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こんにちは、ファイナンシャルプランナーの梅子です。皆さんは民間の保険には何か加入されてますでしょうか?

つい先日、「保険の見直しをしたいが、どう見直せばいいかわからない。」こんなご相談を受けました。

おそらく多くの方が民間保険に加入されているかと思いますが、なんとなくで入った、細かい内容はわかっていない、といった方も多いのではないでしょうか。

というわけで今回の記事では、保険についてどのように見直せば良いのか、順を追って解説したいと思います。

※火災保険・自賠責保険などの加入が義務づけられているものは別物なので、本記事では取り扱いません。


1. 保険で何を補いたいかを明確にする

どんな保険商品がいいかを考える前に大切なこと。それは、加入する目的を明確にすることです。保険によって何を補いたいか、必ず言語化してください。

<例>
・自分に何かあった時に、残された家族の生活費
・万が一、高額になった場合の医療費、入院代
・自分に何かあった時の葬儀代

少しめんどくさいと感じるかもしれませんが、
とても大事なプロセスです。
ただ漠然とした不安を補うためだけに加入してしまうと、

「念の為一番いいプランで」
「保障は全部つけておこう」

など、保障を手厚くしてしまいがちです。いくら万が一の備えとはいえ、備えすぎて、出費が嵩んでは本末転倒です。まずは、保険に加入することによって、何を補いたいのかを明確にしましょう。

2. 具体的にいくら必要かを計算する

目的が明確になったら、次は必要な金額の計算です。要は、保険がいくら降りたら足りるのかを明確にするということです。

・生活費の場合
現状の生活費ー自分の生活費×必要年数※
 ※お子様が自立されるまでに設定するのが無難

・学費の場合
現在のお子様の年齢、想定される進路を基に、計算しましょう。下記はあくまで目安値です。地域や学校ごとに異なるので、わかる方は通う予定の学校のHPなどを見て、正確な学費を確認しておきましょう。

(小学校)
公立 約190万
私立 約920万

(中学校)
公立 約160万
私立 約432万

(高等学校)
公立 約137万
私立 約290万

(大学)
国公立 約250万
私立文系 約400万
私立理系 約550万

・葬儀代の場合
どのような葬儀を行うかによって異なりますが、
よほど盛大にしない限りは、200万位内におさまりそうです。

友人・知人も招く一般葬    約200万
家族のみの家族葬       約100万
通夜と火葬を同日にする一日葬 約85万
火葬のみの直葬式       約45万

・入院費用の場合
下記サイトにて費用の平均値を見てみると、1日あたり2万7000円とそれなりの金額にはなるようですが、全体の57%の方は、1万5000円/日で収まっているようです。

https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/medical/011.html

入院費用を何がなんでも全てカバーしたいのか、半額くらいは保険で賄いたいのか。ご自身のお財布事情も加味して、決めるといいですね。

3. 万が一の時に得られる保障を確認する

さて、保険加入の目的・必要な保障金額が明確になったわけですが、ここで忘れてはいけないことがあります。

それは、
万が一の時に得られるお金や保障も計算すること

何かあった時に助けてくれるのは民間保険だけではありません。皆さんが加入されている社会保険からも保障は受けられるのです。

いくつか代表的なものをご紹介しますね。

・大学無償化制度
目安年収380万以下で、進学意欲や資産状況など条件を満たしていれば、学費の減額・免除を受けられる制度です。子供を3人以上同時に扶養していることが条件とされているので、限られた制度ではありますが、年間23万〜70万の授業料減免、年間30万〜91万の給付型奨学金を受け取れるなど、手厚い制度になっています。

・奨学金制度
まとまった金額を用意するのが難しい場合に、日本学生支援機構が、貸付をおこなってくれる制度です。

大きく分けると、
 貸与型(返済必要)
 給付型(返済不要)
になり、貸与型は無利子・有利子に分かれます。

給付型や無利子タイプは借りる上限が厳しくなってまうので、ほとんどの方は、有利子の貸与型になります。返済が必要とは言え、まとまった金額を一気に支払うのは家計にとって大きな負担です。奨学金制度もうまく活用しながら、長期的な支出のプランを考えていくといいでしょう。

・傷病手当金
病気や怪我で、長期間(4日以上連続して)働けなかった際に、給与の3分の2相当額が、健康保険からおりる制度です。最大で1年6ヶ月支給されます。

・高額療養費制度
1ヶ月の医療費が高額になった際に、上限を超えた金額は健康保険から返還される制度です。上限は所得や年齢に異なりますが、一般所得の方であれば、1ヶ月あたりの自己負担上限は87,430円。
医療費が20万かかろうが、30万かかろうが、87430円を超えた分は後から返してもらえるのです。

