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【没デッキ供養】第1回:ブラック・トマホーク【遊戯王マスターデュエル】

序文

皆さん、こんばんは。
普段は割かし真面目な方のデッキ解説記事(主に【ブラック・マジシャン】関係)を投稿することが多いのですが、今回はネタ回です。
その名も、クソデッキ没デッキ供養シリーズ!
実は裏でなんやかんやと新たなデッキを開発し、その度に全てゴミ箱に捨ててきた筆者の、ぼやけたアイデアと迷走しまくる構築と深夜テンションの勢いで溜まりに溜まった没ネタの数々を、まぁ、せっかくだから(?)世にさらしておこうという感じのやつです。
デッキ構築時の反面教師にでもしてやってください。
それでは、はりきってまいりましょう!

デッキ構築の経緯

では、早速ですがデッキの紹介から……と思ったのですが、今回はデッキを構築する経緯から話した方が良さそうなので、そちらから語っていこうと思います。

事の発端は、約半年前。
マスターデュエルで言うと"ダイノルフィア"あたりが実装され、ブラマジ使いの筆者がそろそろ《イリュージョン・オブ・カオス》実装かと胸躍らせていた時期です。その後数か月にもわたって待ちぼうけを食らう羽目になるとは夢にも思いませんでしたが
で、この時期。筆者が普段使っていた【ブラック・マジシャン】デッキはキーカードを探すための《金満で謙虚な壺》が制限カードになり、安定性を大きく失っていました。
そのため、私はどうしても《金満で謙虚な壺》に頼らない【ブラック・マジシャン】の構築を模索せざるを得なくなりました。
もちろん、他のデッキを使えばいいという話ですし、実際、その時期に組んだ【エクソシスター】や【六花】で今も遊んでいたりするんですが、それとは別に、どうにかして【ブラック・マジシャン】の安定性を担保することはできないか。なにか革命的なまでの構築のアイデアが落ちていないか、未知の可能性をしっかりと確認することはデュエリストとして大事なことだと思っていたのです。
ただ、結果として、この試みは《成金ゴブリン》というキーカードを見つけるまでには至ったものの、それ以上のデッキの安定化を見込むことは出来ず、最終的に「《イリュージョン・オブ・カオス》を待つしかない」という結論に至りました。その後数か月にもわたって待ちぼうけを食らって半ばキレ気味になってましたが

ブラマジデッキの屋台骨

しかし、この時の考察の中で、話の本題とは別のところで発見がありました。
それは、"ブラック・マジシャン"カテゴリーの相互互換(シナジー)のパターンです。
まず、大前提として【ブラック・マジシャン】デッキは《ブラック・マジシャン》と、それをサポートする《黒の魔導陣》や《永遠の魂》といったカードで構成されています。このへんは過去の記事でも紹介しているので、気になった方はご一読ください。
そして、当然ですが、《ブラック・マジシャン》は何の能力も持たない、いわゆるバニラモンスターであるため、サポートカードには「《ブラック・マジシャン》を場に出す」ものと「《ブラック・マジシャン》を使うことで恩恵を得られる」ものの2種類があるわけですよね。前者は《マジシャンズ・ソウルズ》や《永遠の魂》、後者は《黒の魔導陣》や《黒魔術の秘儀》など。

デッキから直接ブラマジを場に出せる
②効果でブラマジが場に出たら1枚除外

しかし、この当時の"ブラック・マジシャン"カテゴリーのカードで、能動的に《ブラック・マジシャン》を場に出せる実践的なカードは《マジシャンズ・ソウルズ》と《永遠の魂》ぐらいで、それ以外は《融合派兵》あたりしかないのが実情でした。
特に、自分のターンに即座に場に出す手段がテーマ内に《マジシャンズ・ソウルズ》しかない点。これが本当に致命的で、このあたりが《イリュージョン・オブ・カオス》の実装を待たざるを得なかった理由にも繋がるんですが、とにかく《ブラック・マジシャン》を場に出す手段がないのが【ブラック・マジシャン】デッキ最大の課題だと感じたわけです。

