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視聴済み1000作品から推し映画を選ぶ Part.12 インド映画編

きっと、うまくいく

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あなたの人生が光り輝くヒントがきっとある!大学時代の親友3人が織りなす、至高の人生感動エンターテインメント。 舞台は日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。未来のエンジニアを目指す若き天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラージューの“三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させるハチャメチャ珍騒動を巻き起こす。 彼らの合言葉は「きっと、うまくいく!!」

 面白いインド映画と言えば、まず思いつくのがこちらの一本。比較的有名な作品なので知ってる方も多いかもしれませんが、非常にクオリティの高いエンターテイメント作品となっています。

 インドの名門工科大学の大の仲良しの3人組が大バカを繰り広げながらも身の回りの世界を変えていくというお話。3時間という長尺ですが、全く苦にならないくらい楽しめる作品となっています。

 世間的なしがらみに囚われず、自由に真っ直ぐに行動するランチョーが魅力的に思えるのは無理もありません。良き友人のファランとラージューも彼と関わる内に変わることができました。

 そして、この映画ではインドの社会問題も学ぶことができました。インドがIT大国なのは知っていましたが、インドは若者の受験戦争が激しくて若者の自殺率が世界的に見ても高いこと。それは、カースト制度を飛び越えて社会的な高い地位に就くことができるからだそうです。

 その知識を知ってからこの作品を見ると納得できる描写が多くあります。そして、本作がなぜ作られ、なぜ多くの人の称賛を得ているのかも、より分かると思います。これは現代におけるインドの社会問題をテーマにしながら、高い次元でエンタメに昇華した価値のある一本となっています。

パッドマン 5億人の女性を救った男

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インドの小さな村で新婚生活を送る主人公の男ラクシュミは、貧しくて生理用品が買えず 不衛生な布で処置をしている最愛の妻を救うため 清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつく。日々 研究とリサーチに明け暮れるラクシュミの行動は 村中の人から奇異な目で見られ 数々の誤解や困難に直面、ついには村を離れるまでの事態に。それでも諦めることなく 彼の熱意に賛同した女性パリーとの出会いと協力もあり ついに低コストで大量生産できる機械を発明、農村の女性たちに ナプキンだけでなく 彼が発明した機械を使って働く機会をも与えようと奮闘する最中、彼の運命を大きく変える出来事が訪れる――.

 最愛の妻のため周りから奇異の目で見られても安価で衛生的な生理用品を作ろと奮闘するとするラクシュミと、やがて彼に感化され変わりゆく周りの人たちとの汗と涙と愛を描いた物語。これが実話というのだから本当に凄いです。

 私自身はじめは半信半疑で見始めましたが、かなり面白い作品でした。コメディも織り交ぜながら話が進んでいくので、重たくなりすぎず笑いながら見ることができます。

 インドでは生理は不浄なものとして考えられ、しかも不衛生な布を使っているそうです。ナプキンは高価で手が届くものではなかった。そんな事実を知り、周りからの蔑視に負けず身銭をはたいて、愛する妻と生理障害に苦しむインドの女性たちのために信念を貫いたラクシュミ氏の行動。

 そして、お金のためではなく純粋な探求心が原動力のエンジニア精神。見習うべきものばかりでした。特に彼の終盤のスピーチは、ラクシュミの人柄が表れていて感動します。こちらは、女性よりも男性にこそ見て欲しい作品かもしれません。

シークレット・スーパースター

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14歳の少女インシア(ザイラー・ワシーム)のただ1つの夢はインド最大の音楽賞のステージで歌うこと。しかし厳しい父親は、叶わない夢に大反対。歌うことを禁じてしまう。そこで彼女は顔を隠して歌った動画をこっそりとYouTubeにアップ。彼女の歌声はたちまち大人気となり、その話題は若干落ち目の音楽プロデューサー、シャクティ・クマール(アーミル・カーン)との出会いをもたらすが・・・?

 「きっと、うまくいく」でお馴染みのアーミル・カーンがプロデューサー役で登場する、歌手を目指す14才の少女のシンデレラストーリー。厳格な父から素性を隠してYou Tubeに歌を上げたところ、反響が大きくなりやがて有名な音楽プロデューサーの目にも止まるようになるというお話。

 サクセスストーリーとしては王道のあらすじかもしれませんが、インド映画らしいコメディ、音楽の軽快さと、ジンと来て最後はスカッとする人間ドラマが非常に上手くハマっている作品になっています。

 本作は、好きな夢を純粋に追いかける少女の姿が眩しいのと同時に、彼女に反対する父や自分の意見を言えない母との関係性がどうなっていくか、そして自分が親になった時に子供に何をしてあげられるのかを考えられる一本にもなっています。

