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北インドの夏の身の守り方とお楽しみ その①

私が住んでいたデリー首都圏あたりの夏は長い。4月5月は最高気温が40℃を超える日もあった。あまりに気温が高いときは、オフィスの空調も効かなくなってくるほどだ。家庭でも、夏前にクーラーのメンテナンス業者を呼び整備をしておく。

外出前に絶対することとしてインド人から教えてもらったのは、
・必ず胃に何か入れること
・一杯の水をのむこと
・皮膚は布で覆うこと
ペットボトルの水を持ち歩くにしても、実用的なアドバイスだと思う。

空気は乾燥しているから気温が高くても日本のように湿度による不快感はない。木陰で太陽を遮ると涼しさを感じる。ということは、自分の体からも水分が蒸発している。インドに住みはじめて最初の夏、いつもの感覚でしか水分を採らなかったら尿意がほどんどなかった。インド人に注意されてから意識的に水を飲むようにした。インドのオフィスでは、ウォーターサーバーで水を入れたカラフルな透明プラスティックボトルが各自のデスク上にあるのが日常の光景だった。

ある時、いただいたバラの花束をドライフラワーにしようと思った。花弁やつぼみの部分だけをテーブルの上に並べたら、色は鮮やかなまま水分がすっかり抜けたドライフラワーが簡単にできた。よく乾燥しているから、カビることもない。箱に詰めたらお洒落なフラワーショップのものと遜色ないくらい。東京の友達にプレゼントしたらとても喜ばれた。

もちろん洗濯物もすぐに乾くから楽々。特に、インドの木綿や絹の質のいい服は、糸が細く薄く、肌触りの良いものも多く、気候にあっている。袖は7部丈、裾も長めの上着で、上品にゆったりと布を揺らして歩くマダムは、風を纏っているようで優雅だ。外国人にも人気のブランドショップに行けば、素敵なデザインのものを取り入れることができる。

そして、暑い時期のお楽しみは、たくさんの種類のマンゴー!
そして、一時期しか出回らない新鮮なライチ!

新鮮なライチはぷるんと透明で、女王のように華やかな香りと上品な甘みが広がる。体のなかにとりこむと、細胞が生き返る気がする。この香りを体のなかに閉じ込められたらいいのにと思うほど。楊貴妃が愛したのも納得だ。

私が食べていたライチは、デリー首都圏から300キロほど離れたデラドゥーン産だったと記憶している。楊貴妃が新鮮なライチを食べられるように道路を整備したという話しを聞いたことがあるが、2000年代半ばに呼んだ記事でも、中国の産地では新鮮で質の良いライチは高値で取引きされるほどで、美味しいライチを食べようと思ったら産地に行かねばならないと書いてあった。確かにライチの鮮度は急激に落ちる。冷蔵庫に入れようと関係ないというのが私の経験だ。

インドでは枝葉にライチの実がついた30センチほどの枝を束にして売っている。うちの周辺のスーパーの野菜コーナーでは、ビニール袋に包まれ、水分が逃げないようにして売られていた。私はライチ好きなので、短いシーズンの期間はできるだけ食べ続ける。店に並びたてを狙い、ライチの実が可憐な少女の頬のようなほんのり紅色を残し、葉が瑞々しいものを選ぶ。帰宅したらすぐ、新鮮なうちに食べられるだけ食べる。あまりの美味しさにうっとりしながら、体中が華やかな香りで満たされそうなくらい食べる。こんな贅沢は、日本ではできない。産地近くに住む特権。食べきれなかったライチは、枝も葉もついたまま、袋の中で水分が保てるようにしておく。それでも味は急激に変わる。透明な実が白濁し、酸味が出てくるのだ。最近の技術は知らないが、以前日本で食べていた茶色い冷凍ライチはこのレベル。

もしインドでライチを見かけたら、是非お試しを。暑さに疲れた細胞が生き返ること間違いなし。


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