見出し画像

ステラおばさんじゃねーよっ‼️58.桜の樹の下には〜白骨

👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️58.桜の樹の下には〜墓碑建立と連載 は、こちら。



🍪 超・救急車


1月18日、聖の墓碑建立の着工日を迎えた。

《河愛家之墓》と刻まれた墓石を乗せた小型トラックが、園の裏山に分け入った。

ひかりとカイワレは早朝からリムジンで、【しらゆり園】へ向かった。

その園庭を一時的に駐車場として使わせてもらえるよう、既に園との交渉は済んでいた。

あんなに工事立ち会いを切望したポーちゃんは、どうしても仕事が外せなくて不参加となった。

ポーちゃんは前夜、

「何かあったら、チャットちょうだいね!」

と何度も念を押してきた。

カイワレは、

「きっと、何もないよ〜」

とのんきに応えていた。

⭐︎

丘のてっぺんにある桜の樹の枝が、極寒の風に煽られ、大きく揺れていた。

最初で最後の手紙の中で、《桜の樹の下で眠りたい》と、聖はカイワレにせがんだ。

聖先生が大好きだった丘の、どっしりかまえる桜の樹の下に。ーーー

その遺志は、工事の現場監督や作業員にも、前もって伝えてもらった。

まずスコップで丁寧に手掘りし、それから小型ユンボで掘削し、石室を造る。

そしてその上に、墓碑の柵部を造築し、墓碑自体を組立てていく予定だ。

作業員数名がスコップで、その樹の下の土を掘り起こし始めた。

硬い土層は、掘削ドリルを使って土を柔らかくし、スコップで土を掻き出していく。

すると突然、作業員の誰かが奇声を上げた。

「なんなんじゃ、こりゃあ!」

コツコツと音がし、スコップに引っかかる何かが、土に埋もれている感触があるようだ。

作業員はやさしく土を掘り出していくと、

「白いのが、出てきたな。もしかすると骨、かもしれんな?!」

熟練された作業員がさらに横へと、慎重に掘り進める。

「やっぱり、人の骨や…」

数名の作業員が、ざわついた。

「お嬢さん、どうしますか?」

現場監督が、ひかりに問いかける。

するとカイワレが、脇目も振らずにその人骨が出た穴を目駆け、走ってきた。

「あ“あ“…あ“あ“あ“…わあああああー!」

カイワレは、絶叫し号泣しながら作業員を押し退け、散らばった白骨を無我夢中で拾い集めた。

ひかりはカイワレの豹変した姿を見て、聖からの手紙の一文を思い出していた。

ーお父さんの遺体は妹も知らない場所へ、わたしひとりで埋めました。ー

まさか、それって…。

かき集めた人骨をしっかりと胸に抱き、声にな
らない声を上げながら慟哭し、天に向かってカ
イワレは叫んだ。

「聖先生、どうして?!なぁ全部嘘だと言ってくれよ!!!」

ひかりは絶句したまま、落涙しないよう空を仰ぎ、今なすべき事は何なのか考えを巡らせた。

⭐︎

「皆さん、こちらへ集まってください!」

ひかりは、作業員に号令をかける。

「まずは今あるすべての骨を、一箇所に集めてください。その後、警察には届け出をします」

黒ずくめの作業着をまとい、安全靴を履くひかりが、屈強な男達を毅然とした態度で一喝し、取りまとめた。

ひかりは作業員に指示を終えると、ポーちゃんに人骨の発掘とカイワレの発狂について報告した。

——————————————————————
@utai

桜の樹の下には、たいしろうさんの父親の白骨が埋まっていた、みたいなの…。
——————————————————————

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?