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94 教室で困っている子どもとは?~すぐにキレて暴力をふるう子の背景要因について考える~

「教室で困っている子ども」と聞くと、
あまりいい気持ちがしないですが、
どの学校にも
一定数存在するのではないでしょうか?
今回の記事は、
そんな教室で困っている子どもについて、
その背景要因を考えてみたいと思います。


すぐにキレて暴力をふるうAくんの事例

ある子ども(Aくん)が
すぐにキレて暴力をふるう
といった行動ががあったとします。

みなさんが教師なら、
そんなAくんに対して
どのような対応をしますか?

まず、
考えなければならないのは
他児に対して怪我をさせないように
引き離すことです。
厳しく叱責して止めさせる
という方法も
思い浮かぶかもしれません。
それでも、
暴力をふるったり暴言が止まらない時は
別室へ連れていくことが考えられます。

では、
Aくんはなぜキレて暴力をふるったのでしょうか?

暴力のきっかけは「怒り」の感情

暴力の直接のきっかけは
「怒り」といった感情があります。

「怒り」の原因とは何なのでしょう?
学校の子ども達に多く、
しかも対人トラブルのもとになるのが、

馬鹿にされた
意地悪された
自分の思い通りにならない

といったものです。
これらは、
それぞれ個人の思考パターンと呼ばれます。

それぞれの思考パターンの違いによる反応の違い

例えば、AくんとBくんが、Cさんから
「それは違うよ」
と言われたとします。

これをBくんは
「Cさん、教えてくれてありがとう。」
と考えるのに対して、Aくんは
「うるさい、馬鹿にしやがって」
と考えるとします。

同じ「それは違うよ」
と言った声かけに対して、
好意的に受け取るか、
被害的に受け取るか
それぞれの思考パターンなのです。

どちらが怒りにつながるかは
容易に想像できると思います。

Aくんは、
これまでの
人的環境
物的環境
家庭環境
発達障害…
などの特性から被害的な思考パターンに
なってしまっているので、
些細な事でも
怒りの感情が生まれてしまいます。

よって、
厳しく叱責したとしても
「うるさい、お前に僕の気持ちなんか分かるか!」
と教師までも敵対心が高まり、
敵と認識されてしまう恐れがあります。
そこで一旦信頼関係が崩れると、
その後の修復は難しくなり
指導も入らなくなるでしょう。

「怒り」の感情が生まれる背景要因

なぜ、
Aくんはこのような被害的思考パターンに
陥ってしまったのでしょうか?

様々な要因が考えられますが、
最も大きいのは
「自信のなさ」
が関係しています。
自分に自信がないと
「また俺の失敗を指摘しやがって」
「どうせ俺なんていつも駄目だし…」
と、どうしても
他者の言葉を好意的に受け取れません。
自信のなさの背景には、過去に

・いつも失敗ばかりいてしまう
・いつも先生や親から注意される
・勉強ができない
・運動が苦手
・対人関係が苦手
・イジメに遭っている
・家庭内が不安定…
等の過去があったことが考えられます。
また、発達障害や知的障害、虐待などがある可能性も高いのです。
よって
キレる・暴力をふるう
などの怒りの感情が生まれる背景要因には、
複雑な要因が絡み合っています。

よって、保護者との協力も必要になってきますし、
医療や福祉とのスムーズな連携も欠かせません。

我々は、
Aくんの「怒り」の感情から
相手に対して暴力や暴言を行っている一面のみを
叱責してその行動自体を責めることは
決してしてはなりません。
Aくんが「怒り」の感情が出る背景要因は何かについて考え、
その根本についての視点を持った指導・支援を
学校や家庭、医療、福祉で連携して行っていかなければ、
解決には至りません。
きっと、
被害的な受け取り方から、また怒りの感情が爆発して
しまう場面が出てくるでしょう。

「この子はどこでつまずいているのだろう?」
その視点から、支援を行ってみてはいかがでしょうか?
今回の参考文献はこちらです。

具体的な支援の方策も書かれているので、ぜひ手に取ってみてください。
今日の記事は以上になります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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