地震とクラッシュ症候群
元旦に能登で大きな地震が起きた。
地震によって起きる病気として、避難生活が長く続くと起きる肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)、長時間建物などの下敷きになっていた人が助け出された時に起きるクラッシュ症候群などがある。今後、地震が続く可能性もあるとのことで、少しでも役に立てばと思い、まとめてみる。今回はクラッシュ症候群に関してである。
福井県の病院で勤務している知人から聞いた話では、体感としては30秒くらいの大きな揺れが続いたのだそう。その知人は幼少期に阪神淡路大震災も経験しており、防災グッズも準備しているが、それでも慌てたと言っていた。焦って避難したので、暖房やテレビを消し忘れたようだ。
クラッシュ症候群(挫滅症候群)
クラッシュ症候群というものを聞いたことがあるだろうか?挫滅症候群とも呼ばれるが、がれきなど重いものに腰や腕、太ももなどが長時間挟まれ、その後圧迫から解放されたときに起こる。長時間圧迫されると筋肉が壊れ、筋肉中の物質(ミオグロビン、カリウム等)が血液中に多量に出てしまうことで人体に悪影響を及ぼすものだ。
筋肉が長時間圧迫されると、筋肉細胞が障害・壊死を起こす。 それに伴ってミオグロビンと呼ばれるたんぱく質や、カリウムといった物質が血中に混じり、蓄積されていくことで心臓や腎臓に影響を及ぼす
発症時間
重いものに2~4時間以上挟まれると起きるとされているが、実際には1時間程度でも起きることがある。筋肉が壊れることで起きる病気のため、筋肉量の多い若い男性ほど重症化しやすい。一般的に全身の骨格筋の30%以上が障害されると重症度が高くなると報告されている。
では、挟まれている人を見つけても何もしない方がいいのか、というとそうではない。水分を取らせ、救出されたら速やかに病院を受診されることが必要だ。以下は『ライダーと防災の可能性を探るウェブマガジン FIST AID』の「2時間以上挟まれている人をむやみに助け出すのは危険!」(2時間以上挟まれている人をむやみに助け出すのは危険! - FIST AID 100TIPS | ヤマハ発動機株式会社 (yamaha-motor.com))から抜粋している。
下敷きの人を発見したときに行うこと
1. 早急にレスキュー隊と救急隊を呼ぶ。
2. 倒壊物や体を動かさず、挟まっている状態のまま、飲める範囲で大量(1L以上)の水を飲ませ、血中毒素の濃度をさげる。
*救助がなかなか来ない場合
挟まれた部位より心臓に近い、腕や足の付け根を幅3㎝以上の布で縛る。始めた時間を布や体にメモし、30分に一度は4~5分間布を緩め、血流を補う。
3. 救助後、直ちに血液透析ができる災害拠点病院などへ搬送する。
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