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ステラおばさんじゃねーよっ‼️㊲大富豪の娘〜はじまりの朝

👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️㊱子供の勘 は、こちら。




🍪 超・救急車



いよいよカイワレの【母さがし】が、始まろうとしている。

作戦前夜、ポーちゃんは夕飯時にビールを飲みながら、唐突にそして率直にカイワレへたずねた。

「たいちゃん、何日か連休取れない?明日からとか。たいちゃんのお母さんを探すのに、カンちゃんちで計画練りたいんだけど」

「え!?カンちゃんて、神林さん?何で、ポーちゃんのフィアンセの家で打合せなの?」

「カンちゃんもお手伝いさせて欲しいって言うからさ。家は千馬城(ちばらき)県の春日玉(かすがたま)市だけど、カンちゃんちの運転手さんが車で迎えに来てくれるから、移動は問題ないし」

「お抱え運転手!?神林さんて一体何者?」

グラスにあるビールを一気に飲み干し、ポーちゃんは告げた。

「某財閥のお嬢様だよ」

「ポーちゃん、そんな人とどこで知り合ったの?」

「それはまた、おいおいね」

最近ポーちゃんの謎の側面が増えてきて、カイワレは寂しさに支配されそうになる。

そんな気持を悟られないよう、ポーちゃんに背中を向け、スマホでスケジュールを確認した。

「この土日なら休めるかなぁ」

「じゃあ僕も有給取るから、この3日間で計画立てよう」

「え?!3日も泊まり込みで?神林さんちで?」

「そ!お泊まり会みたいで楽しいじゃーん!」

ポーちゃんはご機嫌に、泡を立てぬようゆっくりビールを注いでいた。

⭐︎

翌朝、ファンファーレのようなクラクションが遠くに聞こえた。

神林 ひかりを乗せたリムジンが、ふたりのマンションの真下に停った。

「おはよう。うん、聞こえた。下に降りるから待っててね〜」

ポーちゃんはひかりと通話しているようだ。

3日分の荷物を詰め込んだカイワレのボストンバッグは、かなりパンパンになった。

一方ポーちゃんは、ショルダーバッグを肩に掛けるだけのいでたちだ。

おそらくひかりの家に、自分の荷物を置いているのだろう。

エントランスへ行くと自動ドアのガラス越しに車外で待つひかりが見えて、カイワレはあとずさりしそうになった。

ひかりの装いは、灰色ミンクのロングコートに、黒レース地ワンピースのミニスカートを履き、桃色のワニ革ピンヒールから生脚…と、初対面の雰囲気とのギャップが、激し過ぎるのだ。

「カンちゃ〜ん!おはよ〜」と、何事もなく手を振るポーちゃん。

「おはよう、ウタ!おはようございます、カイワレさん。本日から3日間、宜しくお願いいたします」

「こちらこそ、宜しくお願いいたします」

カイワレとひかりはまるで初対面のように、深々と頭を下げた。

「ふたりとも堅苦しい挨拶は、ナッシング!寒いから車に乗ろ!」

まるで自家用車かのような口ぶりで、ポーちゃんは冷えた手のひらをこすっている。

ひかりは微笑みながら、広々とした快適な車中へ、「どうぞ」とふたりを促した。

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