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#塩野七生
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「ギリシャ人の物語Ⅲ 新しき力」塩野七生著(新潮社)/ギリシャのポリスは崩壊し、その後をマケドニアの父子が襲い、子のアレクサンドロスはペルシャ・インダスをも征服し大王となるが、、、(その2)
アレクサンドロスの軍才を語る塩野七生 ハンニバル、スキピオ・アフリカヌス、そしてカエサルもその軍才を絶賛したという、アレクサンドロス。 軍事の天才アレクサンドロスによって騎兵用兵の元祖が開かれると同時に、戦争戦術がレ歴史的に飛躍したと言えるのだろう。 「ギリシャ人の物語」の第三巻は、アレクサンドロスのために書いたとも言えるものになっている。 その1においても、記しましたが、塩野七生の健筆は、会戦、海戦を語るとき、実に活き活きと人物、人間あるいは人間集団を活写します。 本当に
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「ギリシャ人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊」塩野七生著(新潮社)/ギリシャはペルシャ戦争後、民主政のアテネによる大興隆、覇権拡張でピークを向かえるが、アテネは衆愚政治によりすべてを失う、、、、
個々の力を集団として機能させることでペルシャ戦争を勝ち抜いたが、、、 ギリシャ文明がオリエント文明(ペルシャ)を打ち負かしたことで、のちのローマ、ヨーロッパの文明の興隆に繋がったところがあります。 ギリシャ文明のその特徴は、個々の力ですが、その個を集団として機能させペルシャを打ち負かしたところにこそ、その真骨頂が現れています。 それは、アテネにおいて、最もよくあらわれ、政治体制として民主政が個々の力による軍事、経済的興隆と不可分になっているのですが、栄華は長く続かなかった
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「ギリシャ人の物語Ⅰ 民主政のはじまり」塩野七生著(新潮社)/ローマ人の物語を読めば手を取らざるを得ない。トロイ神話からギリシャ文明のはじまりと興隆:ここに西洋文明がはじまる、、、
「ローマ人の物語」から「ギリシャ人の物語」へ 「ローマ人の物語」全十五巻プラスアルファ(スペシャルガイドブック)を読了してみると、実に味わい深い思いが胸に残りました。 それはやはり塩野七生さんが、日本人としての視点をかっちりと維持しながら、古代ローマ帝国の人間模様を子細をしっかりと追いながら描いて見せてくれたからに他なりません。 本質的な意味で言うと、一神教キリスト教徒でない日本人塩野七生が一神教に乾いた目をもって描いたものだからこそ、日本人あるいは日本にとっての意味が深く
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「塩野七生『ローマ人の物語』スペシャルガイドブック」/事後編として全15巻を楽しみ返し、頭を整理できる。写真豊富で第Ⅹ巻同様映像でイメージを拡張できる、お薦め本
「ローマ人の物語」全15巻を楽しみ返せる 「塩野七生『ローマ人の物語』スペシャルガイドブック」のご紹介です。 これは、「ローマ人の物語」全15巻の執筆、刊行が成り、それらを振り返り、エピローグのように余韻を楽しむためのガイドブックです。 全編写真が豊富、塩野七生さんを見出した編集者との対談、新潮社の塩野さんへのインタビューが掲載 全編写真が非常に豊富に掲載されています。この「スペシャルガイドブック」は、第Ⅹ巻の「すべての道はローマに通ず」もローマ帝国の今に残されているイ
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「ローマ人の物語ⅩⅤ ローマ世界の終焉」/帝国の、ローマ文明の終焉、哀しいかな。活力が失われローマ人の気概が雲散霧消し、ローマ人がいなくなった、、、、
読むのがつらくなる「ローマ人の物語」最終15巻 本巻15巻では、ローマがローマでなくなり、痕跡さえも破壊され消失していく過程が描かれています。 そして読んでいて、つらくなるのがこの「ローマ人の物語」最終15巻です。 あの輝かしいスキピオ、カエサル、アウグストゥスのローマはもう痕跡さえも無くなっていく、そんなローマに何の意味があるのでしょう? そんな塩野七生さんの叫びが聞こえてきそうな15巻です。 人間を知るためには誕生から死までの事績を丁寧に追うことだとの信念で『ローマ』
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「ローマ人の物語ⅩⅣ キリストの勝利」/四世紀から終末の五世紀へ、陰湿な権力者コンスタンティウス帝、一服の清涼剤かのようなユリアヌス帝そしてテオドシウス帝と司教アンブロシウス
キリスト教と皇帝の利権構造化 キリスト教を公認したコンスタンティヌス帝時代のミラノ勅令は、実質的にキリスト教国教化のスタートだった。 利用したのは、コンスタンティヌス帝であったが、帝国の衰亡が辺境の蛮族侵入から帝国内への侵犯へと進み民衆の不安が否が応でも昂進する中で、コンスタンティヌス帝の息子、コンスタンティウス帝が権力を掌握していく中で皇帝とキリスト教の間で利権構造化が進んでいきます。 皇宮に蔓延る宦官という名の専制政治官僚 ついに、ローマ帝国内に、あの忌まわしい宦官
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「ローマ人の物語ⅩⅢ 最後の努力」/四世紀、権力意志の塊である二人の皇帝による専制国家化=それはもうローマではない。キリスト教は皇帝の権力基盤強化のために利用された。
衰亡を加速するローマ帝国 ローマの衰亡は留まるところを知らなくなっていきます。しかし、ローマ帝国を維持することが目的となっていき、維持するための体制が、権力志向の塊である二人の皇帝によって以後、ローマ帝国は専制国家となってしまいます。 ディオクレティアヌス ローマ帝国の辺境を守るために、内乱を最小限にとどめ、政権の安定を優先するために、皇帝に権力を集中させ、辺境を効率よく守る、このことを進めたのは、権力志向の権化であった、ディオクレティアヌス帝でした。 権力の集中を得
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「ローマ人の物語Ⅷ 危機と克服」(塩野七生著、新潮社)/ユリウス・クラウディウス朝の後の混乱とその収拾 ヴェスパシアヌスから賢帝の時代へ
ユリウス・クラウディウス朝から脱皮とともに訪れた危機 帝政を実質導入したカエサル、それを見事に受け継ぎ帝政によるパックスロマーナを実現したアウグストウス、その義子のティベリウス、さらにカエサル、アウグストウスの血をひく者たちによる帝政の継続、、、、その末代のネロによる混乱、そのあとに訪れた更なる混乱から危機が迫る、第八巻はこんな状況から始まります。 状況の見えていない短期三代の皇帝 ガルバ、オトー、ヴィテリウスと短期三代の皇帝は、ローマ帝国のおかれた状況、皇帝の求められ
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「ローマ人の物語Ⅵ パックスロマーナ」(塩野七生著)オクタビアヌス⇒アウグストウス/カエサルほどでないにせよ、天才オクタビアヌスの物語は秀逸、世界史のハイライト
カエサル暗殺後はその後継者オクタビアヌスが権力を掌握していきます。 そしてカエサルの描いたローマの帝国化を時間を掛けて成し遂げます。 塩野七生さんは、 「ローマ人の物語Ⅴ」のカエサル暗殺後の部分からオクタビアヌスを書いていき、反カエサル派の掃蕩、アントニウス討滅までを「ローマ人の物語Ⅴ」で描きますが、ここまではローマ内部の権力闘争に勝ち抜くオクタビアヌスと言うことになります。 「ローマ人の物語Ⅵ」では、オクタビアヌス改めアウグストウスがローマによる地中海世界の平和、いわゆる