・遺族基礎年金
国民保険の被保険者が亡くなった際に、
子のいる配偶者に年金が支給される制度です。
配偶者と子1人の場合、年間100万5,600円が支給されます。

・遺族厚生年金
厚生年金の被保険者が亡くなった際に、
配偶者及び子供に年金が支給される制度です。
子のいない30歳未満の妻は5年のみの受給、子のない夫は55歳以上である限り受給できる(受給開始は60歳)といった条件はあるものの、条件を満たせば、子のいる配偶者は月3万〜6万受給できるなどメリットの大きい制度です。

※受給額は、亡くなった方が得ていた報酬(給与)の額により変動します。

・勤め先の死亡弔慰金、退職金
慶弔見舞金制度を導入している企業は少なくないので、ご自身もしくは配偶者の方の勤め先にもそういった制度がある可能性があります。
相場は3万〜5万程度と大きい金額ではありませんが、忘れてはならない存在です。

・葬祭費
国民健康保険に加入していた故人が亡くなった際に、その居住地の自治体から支給される給付金です。金額は3万〜7万と、自治体によって異なるようです。

・埋葬料
健康保険(会社員など)に加入していた人が亡くなった際に、故人に生計を維持されていた家族に支給される給付金のことです。こちらは、一律5万円の給付になります。

以上、他にも色々とあるのですが、上げ出すとキリがないので、これくらいにしておきます。
これだけでも様々な保障があることが分かりますよね。

何かあった時、国や自治体、勤め先からはいくらお金がおりるのか。前もって確認しておきましょう。

4. 保険以外の手段はないのか検討する

ここまでの流れを整理すると、
・保険で賄いたいことは何か
・それにかかる費用を明確にする
・国や自治体などから得られる保障を確認する
でした。

本来なら、
必要な金額ー得られる保障額=不足分
という計算式になり、
この不足分を保険金で補えばいいわけですが…

ちょっと待ってください!
もう一つ考えて欲しいことがあります。


それは、
他の方法で補えないかということ。
下記を参考に考えてみてください。

・貯金
今、銀行の貯金残高はいくらありますか?
不足している金額を貯金で賄うことはできないでしょうか。

・残された家族が今後得る収入
何か起きた際に、仮に無職だったとしても、
再就職したり、アルバイト・パートを始めるなど、
収入を得る手段はいくらでもあります。
特に、お子様に関しては、高校〜大学あたりから、
社会勉強も含め、アルバイトをしてもらうのは
一つの有効な手段と言えるでしょう。

ちなみに私自身の経験談でいくと、
高校まではお小遣い制でしたが、大学からは、
携帯代・定期代・教科書代・その他娯楽費用は
全て自分で稼いでいました。

このように、
保険に入らずとも、万が一のケースをなんとかできる打開策は他にもあるかもしれないのです。

過去の記事で、私は生命保険を解約した理由を記載しましたが、それもこういった理由があるからです。

保険を否定する訳ではありませんが、
加入前提ではなく、本当に必要だとわかってから商品選びをするようにしましょう。

5. 保険商品を選ぶ。

目的や金額、他の手段を確認した上で、それでも保険が必要だ!となれば、いよいよ加入する保険選びです。

記事が長くなりそうなので、本記事では細かい保険商品ごとの特徴は割愛しますが、下記ポイントを押さえておくといいでしょう。

・保険金の支給額
・支給される範囲(どういった場合におりるか)
・保険の対象(本人or 家族全員など)
・いつまで

当たり前のことですが、保険は対象となる人・症状・期間を広げれば広げるほど高くなります。

例えば期間であれば、
・子供が大学を卒業するまで
・仕事を退職するまで
など限定しておいた方がいいでしょう。

どこかで線引きしないと、
一生保険料を払い続けることになりますからね。

余談になりますが、
私の母は50代前半で子宮を摘出したので、加入していた保険から女性特有疾病の特約を外し、保険料をおさえたそうです。

こういった定期的な見直しも大事ですよね。

どうしても保険会社は商売ですから、
「これもつけといた方が安心」とあなたの不安を煽ってきます。

ですが、万が一のことに備えるあまり、保険料が高くなり、目の前の生活が苦しくなっては本末転倒です。

1.のトピックでお伝えした通り、加入の目的を忘れずに保険選びをしましょう。


6. 最後に

いかがでしたか?保険をどう見直せばいいのかについて、大切な流れをご説明しました。

お伝えした通り、保険に加入することが目的ではありません。何か目的があって、その目的に必要な金額を補うために保険が一つの手段として存在するのです。

いくら家族の為とはいっても、出費の一つであることに変わりはありません。国からの保障制度など、活用できるお金が他にないかを確認してから、最適な保険選びをしてくださいね。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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