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書評

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読書の喜びは、他のなにものにも代えがたい魅力が有ります。そういった喜びを皆さんと共有すべく、知的刺激を受けた書、好奇心満載の書、ためになる書その他この他、わたしの狭い読書領域の中…
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「『ローマ人の物語』他、塩野七生著作書評リスト」

「ローマ人の物語」他について、塩野七生さんの著作をリスト化します。 ローマ人の物語 1)「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」/初めから面白い|りょうさん (note.com) 2)「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」/これはめちゃくちゃ面白い|りょうさん (note.com) 3)『ローマ人の物語Ⅲ 勝者の混迷』/帝国の盛衰の歴史、現代と変わらず|りょうさん (note.com) 4)「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」野心、虚栄心の問題|りょ

「絶対に読むべし!『わが投資術』清原達郎著、日本のバフェットといっても言い過ぎでない。個人投資家必読の書」

すでにベストセラー『わが投資術』(講談社) 日本初の、日本人による日本人のヘッジファンドサクセスストーリである、「タワーkファンド」のオーナー(でいいんだろう)、清原達郎氏のベストセラー『わが投資術』(講談社)の紹介です。 Kindle版はこちら 引退をした清原氏がその投資哲学のすべてを日本人の為に語り残してくれた 数年前にがんで声帯を失った清原氏はヘッジファンドオーナーを引退した。しかし個人投資家としての清原氏は、この8月の日銀暴落のとき、200億円で日本株を拾い買

『日本の経済安全保障』高市早苗著(飛鳥新社)

日本にとって今最も重要な「経済安全保障」。最も有能かつ志高い保守本流の高市早苗氏が取り組んでくれていることに感謝したい。 この書は、 難しい内容にもかかわらず、非常にわかりやすく書いてくれていて好感持ちました。 ただただ、日本の為を思って政務に取り組んでいることが伝わってくる。 具体的内容と共に高市早苗氏の思いの深さ、重さの伝わる良書でした。 次期総理、もう高市早苗氏で決まりと言って良いと思います。

「不倫は人間の業、托卵妻という話題(現代ビジネス記事)に寄せて」/竹内久美子「動物行動学で語る”男と女”」、谷沢永一「実践人間学」、、、

托卵妻という話題:現代ビジネス ネットの記事に吸い寄せられるように読みふけってしまった。現代ビジネスの「托卵妻」という記事だ。 不倫そのものだけならいざ知らず、さらに不倫の子まで夫に子育て負担させる、というまったくもって女性というのはすごい生き物である。 ルポ「托卵妻」〜もしも子どもが自分以外の子種だったら?(本橋 信宏) | 現代ビジネス | 講談社(1/3) (gendai.media) 夫より優秀な彼の遺伝子がほしくなって決行。でもバレることはない──「托卵妻」の揺

「慰霊の夏 樋口季一郎中将と占守島池田末男戦車十一連隊及び独立歩兵282大隊の全将兵を思う」/Xから引用します

慰霊の夏です。 昭和20(1945)年8月15日以降に起きた、ソ連による日本侵攻、これに敢然と立ち向かったのが、第5方面軍司令官樋口季一郎中将とその麾下の将兵でした。 わたしの、Xでのつぶやきを以下引用します。 そして、以前本欄で記した記事も引用します。 樋口中将については、お孫さんにあたる樋口隆一氏による、以下の近刊(4年前ですが)があります。 是非ご一読をお願したいと思います。 占守島の池田末男戦車十一連隊及び独立歩兵282大隊の全将兵の活躍についても是非知って

「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」塩野七生(新潮社)ー再読ー

カエサル以前にカエサル無くカエサル以後にカエサル無し 塩野七生さん著の「ローマ人の物語」全十五巻を読み終えたのは年末でした。15巻+α含めすべてに書評というとおこがましいですが記事を書きました(下記)。 そして、記事中でも記しましたが、すぐにでも再読したいと思ったのが、 「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」 と 「ローマ人の物Ⅴ ユリウス・カエサル ルビコン以後」 です。 まさにこのⅣ巻とⅤ巻は世界史の英雄ユリウス・カエサルの勇躍欣喜、血沸き肉躍る英雄

『正義と腐敗と文科の時代』(貴志社)渡部昇一著 /昭和49(1974)~52(1977)年のエッセイ群の復刻版です、まさに人間学の宝庫、賢人渡部昇一の真骨頂

『正義と腐敗と文科の時代』(貴志社)渡部昇一著 現代の賢人、読書家中の読書家、、、、なんと形容したらよいのか、まったく私では表現しようがありませんが、その渡部昇一さんの昭和49(1974)~52(1977)年のエッセイ群の復刻版が出版され、一気に読み通しましたのでご紹介します。 世の中でとりわけ重要なことは、パラドックスの形で現れる 世の中でとりわけ重要なことはパラドックス(逆説)の形で現れる、ということを渡部昇一さんはエッセイや論説の中で繰り返しおっしゃられています。

