現在の知識を改善するために、研究者は、より生態学的に妥当な筋損傷負荷を用い、高齢者の運動後の筋痛と筋力の回復を支えるメカニズムを調査することが求められている。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

正直、「年だから回復が遅くなっちゃってね・・・」という患者さんの言葉に、「確かに加齢によって回復はゆっくりになるかもしれませんが・・・」のように返答していた。思い込みとは怖いものだ。加齢によって筋トレが身体に及ぼす効果のうち、具体的にどの部分に違いが出るのかを明確に理解する必要があると思わされた。