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幸せ感性力の道具5 セルフコンディショニング

「セルフコンディショニング」とは、「反応」を整えて自分自身でよい精神状態や行動を創ることです。
そしてその目的は、反応的に生きるのではなく意図した結果を創り幸福な毎日を生きることです。

具体的には次のことを行います。
1.不要な「反応」を「完了」し、意図した行動を創作すること
2.「未完了」を「完了」しクリアな状態を創作すること
3.「洞察」し「フレーム」を書き換えること

私たち人間は、瞬間瞬間さまざまな「刺激」を受けとっています。
視界に入ってくるもの、音や匂い。
言葉や出来事、対人対応など。さまざまな分野からの無数の刺激を受けています。
そして、それに対してほぼ無意識に「反応」し、「行動」しています。
「刺激」-「(自動)反応」-「行動」というプロセスです。
また「反応」は過去の経験や、その経験から身につけた価値観や、信念のようなもの、勝手に創り上げた迷信など「フレーム」と呼んでいるフィルターのようなものを通して起こります。
物事に対しての「その人なりの認知のしかた」とでも言ったらよいでしょうか。

「刺激」-「(自動)反応」-「行動」のプロセスが好ましい結果を創っているのであれば効果的に機能していると言えます。しかし、同じような「刺激」に対して、同じように「反応」して、同じように「行動」している結果、いつもいつも同じように好ましくない結果が起こっているようであれば、何かを変える必要があるかもしれません。

僕は中学生の頃から、特に母親とはコミュニケーション不全を起こしていました。
普通の会話が成り立たないのです。会話をすると、いつもいつも最後には口論になってケンカ別れしてしまうという状態でした。
「これじゃまずい」と思いながらも、いつもいつも同じような結果になってしまうのです。
程度の大小はありますが、その悪循環は実は32歳の時まで続きます。

それまでの母の存在は「僕の自由を奪い束縛する人」でした。そのようなフレームを創っていたのです。
しかしある研修で「完了」をテーマにした実習を体験し、そのフレームが大きく変わりました。
実習の中で人生をふりかえると、僕のことを誰よりも愛してくれたのは母であることに気づいたのです。
その洞察によりフレームを書き換えました。
「僕のことを誰よりも愛し心配だからこそ口うるさい」のだと。

「完了」とは何かに囚われていない状態です。
「完了」の反対は「未完了」ですが、「未完了」は言いたかったことや表現したかったことをそうせずに心の中にしまい込んでしまうような状態を言います。
ものごとが完結しないで中途半端なまま心にひっかかったり鬱積している状態で、何かのきっかけで表面化して悪さをします。
32歳までの僕は、母と話しているとその言い方とかその時の雰囲気で、小さい時に「僕の自由を奪い束縛する人」を再び目の前に見ていました。
そうすると反抗心が出てきて、言い争いになるのです。
これは無意識にくりかえしくりかえし行われているのです。

実習の中で僕は母親に「言いたくても言えなかったこと」「して欲しかったこと」「してあげたかったこと」などを「言葉で表現」しました。
言葉にならずに鬱積していた感情を、言葉で表現することで解放したのです。
言葉で表現することで完結し「完了」することができました。
だからこそ「僕のことを誰よりも愛し心配だからこそ口うるさい」ことに気づくことができたのです。

そして母に感謝を伝えることにしました。
それまでは、母親に感謝を伝えるなどという発想自体がありませんでした。
自動反応ばかりを繰り返し、感謝できることがあることに気づかなかったのです。
「完了」して気づいたのは、僕が実家を出るまでの18年間6500日あまり、毎日食事を作ってくれたのは母だという事実でした。

母には「生んでくれてありがとうございました」と伝えました。
最初は戸惑っていた母ですが、しっかり受け取ってくれたようでした。
それから少しずつ関係性が改善し、今では良好な関係性ができています。
今から30年前の話ですが、もしあの機会がなかったら今でも反目し合っていたかもしれません。
ずいぶんと自分の人生の質が違っていたと思います。

そこまで大きなことでなくとも、日々の活動の中でいろんな「未完了」が生まれたり「フレームが反応」したりします。
そんな時に、自分自身で「完了」したり「洞察しフレームを書き換える」ことが「セルフコンディショニング」です。
「気づき」「完了」「洞察」はトレーニングによって強化されます。
つまり意識して、実践することを繰り返して、身に着ける(習慣化)ということです。
そのためにはリフレクション(ふりかえり)がとても重要です。

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