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【014】ミラノ工科大学サービスデザイン修士 Day11-15 デザインプロセス

Buongiorno。すーです。
ミラノはここのところずっと雨です。皆様どうお過ごしでしょうか?
私は相変わらずインプット過多でnote追いついていないのですが、、時差ありつつ少しずつ書いていきます。

Day11~15では、5日間かけてコンセプト生成からプロトタイピングまでデザインプロセスを一連で学びました。

※少し補足すると、私の通う1年の修士プログラムは前半6ヶ月が座学後半6ヶ月がインターンシップ+卒業制作という構成になっていて、前半の座学では以下4種類の授業が組み合わされて行われています。

  • Lecture

    • 講義(1〜3日)

    • ほとんどの場合で、ディスカッションやミニチームワークあり

  • Pill

    • 講義+実践(3〜5日)

    • デザインブリーフ(取り組む課題の説明)が渡され、数日かけてチームワークを行う

    • 途中にプレゼン+講師によるスーパーバイズあり

  • Master Class

    • 特別ゲストによるセッション(3時間程度)

    • ミニチームワークがある場合も

  • Workshop

    • 提携企業による長めのプロジェクト(2週間程度)
      ※まだ未経験なので、詳細は分からず

今回は上記でいうところのPillにあたり、初日にデザインブリーフが渡された後、ずっと5日間チームワークでした。ちなみに、私のチームはイタリア出身2人(1人はグラフィックデザイナー、1人は心理学者)・タイ出身1人(インテリアデザイナー)・私の4人でした。

デザインブリーフは、自分たちがサービスデザイン会社だとして、クライアントから「ミラノの消費者向けの新しいメキシコ料理のフードデリバリーサービスを提案してほしい」という依頼でした。

デザインプロセス

全体的なデザインプロセスは英国デザインカウンシルの「ダブルダイアモンド」というフレームワークに沿って進められていきました。

Design Council(2024) "Double Diamond"

具体的には左端の"Challenge(課題)"から右端の”Outcome(成果)”に至るまで4つのプロセスで発散・収束を繰り返しながら進んでいきます。

  1. Discover(探索):情報を収集し課題を理解する

  2. Define(定義):解決すべき課題を絞り込む

  3. Develop(展開):幅広く解決策を検討する

  4. Deliver(提供):解決策を絞り込む

前半のDiscover・Defineが「解決すべき正しい課題を見つける」、後半のDevelop・Deliverが「正しい解決策を見つける」フェーズです。

授業では1日目に全体プロセスの説明があった後、後は各プロセス毎に短い説明+ワークを繰り返して、進められていきました。

正しい課題は…?

まずは「解決すべき正しい課題を見つける」フェーズです。この課題設定が1番大事で、講師の先生からも幾度となく強調されました。

実は今回のデザインブリーフは、前回授業のエスノグラフィーで行ったリサーチと関連するテーマになっており(!)、前授業でデスクトップやインタビューで集めたインサイトも参考にしつつ、また新たにDiscoverもしながら解決すべき課題を”How might we…?"という質問に落としていきました。

私たちのチームは最終的には「どうしたらアレルギーや宗教的な理由で食事制限がある人が、メキシコ料理のデリバリーを楽しめるか」という課題セッティングをしました。

正しい解決策は…?

解決すべき課題を置いた後は、解決策を探っていきました。
私たちのチームでは、アレルギーや宗教的な理由で食事制限がある人に焦点を置いたため、ソースや調味料含む各料理の情報開示+個人カスタマイズがキーになると考え、いくつかのサービスプロトタイプを作成していきました。

初期段階では忠実度低いLow Fidelity(ローファイ)のプロト、後半にかけて忠実度の高いHigh Fidelity(ハイファイ)プロトを作成し、各段階でフィードバックを集め、改善を回していきました。

