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父の幕引き 14 いつもの父

2020年6月25日

ドキドキしたけど
昨夜も今朝も
病院から電話はなかった

早く行っても間がもたないので

面会時間になるのを待って
14時に父の顔を見に行った

13時半くらいに

父から電話があった
何言ってるかわからないけど

父の言葉が本当に聞き取れない私
難聴を放置していたからだいぶ耳が悪くなった

父の電話はきっと、

まだー?ってことだと思う
待ってる待ってる

病室にヤッホーと顔を出す

父は昨日と違って
メガネも時計もしていない

やっぱり昨日はおかしかったんだ

昨日持ち帰らせたボストンバッグを見せても
覚えていないらしい
やっぱりね

代わりに呼吸器が付いていた
本人は息苦しさはないというが
酸素の量が減ってるらしい

そのせいか手足は冷たい
血圧もまだ低そう

父の言葉が聞こえにくい私にとって

呼吸器は口の動きまで見にくくなる

これはヤバイな
またイラつかせるな、、

低音の聞き取りが苦手な私
姉に頼ることにしよう

穏やかな表情の父
冗談も言うし
ガラケーをスマホに変えたいから探しといて とか

布団はしんどいから
介護用のベッドを探しておいて とか

しっかりこれからの生活のことも考えてる

なんだ、普通だ
よかったよかった

でも、
尿の袋を見ると
全く増えてない
出てない
それはよくない兆候だと
本で読んだことがあるし
母が亡くなる前もそうだった

看護師さんに
ポロシャツを着てる父の着替えが大変なので
前あきのパジャマがいいと言われた
なので病院のレンタルセットを申込んだ
浴衣のような寝巻きになった
やっと病人らしくなった

それから下着を汚すのを気にしてるので
オムツもいるから下の売店で買ってきてと言われた
毎回買いに行くより
一日数百円なので病院の入院セットも申し込み
(寝巻きやオムツなどで490円/日)

父は抵抗なくオムツも使うのか、と安心した
食べてないのに便は出るのかーと不思議な感じがした

担当医もやってきて
丁寧にこれからやることを教えてくれた
おしっこが出てないので
薬を使ってこうやってこうしていきます

担当医は父の足をさすり
頑張りましょうね!と声をかけた

ハイ!と父は元気に答えた

私たちは
17時の面会時間終了までいた

「じゃあ帰るわ、またねー」と父に声をかけて
病室を出ようとすると

また話し出す父

電話を切る時、
家に遊びに行って帰る時、
いつも必ず終わり際に話し出す
引き止めたいのか、癖なのか

今日は
姉を捕まえて
何かを一生懸命に伝えてる父

「うんうんわかった」
姉がうなずきバイバイした

後で、何言ってたの?と聞くと

「洗濯物のつけおき洗いの仕方を説明してた。
私も主婦歴長いから知ってるのに。」

ホントにしっかりしてる父
笑いながら、また父の家に帰った

姉と2人で
父の家で夕食を食べながら話した

千葉から兵庫へ来た姉と
鎌倉からきた私
いつまで続くかわからないこの状況

元気そうに見えたし
長くなるのかな?

いつ帰るかも決められない
家族はほったらかしてきた

どうする?順番に帰る?
交代しながら様子見る?

でもそういえば
今日父の病院で
途中、看護師さんに廊下に呼ばれて
聞かれた
「もしもの時の病院を出る時のお父さんの服は
どなたが用意しますか?」

ギョッとした

元気そうに見えるけど
やっぱり忍び寄ってるんだ、その時は。

どこで判断するのだろう?
私たちにはわからないなにか?

尿の量や
血圧や心拍数とかでみてるのかな?

姉との結論は

「ようし、こうなったら
毎晩2人でここで宴会して、
いつまででも父に付き合って
ずっと居てあげよう!」

そう決めた

毎日、父のところへ行き
毎日近くのスーパーに行き
毎日その日の食べたいものを買ってくるスタイル

これでいこうと決めた

姉妹でこんなことができるのも
滅多にない機会だからね

毎日宴会、イイね

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