Create Cat#0

 ある世界の何処かに奴はいた。その気になれば、ありとあらゆるものものを具現化できるという夢のような能力を持った…ネコが!            

何でも作れるネコこと、エンピツは一匹で、自分が作った(というか描いて出してる)おもちゃで今日も遊ぶ。毎日絵をかいてはおもちゃで遊ぶのだ。         
「平和だなあ」                           
と言いながら、しかし何事も終わりはある。それが明日なんて…     
意外とあることだったりする。                    

エンピツはベッドから起き、朝食を食べ、歯を磨き、ペンと、ノートを机から取り、靴を履き、二足歩行で家の近くにある草原へ行く。ノートの形をした飛行爆弾誘導装置ミサイルコントローラーと、ペンの振りをした小型飛行爆弾小型ミサイルでどこかを爆撃する…わけではない。
どこにでもあるペンと、ごく普通のノートで、絵を描こうとしていた。しかし、そこには『ヒト』と呼ばれるものがいた。そいつはエンピツが背伸びしても、膝までしか届かないぐらい大きい。エンピツはそいつに『箱』と呼ばれる物で捕まえられてしまった。
「ここはどこだ。」
とエンピツが呟いたように言う。するとヒトが怒鳴る。
「起きろ!!」
とその声でエンピツは飛び起きる。なにせネコは人間の約8倍の聴力を持っているのだから、そのうえ怒鳴られたのだから飛び起きるのも当たり前だ。エンピツの耳が音に悲鳴をあげている間にエンピツは、良く言えば頑丈な部屋、悪く言えば牢屋に閉じ込められていた。そこでヒトが
「この紙に書かれているものを描き写せ、一日で500個」
と言って、あるものの設計図を投げ渡した。それは後に「戦車」と呼ばれるものの原型だった。しかしこの時の戦車はウォーターカッターにミサイル・火炎放射器・ちゃぶ台返しマシーン・酸欠になると有名な吹き矢、等々この時にできることすべてつぎ込んだような不格好な戦車だった。これを一日で500個描けというのだからこれほどツライ仕事はないだろう、とエンピツは思いながら描いた。すると、ヒトからカリカリ(ビスケットみたいなネコのゴハン)や、マタタビ(聞いた通りのもの)を貰った。それがうれしくて、十日ぐらい続けていたら、飽きてきた(ネコは飽きやすいのだ。)。
 しかしこの良く言えば頑丈な部屋、悪く言えば牢屋からどのように出ればいいのか、その答えを出そうと考えるが、空回りする。
 行き詰って、壁にもたれかかると、レンガの一つが抜けかけていることに気付いた。他にも強く押せば抜けるところや、下のレンガを抜けば抜けそうなところがあった。これで脱出できると思った矢先、ここが8メートルの高さにあることを思い出した(ねこは中途半端な高さから落ちると態勢が整えられないのだ。)。これでは逃げれない、と半分絶望しながら、鉄格子の嵌った窓を見た。すると風船が上がってきた。ここでエンピツは有り余る紙で、風船を描いた。すると風船が紙から出てきた。エンピツはネコパンチでレンガでできた壁の今にも抜けそうなレンガを叩き、壁を壊し、風船と紙、ペンを持ち、牢屋から脱出したのであった。
 兵隊が後ろから「待て!!」と声をかけるが、エンピツには聞こえはしない。エンピツはただ「カリカリもらっとけばよかったなあ」とか「どうやって降りよかな」「カラスに風船を割られないか」と考えるのみ。ふわふわと漂いながらお家を目指す。


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