[ひかり]


おじいさんが今にも眠りにつきそうです。

いや、決して永眠するということではありません。

ただ眠くなったので寝るということです。


おじいさんの胸が上下しています。規則正しくゆっくりと。寝てしまったみたいです。

あら、もう夢を見ているいようです。少しだけ覗いてみましょう。


屈強な人がいました。

その人はとても身体が丈夫で、誰からも尊敬と畏怖の眼差しを向けられていました。

その人はせっせと身体を鍛えて上げています。

その横に小さい男の子がやって来て言いました。

「何をしているの?」

屈強な人は瓦礫の中に咲いた一輪に花を見るような儚げな目をしていいました。

「強くなりたいんだ」

「どうして?」

「大事なものを失わないように、守り抜けるように強くなりたいんだ」

小さい男の子は少しだけ考えてみました。

でもよくわかりませんでした。

「じゃあ僕行くね」

小走りに男の子が走り去っていきます。

屈強な人は、男の子が無事にお母さんらしき人と手を繋いで歩き出したのを見届け、また腕立て伏せを再開しました。


屈強な人が今日も身体を鍛えます。

安心できる日は来るのでしょうか。

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