ただ、ここまで考えたあたりで、話の本題からは逸れるものの、ひとつのひらめきが私の脳内に降ってきました。
「《ブラック・マジシャン》を場に出す」サポートカードは【ブラック・マジシャン】デッキに必須だが、もう1つの「《ブラック・マジシャン》を使うことで恩恵が得られる」サポートカードはその限りではないのではないかと。
要するに、《黒の魔導陣》や《黒魔術の秘儀》などを別のサポートカードに置き換えた、新機軸の【ブラック・マジシャン】デッキを組むことは可能なのではないかと考えたわけです。
もっと言えば、《永遠の魂》すら使わずに《マジシャンズ・ソウルズ》1本で《ブラック・マジシャン》を供給することを基本戦略とするようなデッキですよね。
《イリュージョン・オブ・カオス》の万能さがあれば、あながち不可能ではないだろうと思いました。

そして、このアイデアを支えたもう一つの理由が、このカード。

地味にカードパワーやばいやつ

通常モンスターの頼もしき味方。"天威"カードです。
まぁ、これは天威に限った話ではないですが、そもそも《ブラック・マジシャン》は"通常モンスター/闇属性/魔法使い族/レベル7"など、いろいろなカードのサポートを受けることが可能です。事実、さっき紹介した《融合派兵》なんかは"融合素材として参照できる"点を活かしていますしね。

でも融合召喚しか出来なくなるデメリットは辛い

それに、意外と簡単な条件で特殊召喚できるレベル7モンスターというのは現代遊戯王においても希少な部類で、《マジシャンズ・ソウルズ》と"天威"カードを除くと《雷仙神》なんてマイナーカードに声がかかるレベルだったりします。

実は【天威ローズ】という環境デッキに採用されたこともある

なので、《ブラック・マジシャン》と"天威"モンスターをはじめとするレベル7モンスターや各種チューナーを使い、ランク7エクシーズモンスターや高レベルシンクロモンスターを呼び出すのは、意外とアリな戦略だなーと思いました。
カードを2枚消費するというデメリットも"天威"カードや"ローズ"チューナーが上手く補完してくれそうでしたし。

ハリファイバーさえ生きていれば……

また、"ブラック・マジシャン"カテゴリー内に《クロニクル・マジシャン》というランク7エクシーズに打ってつけのカードがあったことも追い風でした。

実は《天威龍-ヴィシュダ》の特殊召喚にも反応する

……まぁ、結果的には《イリュージョン・オブ・カオス》が実装されるよりも前に《水晶機巧-ハリファイバー》が禁止カードとなったので、シンクロ召喚方面に舵を切るのは断念したんですけどね。
そもそも【天威ローズ】デッキと動きがダダ被りしますし。

そんなわけで、今までの【ブラック・マジシャン】デッキとは違う、別軸の【ブラック・マジシャン】デッキ(コードネームは【ブラック・マジシャン・オルタナティヴ】)を《イリュージョン・オブ・カオス》の実装を待ちながらアイデア出ししていたんですが、紆余曲折を経て、手元には2つの構築案が残りました。

ひとつは、先ほど紹介した"天威"カードとガッツリ組み合わせた【天威ブラマジ】とでも言うべきデッキ。

デッキというか、採用候補カードをかきあつめただけ

多彩なランク7エクシーズモンスター/高レベルシンクロモンスターにアクセスできるため、カジュアルに遊ぶ分には申し分なさそうですが、先攻の時に出来ることがあまりないと判明したため、採用候補カードを集めた時点で没にしました。
現代遊戯王で先攻を取った時に何も出来ず、かといって後攻でしっかりとした捲り返しを狙えるわけでもないとなると、流石にランクマッチに持っていけるデッキにはならないだろうと考えたのです。

そこで、もう1つのデッキ。
こちらには割と将来性がありそうだと思ったので、こちらのデッキを仕上げていくことにしました。
そのデッキが、これ。

通称【ブラック・トマホーク】です。
デッキの核になるのは、デッキ名にもなっているこのカード。

《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》

単体のエクシーズモンスターとしては破格の最大6体のモンスターを場に展開でき、しかもたいしたデメリット効果もなし。
つまり、リンク召喚し放題!《幻獣機アウローラドン》を絡めればシンクロ召喚もし放題!
これがレベル7モンスター×2体という緩い条件で出せるのですから、使わない手はないですよね。むしろなぜみんな使わないのか!
……まぁ、その理由は、後になって嫌というほど思い知ることになるんですけどね。

【ブラック・トマホーク】とは?

