ステラおばさんじゃねーよっ‼️62.不眠症〜動じない強さ
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️62.不眠症〜赤鬼の夢 は、こちら。
🍪 超・救急車
看護師用の休憩室で、ふたりはテーブルをはさみ対面した。
看護師長とは、旧知の仲だ。
「あら、そう。大変だわね。それで、小鳥遊さん…休みたい?働きたい?」
診断書を見ながら、師長は知波の意向を訊いてきた。
「できましたら、お休みをいただきたいです」
「そうよね。あなたの意向はわかったわ。で、今度はこちらの状況ね。あなたもよくわかっていると思うけど、この病棟も万年人手不足だからね。とりあえず、向こう三日間はお休みを取ってください。スケジュールの調整をしてみます。また、三日後に、連絡くださいね」
そう言うと師長は立ち上がり、
「お大事にね」
と笑顔を向け、席を離れた。
知波は深いため息をつき、重たい腰を椅子から上げた。
⭐︎
仕事は順調に進み、5月号の準備稿が出来上がった。
カイワレは待てど暮らせど届かぬ知波からの返信メールに、業を煮やし切っていた。
あらためて歩に、メールを送る。
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@ayumu(╹◡╹)
お久しぶりです、元気ですか?
お母さんはまだ、体調がすぐれないのかな?
昨年お会いした直後から、まったく連絡が取れません。
歩ちゃんも忙しいかと思いますが、前回送ったメッセージだけでも見て、早急に返事をいただきたい、とお伝えください。
受験、頑張ってね!
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カイワレは知波に何かが起こっているのだろうと、ずっと考えていた。
知波への長い心配とイライラとが、カイワレに動じない強さを授けていた。
それは皮肉にも、聖と知波が引き起こした事件と向き合うための強さでもあった。
母さん、頑張って!
カイワレは生ぬるいコーヒーを口に含み、夢占いの本をあてもなくペラペラとめくっていた。
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