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「日本人にとっての、文明論基盤として必須の書物」中西輝政氏の四著作のご紹介

年初にあたり、広範な視点でスタートしたいと思います。

世界で起きること、政治経済的出来事というものは、それそのものを皮相的に捉えるだけでは何もわかりません。ウクライナのことなどもTVなどのマスメディアの皮相的な報道だけでは何もわからないことと同じです。
そういう意味で歴史的、文明論的な基盤を腹に落としておくことが極めて重要になります。
アングロサクソンはそのあたりの知恵が優れているために五世紀以上に及ぶ覇権を取ってきたと言われています。

日本人の文明論

日本人はそういう捉え方が苦手なのだという自虐論に惑わされてはなりません。
近年の歴史家では特筆すべき人として、中西輝政氏がいるではありませんか。
英国、米国、Chinaそして日本の四文明について、浩瀚で、かつ専門家でない一般読者にも読むことのできる文明論を執筆してくれています。
そして何より、飛び切りの面白さを満喫できます。
そういう意味で、日本人にとって文明論基盤を教えてくれる必読の著作だと思います。

私自身は出版されたころに読みましたので、上記は多少加筆があるかもしれませんが、内容は間違いのなく推奨できるものです。

英国

四著作とも繰り返し読みをしましたが、最も面白く読んだのは英国版です。執筆当時(90年代前半)の中西さんの若さの勢いと清新さがそうさせているのだろうと思っています。
16世紀のエリザベス以来の英国的習俗のなにがアングロサクソンに覇権を握らせ、20世紀にどうしてあんなにも急激に衰えたのか、そして今なお隠然として世界に影響力を行使する英国とはなんなのか、について考えを深めさせてくれます。

米国、China

これからの世界の中で日本がどう生き抜いていくかと考えれば、当然第一に米国、第二にChinaを知らなければならないのは多言を要しません。
米国は外からボヤっと眺めているだけではその核心を見誤ります。エリートが見誤ったから先の大戦の失敗に繋がったのです。
Chinaについても同様です。古代から見誤り続けた人も多いのがChinaであり、冷徹に国際主義的視点で見ることがこれからの日本には最も求められています。
そういう点でこの二著作が基礎の基礎を固めてくれます。

日本と日本のこころ

また、日本について記した『国民の文明史』の中で核心の言葉として、中西さんは、日本文明を表す最もふさわしい言葉は「こころ」であるとおっしゃっています。まさしくそう思います。
二人の息子たちを育てている中で私が思ったのは、「こころ」の”こ”は、こどもの”こ”であろうということです。
妻とともに必死で子育てをしているとき、そう気づきました。
その証拠と思われるのは、「こころ」とほとんど同義の「まごころ」の”まご”は、子孫の”まご”だろうからです。
私たち日本人は、綿々と世代を超えて「こころ」を紡いできたのだと思います。

若い方々へ

語れば尽きない文明論を提供してくれる四著作ですが、
特にこれからを担う若い方々にご一読をお薦めしたく、年の初めにこのような形でご紹介いたしました。




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