ここまでの話の流れで粗方察してもらえると思いますが、このデッキは要するに、
1:《マジシャンズ・ソウルズ》や《天威龍-ヴィシュダ》などを場に特殊召喚する。
2:《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》をエクシーズ召喚する。
3:展開ルートに沿って大量展開で盤面制圧!これで勝つる!

というだけの簡単なデッキです。

ただし、簡単なのはコンセプトだけで、その中身を突き詰めていくのは至難の業でした。
なにせ、この《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》というカード。これ1枚から可能な展開ルートのパターンがあまりにも多すぎる!
《幻獣機アウローラドン》を絡めたシンクロルートのバリエーションもですが、それ以前に大抵のリンクモンスターにはアクセスできますし、禁止前の《ユニオン・キャリアー》で《守護神官マハード》を装備することで追加の《ブラック・マジシャン》を特殊召喚できたりしたので、なんやかんやでエクシーズ召喚まで視野に入れられたりと、まぁ、やれることが多すぎましたね。

また、手数だけでなく、展開ルートに必要なカードの枚数も問題でした。
単純に《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》から《召命の神弓 アポロウーサ》の召喚を狙うだけでも、間にリンクモンスターを数体挟まなければならず、どうやってもEXデッキの圧迫は避けられません。
《幻獣機アウローラドン》を採用した場合はなおさらです。展開を伸ばすためには《幻獣機オライオン》以外の出張パーツも必要になってきますし、あまりその手のカードを採用しすぎると、今度は手札事故が怖くなってきます。
出張パーツを採用するリスクとリターン、その塩梅を見極めるのがデッキ調整の段階で一番辛かったといっても過言ではないですね。

で、結局、採用したのが以下の展開ルート。

これ以外の選択肢は出張パーツの枚数が嵩張りすぎたので止めました。
また、墓地に"天威"カードを溜め込みつつ《虹光の宣告者》で《イリュージョン・オブ・カオス》をサーチできる関係上、いくらか制圧力の低い盤面でも、相手に十全な動きさえさせなければ返しのターンで追加の展開を行い、どうにか捲り返せるだろうという目論見もありました。

そんなこんなで、初動に必要なパーツも少なく、実践級の展開力もあり、明確な勝ち筋もある。そんなデッキに仕上げた……はずだったんですよ、えぇ。
ところが、この思惑は、いざ実践に持ち込んだ途端、いくつかの理由から瓦解していきます。

このデッキの弱点

・手札事故が酷い
《幻獣機オライオン》や《光竜星-リフン》など、展開の最中にデッキから持ってくる予定のカードを素引きしたら辛いというのは承知の上だったんですが、そこから更に《ブラック・マジシャン》の素引きや《イリュージョン・オブ・カオス》などの重ね引きも含めると、ほとんどの場合で、初手に何かしら問題を抱えていることが多いです。
少なくとも、初手5枚のうち1枚は使い物にならないと考えた方が良いレベルですね。
一応《イリュージョン・オブ・カオス》が手札を整理する能力を持っているので、それでどうにかできなくもないんですが、その場合もその場合で《イリュージョン・オブ・カオス》が手札に居座るだけなので、手札を交換できているわけではないんですよね……

・妨害に弱い
構築段階で《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》に《無限泡影》を打たれると困ることは分かっていたので、指名者2種をガッツリ採用した上で《儀式の準備》などからサーチできる《古聖戴サウラヴィス》で追加のケアなども行っていたのですが、それ以前に《イリュージョン・オブ・カオス》のサーチを《灰流うらら》で止められるのが地味に辛かったです。
サーチ妨害ぐらいなら追加で星7モンスターを1体持っておけばいいだろうと暢気に構えていたんですが、実はこのデッキ、初動で使う星7モンスターは実質18枚ほどしかなく、追加の1体どころか、最低限動き出すために必要な2枚すらギリギリ引けるかどうかというラインなのです。
確率で言うと75%ほど。それなりに引けはするでしょうが、毎回ちゃんと引き込めるかというと怪しい部類です。
そのうえ、3枚以上引く確率も40%ほどしかなく、また、天威龍の重ね引きなど、場合によっては2体出せない組み合わせも存在するため、予想以上に《灰流うらら》に弱いデッキになってしまいました。

