見出し画像

【エッセイ】エンパス!現実主義の母と私と幽霊と 27. 母の乱心

 未亡人になってからの私の生活はというと、当たり前だが孤独になった。

 それはそうだ。以前鬱病になった際に全ての交友関係を自ら切ってしまったし。今回だって旦那の友人達との関係をバッサリ切ってしまったのだから。

 そんな私に母は早く再婚して孫を見せろと言ってきた。

 母は頑固な昔の考えの人なので、結婚こそが女の幸せだと思っているし、子供は老後の為に必要だと、面倒や世話をしてくれる子供がいなくてどうするのかと主張する。(それを聞いた私は母の老後の世話をする為だけの存在なのかと愕然としたが)

 口を開けば孫孫孫と、それがあまりにしつこくて、それで実際、旦那が亡くなって3ヶ月も経たない内に私は結婚相談所にも連れて行かれた。

 私がイヤだと意志を示したので、そこへは一度きりで、もう行く事はなかったが、諦められない母は孫が欲しいとヒステリーになった。

 四姉妹で孫がいないのは自分だけ!みんな犬猫みたいにポコポコ産んでるのに何で自分だけいないんだ! と兄にも八つ当たりした様で、家で落花生をぶち撒けていたと。

 挙げ句の果てに母は一番上の姉である叔母に私への手紙を書かせ、情に訴える作戦も決行してきた。


 あの時、本当に私はウンザリした。
 相変わらず母は自分の事しか考えない。人の気持ちに寄り添わない。表向きは心配している、私の為だというけれど、何もかも自分の為なのだ。どうにかして我を通そうとする。

 叔母さんも母にそそのかされたのか、送ってよこした手紙には早く再婚して幸せになってとか、早く孫を見せてとかそんな文言が並んでいた。それに対しての私の返事は――、

 “結婚したとしても幸せになれるとは限らない”  

 今回の結婚を通して、その事がよく分かった私はそう素直に書いて返事を出した。

 どこまでこちらの想いが伝わるか、それとも母と同じで伝わらないのか知らないけど、そこにはあえて私の苦しみの部分、子供の事は私も悩んで悩んで悩み倒したと当時の状況なども書き記した。
 その上で、今の母の孫欲しいアピールにウンザリしている。ヒステリーになって困っている。喧嘩になるからあまり会わないようにしているのだとそんな事も書き添えて。

 その後、何があったのか母の孫欲しいアピール及び再婚しろアピールはなくなった。不自然なくらいその手の話題は避けるようになったのだ。
 私の書いた事が何か効果をもたらしたのか何なのか、そこはよく分からないが、精神的に私はだいぶホッとした。



 次の記事はコチラ↓ No.28


 最初の記事はコチラ↓ No.1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?