PK

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 留学先のベルギーで大失恋し、今は母国インドのTV報道局で働くジャグー(アヌシュカ・シャルマ)は、ある日地下鉄で黄色いヘルメットを被り、大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の飾りをつけてチラシを配る奇妙な男(アーミル・カーン)を見かける。チラシには神様の絵に「行方不明」の文字。興味を持ったジャグーは、「PK」と呼ばれるその男を取材することに。「この男はいったい何者?なぜ神様を捜しているの?」しかし、彼女が男から聞いた話は、にわかには信じられないものだった―。いまだ世界中で巻き起こる社会問題に鋭くメスを入れつつも、自分の人生に迷うすべての現代人のターニングポイントにきっとなる、笑いも涙も詰まった珠玉のドラマ。 

 もしも本物の宇宙人が、人間が崇める「神様」を知ったら?「きっと、うまくいく」のラージクマール・ヒラニ監督が描く、”宗教”をテーマにした異色のコメディ作品。

 実は本作の主人公である、変わり者のPKは本物の宇宙人なのですが、人間が宗教や神様と向き合う姿を見て疑問を持ち始めることになりますい。そして、その疑問は痛いけど、正論と思えるものばかり。誰もが恐れて投げかけなかった宇宙人視点での禁断の質問が、やがて人々を大きく巻き込む事件に繋がることになるとは夢にも思いませんでした。

 インド映画でここまで切り込んでいいの?と思えるくらい大胆な切り口な作品ですが、PKの投げかける疑問は痛快で気づきを得られるものばかり。宇宙人という俯瞰で物事を見た時の彼の視点には、ワクワクさせられっぱなしでした。

 そして、この作品は決して信仰を否定している訳ではありません。むしろ、形だけの信仰に疑問を投げかけ、自分が信じることや人を愛すること自体への素晴らしさを説いてくれています。

 そして、それが一本の娯楽作品の中に詰め込まれているというありがたさ。それこそが、この作品の価値ではないでしょうか。

マダム・イン・ニューヨーク

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シャシは、二人の子供と夫のために尽くす、ごく普通の主婦。彼女の悩みは、家族の中で、自分だけ英語ができないこと。夫や子供たちにからかわれるたびに、傷ついていた。姪の結婚式の手伝いで一人NYへ旅立つも、英語ができず打ちひしがれてしまう。そんな彼女の目に飛び込んできたのは「4週間で英語が話せる」という英会話学校の広告。仲間とともに英語を学んでいくうちに、夫に頼るだけの主婦から、ひとりの人間としての自信を取り戻していく。

 英語が喋れないことがコンプレックスのお母さんが、姪の結婚式で訪れたニューヨークで一念発起して英会話を勉強して心が輝き出すお話。努力することの大切さを教えてくれて前向きになれる素敵なサプリ映画です。

 英語を喋れることは、喋れる人からしたら当たり前のことですが、喋れない人からしたら、本当に世界が変わるような大きな出来事です。通学する英会話教室の仲間たちと親交を深めながら、英語を学ぶ度に世界の映り方が変わっていく様子が、楽しい音楽と映像でとても豊かに表現されていました。

 冒頭では知らない言葉で溢れた街に対する不安感が描写されていましたが、私自身ひとりでNYに行った時のことを思い出して共感しました。でも、お店の人とちょっとでも会話が成立すると、それだけで何か大きいことを成し遂げたような達成感が生まれるんですよね。

 ラストのシャシのスピーチにも心が揺さぶられます。新しい世界に自由な気持ちで飛び込むことの素晴らしさを彼女は体現してくれていましたが、愛すべき人や大切にすべきものがある事も同時に教えてくれました。

 本当に前向きになれて、素晴らしいメッセージ性もある一本なので、万人にオススメできる作品です。

きっと、またあえる

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受験生の息子が病院に担ぎ込まれた!?そこへ集まった、いまは親世代になったかつての仲間たち7人。年を重ねて、太ったり容姿もだいぶ変わったけれど、学生時代に泣いて笑ってバカをやったあの日の友情は変わらない。受験に失敗した友人の息子を励ますため、悪友たちは「負け犬時代」の奮闘を病室で語り出す--。

 若い頃どうしようもない友人たちとバカやってはしゃいだ青春。この映画はその青春の愛おしさと、そんなどうしようも無い青春の失敗談でも誰かの心に勇気の灯をともせる可能性があることを教えてくれます。

 冴えない大学生たちが寮対抗のスポーツ大会で万年ビリを脱出するために奮闘するお話なのですが、普段はしょうもないことをしている日常パートと本気で勝つためにチャレンジをする試合パートで、笑いと熱さのマリアージュが癖になる一本になっています。

 そして、そのお話が現代に繋がってどんな結末に至るのか…。過去の現在のお話が交錯する二段構えの構成になっているので、面白さも二倍になっているお得な作品です。

バーフバリ 伝説誕生 / 王の凱旋

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赤ん坊の時に巨大な滝つぼで村人に救われ、勇ましい青年へと成長したシヴドゥ。運命に突き動かされるように滝の上へ辿りついた彼は、女戦士アヴァンティカと恋に落ちる。彼女とともに暴君が支配する王国との戦いに挑んだシヴドゥだったが、自分がこの国の王子バーフバリであることを知る。その背景には、祖父の代から続く王位継承権の争いがあった。そして勇者たちの威信をかけた壮絶な伝説が始まった──!!