・後攻から捲れない
妨害に弱いということは、相手の先攻展開を後攻から咎める手段にも乏しいということになります。
構築段階では《宣告者の神巫》からの《旧神ヌトス》落としや《天威龍-ヴィシュダ》のバウンスなどで対処するはずだったのですが、先述の通り、デッキの基本パーツが少ないため、その対応策を取ると、こっちが初動に使うカードを1枚消費しなければならないことになります。
実際、ヴィシュダを相手の妨害を剥がすために使わざるを得なくて、そのせいで十分に動き出せないようなパターンもちらほらありました。

・盤面制圧が出来ない
出張パーツの枚数などを考慮して若干弱めの展開ルートにしているという話を先ほどしましたが、それとはまた別に、最近は何かと展開していても、後攻から相手がそれを無理やり乗り越えてくるパターンも珍しくありません。
《超融合》や壊獣、《禁じられた一滴》など、後攻から制圧盤面を乗り越えるカードはそれなりにあるので、そもそも「先攻で大量展開して盤面を制圧しよう」というコンセプト自体が若干インパクト不足ですよね。
やるなら【スプライト】や【アダマシア】のように展開した上で後続まできちんと確保できるようにするか、もしくは盤面を埋めるほどにモンスターを並べるかしないと駄目な気がします。
一応、このデッキも《虹光の宣告者》から《イリュージョン・オブ・カオス》を持ってくるという後続確保手段はあるんですが、不思議とあんまり機能しないんですよね、これ。
先ほど語った通り、手札事故防止のために《イリュージョン・オブ・カオス》が手札に残ってしまっているので、このサーチの意味があまりないという……

以上が、このデッキを没デッキにした理由になります。

今回の反省点

今回は複数の要因からダメ出しされたパターンなので、どれが一番まずかったかというのはあまりないですが、強いて言うなら《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》があまり使われていない理由を一度どこかで慎重に考えるべきだったのかもしれません。
このカード、確かに書いてあることは強いですが、このカードから大量展開をしようとすると出張パーツやEXモンスターを大量に動員しなければならず、どうしてもデッキとしてまとめ上げるのが難しくなってしまいます。
デッキ構築に限らず、自分の価値観と周囲の認識にズレを感じた時、そこにどういった原因があるのか考察するのは大事ですよね。
そうすれば、このカードがデッキの核とするにはあまりにも脆いという点にも気づけたでしょうし。
……いや、まぁ、本当は途中でなんとなく気づいていたんですが、試してみないと分からないだろうと思考停止してしまった節がありますね。通れば強いという側面もあったので。
そう考えると、このデッキは没になるべくしてなった、意味ある失敗だったのではないかとも思います。

それに、自分で言うのもなんですが、展開ルートのための出張パーツの採用度合いなどは割と上手く行っている方だと思うので、言うほど回らないということはなかったりもします。
通れば強いです。通れば。

まとめ

いかがだったでしょうか。
正直、書いている途中から「言うほど失敗作って感じでもないな、これ……」ってなりましたが、それでも、手札誘発の妨害にすら耐えられないという時点で現代遊戯王を戦うデッキとしてはあまりにもナンセンスな気がします。
それでいて、動きが半ばガチっぽいので、カジュアルデッキとしての役目も果たせそうにないですし。
カジュアル以上ガチ未満というのが一番扱いに困る気がします。
それでは、最後になりますが、ここで一言。
みんな、こんなデッキは組むなよ!
せめて、この記事を見て、このデッキをコピーしようとか思う人がいないように。手札誘発と手札事故でストレスだけが溜まっていくので。
では、また。


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