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「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」/初めから面白い

塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読み始めています。

以前に、「ローマから日本が見える」塩野七生著、集英社文庫 について書評を掲載しました。

「ローマから日本が見える」はローマ建国からカエサルあたりまでの「ローマ人の物語」の縮刷版的なものでしたので、この第一巻から読みやすくすっと入っていけました。

第一巻 ローマの原初

ロムルスによる建国と王政、七代続いた王政は世襲ではなく基本的には推されてなるという原初形態にローマの政治的知恵があったのかもしれません。
そして王政では耐えられなくなり、寡頭政治の共生へと転換がはかられました。

副題「ローマは一日にして成らず」にもあるように、ローマには初めに胚胎するものあり、栴檀は双葉より芳し、というような馨しい臭いがします。
それは、戦う精神ファイティングスピリットであり、他を受け入れる和の精神そして個人の土壌、議論の土壌がありそれらを包含して寡頭政治としての共和制があります。
そして、必要とあらば独裁官を据えることもいとわない融通性が危機管理意識と共に存在しています。

そしてそれらを持つ国としての組織力に昇華していくプロセスが醸成されつつ積み重なっていきます。

先進国ギリシャの後塵を拝しながら、一方でそれだからこそ、後進文明としてギリシャ文明に良きところを学び、悪しきところも反面教師として学ぶことで、その国家のソフトパワーを涵養していきます。
それは、基幹文明の周辺に発生するリムランド文明、海洋国文明として繰り返し人類史にあらわれる普遍的な文明としてのあり方だろうと思います。

原初のホモサピエンスの持つ野性にしなやかさを備えることで、したたかで強力な文明国家となっていこうとするさまが、すでにこの第一巻に顕れて来ています。


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