「被爆三世だから言う 日本は核武装せよ!」WAC 橋本琴絵著/法及び法の歴史に詳しくわかりやすく書かれた”警世の書”、将来の女性政治家が日本の危機を縦横に語る

橋本琴絵氏は、法及び法の歴史に詳しく、わかりやすく語ってくれる 以前、橋本琴絵氏の著作を紹介しました。 彼女の著作は、法の原則をベースに歴史的経緯なども踏まえてわかりやすく日本の問題を語ってくれます。 この「被爆三世だから言う 日本は核武装せよ!」WAC もそうです。 被爆三世の立場で祖母から伝えられた伝承を語り、現今の日本の安全保障にとって極めて重要な核武装の議論を展開しています。 彼女の記述の良いところは、歴史的経緯を踏まえた法の原則をベースに非常にわかりやすく語

「橋本琴絵さんの『われ、正気か!』(WAC)も『暴走するジェンダーフリー』(WAC)も、保守の考え方に立つ読みごたえたっぷり、知性を刺戟する良書です」/是非ご購読ください

『われ、正気か!』(WAC)、『暴走するジェンダーフリー』(WAC) 橋本琴絵さんの著作を読ませていただきました。 いずれも、30代の女性の瑞々しい感性と知性が活きていて、かつ日本を愛する保守の立場から書かれている読み応えのある良書でした。 また、これまでの保守論壇の著作の中では、 彼女が法曹の専門家らしく古今の法に通じているため、法の歴史的視点から現今の日本の基本課題に対してモノ申している点が際立っています。 そういう意味でも知的刺激に満ちていて、これからの日本の進

「『おたふく』『妹の縁談』『湯治』山本周五郎著(ハルキ文庫『おたふく物語』に収録の『おたふく三部作』」/日本の庶民の善意の美しさ、いじらしさを美しい『おしず』を通して浮かび上がらせる周五郎の名作 ~その1

『おたふく』 『おたふく』については、すでに多くを記してきました。二十代前半つまり40年ほど前にめぐり逢いこの年になるまで胸の奥に温かい心をともし続けてくれた周五郎の名作です。 私個人の中では、それは二十代に恋焦がれ続けた美智子さん(仮名)と重ねて今日まで思い続けてきた女神のような女性、それが『おたふく』のおしずです。 『おたふく』へのオマージュとして小説「智子、そして昭和」を書かせてもらいました。 オマージュは、「三十五年越し」や「雨と水玉」(上記「三十五年越し/俯瞰

書評「考えるよろこび」(講談社文芸文庫)江藤淳/再々に渡る繰り返し読みに応え得る講演録、近代の個の確立とは個を超える公の価値にコミットすること

「考えるよろこび」江藤淳の60年代の講演録を文庫化したもの 講談社文芸文庫「考えるよろこび」には江藤淳の60年代の六つの講演が収録されています。 いずれも非常に興味深く、講演そのままの口調で江藤淳の声が聞こえてくるような気がする優れた読み物になっています。 主題は近代 主題は、近代というもの、近代そのものと言って良いと思います。 近代が日本人に強烈に求めるのは、文字通り「個の確立」であります。自由と独立とに不可分なものは「個の確立」に違いありません。 1)考えるよろこ

書評「かたくなにみやびたるひと 乃木希典」乃木神社総代会(展転社)/乃木さんの軍人として貫く一念と広くたゆたき心が、尊きまでに胸を打つ

かたくなにみやびたるひと みやびたる、という言葉が現今一般に受ける印象は、やまと心の中でも、たよやめ、にぎみたま、といった優しさを表すものにどちらかといえば近いです。 しかし、この書の中では本来の「みやびたる」を敢えて説明しており、やまと心の、ますらお、あらみたまのほうの荒ぶる戦人(いくさびと)のみたまをも合わせたものを言うとしています。 その意味で、敵に対して、戦人としての勇気のすべてをかけて打ち勝つ、そういう忠君軍人として貫く一念が「みやびたる」の中の核心としてあるの

「歴史街道2024年3月号 『二〇三高地・120年目の真実』」(PHP)/ようやく旅順戦について、歴史が平衡の振り子を戻しはじめた

明治37(1904)年8月~1月 旅順戦から今年で120年 今年令和6(2024)年は日露戦争の旅順戦から120年ということになります。 このため、歴史街道(PHP)の3月号で『二〇三高地・120年目の真実』と題した特集が組まれました。 ようやく旅順戦について、歴史が平衡の振り子を戻しはじめた 歴史街道3月号には、 1)総論 新解釈から見た日露開戦と旅順攻防戦                        小林道彦 2)「戦略」で読み解く――なぜ、二〇三高地が焦点となっ

「ギリシャ人の物語Ⅲ 新しき力」塩野七生著(新潮社)/ギリシャのポリスは崩壊し、その後をマケドニアの父子が襲い、子のアレクサンドロスはペルシャ・インダスをも征服し大王となるが、、、(その2)

アレクサンドロスの軍才を語る塩野七生 ハンニバル、スキピオ・アフリカヌス、そしてカエサルもその軍才を絶賛したという、アレクサンドロス。 軍事の天才アレクサンドロスによって騎兵用兵の元祖が開かれると同時に、戦争戦術がレ歴史的に飛躍したと言えるのだろう。 「ギリシャ人の物語」の第三巻は、アレクサンドロスのために書いたとも言えるものになっている。 その1においても、記しましたが、塩野七生の健筆は、会戦、海戦を語るとき、実に活き活きと人物、人間あるいは人間集団を活写します。 本当に