懐古主義
「こらタカシ。またゲームしてるのか」
書斎から出て来た父は、ソファーに寝転び携帯ゲームに勤しむ息子に苦言を呈した。
「父さんがお前位の頃は、野山を駆け回って虫を捕まえたり、魚を釣ったり、何より自分達で遊びを考えたものだ。それが最近の子供ときたら……」
それを台所で聞いてた母が間に入る。
「あなたが子供の頃とは時代が違うのよ。先の戦争以来屋外で遊ぶなんて危険過ぎるじゃない。もし濃度の高い地域に入ってしまったら……」
「そうやって大人か甘やかすからだなぁ。だいたい……」
そうブツブツ呟く父の背中を見ながら、タカシは「あのガスマスクの下の父さんの素顔ってどんなだったっけ?」と考えていた。
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