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「私のお気に入りな奴」ジャルジャル風

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その名の通りです。私が好きな文集めました。一応、好きな順ではあります。
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2023年10月の記事一覧

金木犀の香水

金木犀の香水

とっくに落ちてしまったあのオレンジは、その色と香りにそぐうようないっぱいの秋をお知らせしてくれた。

必要以上に、そして贅沢に。何かのキャッチコピーかのように自然と鼻いっぱいにこれでもかと秋の匂いを誘う。

その季節に終わりの合図はきっとない。

探偵っぽくあの秋の匂いがするオレンジを探す。夏も冬もそっと佇んでいたであろうに、その存在は色ずくまでは控えめにしている。

季節の始まりは静かで、落ちた

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秋に恋ふらく

秋に恋ふらく

肌色が少なくなる季節に、そろそろ壁に掛けたクーラーのリモコンにホコリが溜まる季節を想う。

こんな季節だからだろうか。あの友とこんな会話をした。

「誰か隣に居ないかな」と。

どんな歌を聴いても、どんな風が吹いても、どんなレイヤードに肌を隠しても、この季節は一段と寂しさが乾燥しそうなどこかに沁みわたる。

だから人は「人肌恋しい」なんて言葉に身を任せて、その寂しさを埋めたい気になる。

だけどね

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