見出し画像

先輩の思い出

私が中学校の吹奏楽部に最下級生として入部したとき、2年生の先輩、3年生の先輩がそれぞれ1人ずついました。
この3年生のホリ先輩がよく出来たお方で、後輩の面倒見が良く、私なんぞにも分け隔てなく声をかけてくださいました。
いつぞやは、ステージの上に立てていた先輩の楽器がスタンドごと倒れ、床まで落下。管が潰れたうえ、楽器が奇妙な方向へ曲がったことがありました。
それほど勢いよく落下したものですから、バッキーン!という音が音楽室に響き渡り、部員全員がこちらに振り向きました。

床に横たわった楽器。
誰の目にもステージから倒れて落ちたのが明らかであり、そしてステージの上に視線をやると、そこにいたのは私でした。
部員の中からあがる悲鳴。

状況的に犯人は私なのですが、この先輩は決して推測で怒るようなことはせずに、「やっぱり今日は休めば良かった〜」と笑っておられました。
ちなみに事が重大であったため、それ以上原因を追及しようとする部員はおらず、「自然に倒れるとは不思議なこともあるもんだ」的に整理されました。

この事件以降、ただでさえ感情に乏しかった私から、完全に笑顔が消えたような気が致します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?