 ただただ、バーフバリ叙事詩が描く、圧倒的スケールのお話に飲み込まれるだけの映画体験。こんな壮大な世界観、ストーリーのヒロイック・ファンタジーを生きてる内に見られることに圧倒的感謝です。

 本作では、バーフバリという男が生まれてから国を治める過程が描かれており、前編と後編を合わせると何と5時間にも及ぶ大長編になるのですが、途中のミュージカルシーンが上手いこと幕間を繋いでいるため、テンポよく話が進んでいきます。そして、何万人もの軍勢同士がぶつかり合う圧巻の戦争のシーンは必見中の必見です。

 そして、作品を見た後は思わず興奮して「バーフバリ!バーフバリ!」と声を上げたくなるほど、鑑賞後まで熱が冷めやらない太陽のような熱い大作でした。決して、ロード・オブ・ザ・リングに負けない大河のようなスケール感のファンタジー作品となっています。

バジュランギおじさんと、小さな迷子

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パキスタンの小さな村に住む女の子シャヒーダー。幼い頃から声が出せない障害を持った彼女を心配したお母さんと一緒に、インドのイスラム寺院に願掛けに行くが、帰り道で一人インドに取り残されてしまう。そんなシャヒーダーが出会ったのは、ヒンドゥー教のハヌマーン神の熱烈な信者のパワンだった。バカがつくぐらいの正直者で、お人好しなパワンは、これも、ハヌマーンの思し召しと、母親とはぐれたシャヒーダーを預かることにしたが、ある日、彼女がパキスタンのイスラム教徒と分かって驚愕する。歴史、宗教、経済など様々な部分で激しく対立するインドとパキスタン。 それでもパスポートもビザもなしに、国境を越えてシャヒーダーを家に送り届けることを決意したパワンの旅が始まった。

 迷子になってインドに取り残された失語症の女の子シャヒーダ―をパキスタンに送り届けるため、パワン(バジュランギおじさん)が奮闘する深い愛の物語。

 パワンとシャヒーダーが旅をするなかで、多くの壁にぶつかる度に愛の力で乗り越えていく姿は美しいですが、やがて余りにも多くの人々を巻き込んでいく物語の広がり方がとても素晴らしかったです。

 そして、私はこの映画でインドとパキスタンの間にこんなにも大きな溝があることを知りました。誰もが楽しめるエンターテイメントでありながら、深刻な国際問題へと一石を投じるような強いメッセージ性のある素晴らしい作品でした。

ダンガル きっと、つよくなる

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レスリング選手のマハヴィル(アーミル・カーン)は、生きていくためにオリンピックへの道を断念し、道場で若手の育成に励んでいた。彼は息子を金メダリストにすることを夢見るが、生まれた4人の子供たちは全員女の子だった。ある日、長女と次女がけんかで男の子に勝ったことを知ったマハヴィルは、二人をレスラーとして鍛えようとする。

 インドのお父さんがレスリング大会で優勝する夢を、2人の娘に託して世界大会へと挑む実話に基づいたスポ根ドラマ。

 最初は自分のエゴを娘に押し付けるなんてと思っていましたが、インドでは女の子は10歳と少しで顔も知らない旦那に嫁ぐ風習があるそうです。そうした環境のなかで、お父さんは娘たちが自由に生きられるようにしたいという強い想いがあったので納得できました。

 そんな社会派のテーマがありつつ、ベースのお話はスポ根!親娘の愛!努力!勝利!なので、エンタメ映画として普通に楽しく見ることができます。劇中の”ダンガル!”のテーマソングも力強くて耳に残ります。

マッキー

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ジャニ(ナニ)は近所で暮らす美女ビンドゥ(サマンサ・プラブー)に思いを寄せていて、彼女もジャニのことが心に引っ掛かっていた。しかし、建設会社社長のスディープ(スディープ)もまた彼女に夢中で二人が相思相愛になったことを知ると、マフィアの顔も持つ彼は激怒した揚げ句ジャニを殺害する。やがて小さなハエに生まれ変わったジャニは、殺された恨みを晴らそうとするが……。

 世界初・ハエが主人公の映画。恋敵に無惨にも殺された男がハエに転生して、恋敵への復讐を誓う物語。

 アントマンのようなアリサイズのパワフルヒーローではなく、本当にただ意思と知性を持っただけのハエです(笑)。勝ちの目の無い絶望的な状況ですが、機転を効かしてあの手この手で復讐をしようと奮闘する様子が大変コミカルで面白かったです。

 ハエ目線での世界の描写がとにかくリアル(?)なので、設定の可笑しさに惑わされずに是非とも見て欲しい作品です。

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