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新規出店売上予測の正確さを測る: モデル評価指標

今回のコラムでは、"売上予測モデル評価における評価指標"について解説します。モデルを訓練し、それを使用して予測を行うことは重要ですが、そのモデルが実際にどれだけの精度で予測できているのかを評価することが不可欠です。

本コラムでは、基本的な評価指標から高度な指標まで、様々なモデル評価指標を解説し、それぞれがどのような情報を提供し、どのようなシチュエーションで活用されるのかを理解していきます。

新規出店の売上予測という課題に立ち向かう上で、モデルの評価は避けて通れない道です。
このコラムを通して、皆さんの業務の一助となれば幸いです。


1.基本的な評価指標について

売上予測モデルの精度を評価するためには、その予測結果がどれほど正確であるかを把握することが必要です。
それを計るための基本的な評価指標として、誤差に関する指標が一般的に使用されます。
モデルの評価指標は多数存在しますが、ここでは、その中でも特によく使われる平均絶対誤差(MAE)、平均二乗誤差(MSE)、そして平均二乗誤差平方根(RMSE)について詳しく解説します。

<平均絶対誤差(MAE)>

予測値と実際の値との差(つまり、誤差)の絶対値を平均したものです。
これは、各予測値が実際の値からどれだけずれているかを示しています。
値が小さいほど予測の精度が高いと言えます。
この指標は、後述する平均二乗誤差平方根(RMSE)と比較して、外れ値に強いという特徴があります。
そのため、データセット内で外れ値が多い場合に有効となる指標です。

<平均二乗誤差(MSE)>

予測値と実際の値との差を二乗してから平均したものです。
これは大きな誤差を重く見る評価指標で、大きな誤差がある場合には値が急激に大きくなります。

<平均二乗誤差平方根(RMSE)>

MSEの平方根を取ったもので、その値は予測誤差の標準偏差に近い値となります。
これもMSE同様、大きな誤差を重く見る評価指標ですが、元のデータと同じ単位で誤差を理解することができるため、直感的に解釈しやすいです。

これらの指標を適切に理解し、適用することで、売上予測モデルの性能を正確に把握し、その精度を向上させるための手がかりを得ることができます。
それぞれの指標がどのような情報を提供しているかを理解することで、あなたのビジネス環境や目的に最も適した評価指標を選択することが可能となります。

図1 主な指標一覧


2.高度な評価指標について

前章では基本的な評価指標として、平均絶対誤差(MAE)、平均二乗誤差(MSE)、平均二乗誤差平方根(RMSE)について解説しました。
これらは直感的に理解しやすく、予測と実際の値との誤差を把握するのに役立ちます。しかしながら、さらにモデルの性能を深く理解するためには、いくつかの高度な評価指標についても知っておくと良いでしょう。

<決定係数(R2スコア)>

R2スコアは、モデルがデータの変動性をどれだけ説明できているかを示す指標で、値が1に近いほど良いモデルと言えます。
しかし、この指標には注意が必要で、特徴量が増えると値が大きくなる傾向があります。
つまり、無闇に特徴量を増やしても、実際にモデルの予測性能が向上していないことがあります。


図2 決定係数(R2値)イメージ図


<残差プロット>

残差プロットとは、実測値と予測値の差を表したものです。
実測値と予測値を散布図で表し、データやモデルの問題点、改善点を見つけることが可能です。
一般的に、明確な法則性が無く、無造作に分布しており、0に近く対照的な円形に分布していると、データやモデルに問題が無いと判断できます。
極端に0から離れているものがある場合はデータに、曲線を描くなどの法則性が出てしまったり、偏りが出てしまった場合にはモデルに問題があると判断できます。

これらの高度な評価指標を理解し適用することで、より深くモデルの性能を把握し、適切な特徴量の選択やモデルの改善につなげることができます。


図3 残差プロットの図


3.実際の予測モデルの評価

これまでに学んだ評価指標は、モデルの性能を評価し、その改善に役立てるための道具です。
ここでは、実際の売上予測モデルにそれらの評価指標をどのように適用するかについて見ていきましょう。

まず、モデルを訓練した後に、MAEやRMSEなどの基本的な評価指標を使ってテストデータでの性能を評価します。
これにより、モデルが新たなデータに対してどの程度正確に予測できるかを把握することができます。
また、MSEを計算することで、大きな誤差がある場合にその影響をより重視することができます。

さらに、決定係数や修正決定係数を用いて、モデルがデータの変動性をどれだけ説明できているか、そして特徴量が増えた場合にモデルの性能が本当に向上しているかを評価します。
これにより、モデルの予測性能だけでなく、その解釈性や適用性についても理解することが可能となります。

評価指標は、モデルの性能を理解し改善するための重要なツールであり、適切に使用することでモデルの弱点を見つけ、それを改善することが可能となります。
こうした知識を活用し、より精度の高い売上予測モデルを構築しましょう。

4.まとめ

売上予測モデルの評価に関して様々な角度から考察してきました。
基本的な評価指標から高度な指標までを理解し、それらを実際の予測モデルに適用することで、モデルの性能を深く把握することが可能になります。
そして、それらの指標を使ってモデルを改善し、最終的には更なるビジネス成果を引き出す道具とすることができます。

評価指標はあくまでツールであり、それらを適切に使いこなすことが最も重要です。
それぞれの指標が何を示しているのかを理解し、特定の状況や課題に最適な指標を選び、それを用いてモデルを改善していくことが求められます。

このシリーズで、機械学習の手法から特徴量エンジニアリング、そして今回の評価指標まで、幅広く売上予測モデルについて学んできました。
これらの知識が皆さまのビジネスにおける意思決定に役立つ一助となることを願っています。

次回は、これまで学んだ内容を活かして、売上予測モデルの運用・改善方法について詳しく見ていきます。お楽しみに!

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