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人はそれほど

人間は凡夫である。

「あの人とは気が合わない」
「なんでこうしてくれないんだろう」と
ついつい不平不満を並べてしまう生き物だ。

感情には波があって、移ろいゆく。
常に感情にはプラスとマイナスが存在する。


私には、苦手な人が「いた」
あくまでも過去形である。


SEKAI NO OWARIが
リリースした人気曲「habit」

初めは中毒性のあるリズムと、
インパクトのあるミュージックビデオ
というイメージでしかなかった

ある日、何気なく歌詞を見ていたら
最近自分の頭の中でぐるぐると考えていた
もやもやがスーッと消化されたような気がした

"気付かない本能の外側を
覗いていかない?気分が乗らない?
つまりそれはそんなシンプルじゃない
もっと曖昧で繊細で不明瞭なナニカ"

人間は知らず知らずのうちに、本能的に
そして身勝手に「分類、区別、ジャンル分け」
している

明るい人-暗い人
気が遣える人-空気の読めない人
親しみやすい人-近寄り難い人

人それぞれ自分の中の正解を持っていて
自分だけの物差しで、自分よがりに
相手を図っている。


ある日、苦手だったあの人と
"初めて"二人きりで話すタイミングがあった。

初めは「気まずい...逃げ出したい。最悪だ」と
思ったがhabitの詞に微かな希望を貰い、

何気ない会話を展開してみた。
いつもならこれ以上踏み込まない話題も
もう一つ質問を投げかけてみた。

すると柔らかい笑顔で、返してくれた。

「あ、こんなにもシンプルなことだったんだ」
と胸を撫で下ろした覚えがある。

その日を境に、私は相手の知らなかった一面を
幾つも知ることになった。

「読書にハマって運転しながらでも読んでいたの」
「外国人の友達がいてね、」
「これは私が作った作品でね、」

今ではパーソナルな部分まで
快く見せてくれるようになった


私の母がよく言う言葉がある
「無知は罪だよ、知ろうとしてごらん」

この歳になってその意味が少しずつ
分かってきたように思う

私はあの人のことを
少しも、知らなかった。

というより知った気になっていた。

世の中には
「陰-陽」など簡単に差別化できる対義語が
いくつも存在するが

人間はまさに
"複雑で不明瞭なナニカ"であり

嫌いになれるほど、その人を知らない。

どんなに憎い人であっても
その人の幸せを心底願う人が必ずいて、

難しいと思っていた人間関係こそ
意外とすんなり分かり合えてしまうものだとも思う。

だから面白いし、人が好き

無知な自分を恥じる必要なんて無くて
距離を置きたくなったその時に、

ただ一つ「本当にその人を知っている?」と
疑問を持てる自分で在りたい。

自分でも自分のことなんて100パーセント
分かりっこ無いのに、赤の他人を全て理解するなんて、竜の鬚を蛾が狙うようなものだ。

でも知ろうとする感情こそが
豊かで、心底美しいと思うのです。
相手の見えなかった部分が見えた時、
やっと本当の意味でのスタートを切れる。

そんなふうに思うのです🌸

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