  • プロト1:サービスのロールプレイ✖️クラスの他チームへテスト

  • プロト2:プロダクトのペーパープロト✖️大学内にいた誰かへテスト

  • プロト3:プロダクトのデジタルモックアップ・ランディングページ✖️クラスの他チームへテスト

  • プロト4:プロダクトのデジタルモックアップ・ランディングページ✖️よりターゲットユーザーに近い誰か(ベジタリアンの人など)へテスト

プロト2。大学内を歩いていた他学部の生徒に試してもらう
フィードバックをもとに、改善点を探っていく

実際はダイヤモンドを行きつ・戻りつしながら進んでいったので、もう少しプロセスは複雑(というかほぼカオス笑)だったのですが、兎にも角にも手を動かしながら高速に創り上げていきました。

※ちなみに、『THIS IS SERVICE DESIGN DOING』というサービスデザインの教科書のような本(ありがたいことに日本語訳もあります)のサイトにデザインプロセス中に使える様々なテクニックが載っており、これらも参考にしつつチームでプロセスを組み立てていきました。

後日の評価・フィードバック

Pill・Workshopは、後日講師から生徒個別に対して評価・フィードバック(FB)があるのですが、なんとnoteを書いていたらちょうど返ってきたので、こちらも併せて書こうと思います。

評価項目は以下4つ・各項目30点で評価され、別途コメントもあります。
※ちなみにLecture含めた全ての授業後に生徒→講師への評価・FBもあり、記入しないと講師からの評価・FBが受け取れない仕組みになっています。

  1. 知識理解、応用

  2. クリティカルシンキング・問題解決能力

  3. コミュニケーション・プレゼンテーション

  4. 積極性・協力性

正直チームワーク中は、どうやって個人のこと見ているんだろうなと思ってましたが、返ってきたコメントは割と的確でおお!と思いました。笑

自分は1と4は結構良かったのですが、2・3は伸び代があるなという感じでした(自分でも自覚あります)。

特に2に関しては、単なる問題解決能力というよりは「クリティカルシンキングを鍛えなさい」というコメントでした。前提を疑ってみたり、今ある仕組みを疑ってみたり、、これは日頃どのように情報に接していくかが大事だと思うので意識してきたいです(鍛える良い方法があったら知りたい)。

コミュニケーションに関しては、もちろん英語の伸び代もあるのですが、根っこには長年染み付いてきた自分のコミュニケーションの癖があるなと最近ひしひしと感じているので(言語に関わらず、人の話を聴いたり・描いてまとめたり・良さそうな方向を暗に示していくのは得意なのですが、時に言い切ったり・これだという方向に強く引っ張っていくのが苦手)、サービスデザイナーとして勿体無い部分は長期的に改善していきたいなと思いました。

まとめ

5日間、チームメンバーのコミュニケーションスタイルもデザインプロセスの理解もバラツキある中、進めていくのは結構ハードでしたが(時に休みの日にも集まったりしました笑)、今となってはこの授業が別のLectureやPillのチームワークの礎になったなという感じがしています。

個人的にはやはりチームでがっつり濃密にやるのは好きなのと、今までのスタートアップでの経験や知識の断片を繋ぐような形で一連で体感できて良かったな〜と思いました。あとはプロトを持って他学部の生徒やシェアアパートのメンバーにインタビューするのは楽しかったです(昔からどんなPJでも定性インタビューの瞬間が1番くらいに好きです)。

一方で、今回はデザインプロセスを学ぶという目的だったので、講師からある程度のガイドもあり1つ1つのプロセスも準備はそこまで時間かけずにやってみる重視でしたが、実際のPJはプロセス全体の設計・各プロセスの質がアウトプットの肝になるので、何をどのように組み合わせていくか引き出しを増やしていくとともに、1つ1つの質を高められるように実践経験を増やしていきたいな〜と強く感じました。

めちゃ長くなってしまいましたが、誰かや何かの参考になれば嬉しいです。明日は美術館に行きますが(第一日曜は無料開放している美術館が多い)、もう1本記事を書きたいところです、、!それではCiao〜!

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