見出し画像

休日の朝

 あれはいつの記憶だろう。遠足の朝、まだ日の昇りきらない薄暗い時間。目覚まし時計よりも先に、「遠足だー!」と飛び起きたことがある。遠足でなくても、旅行やイベントなどのある日にわくわくしてパッチリ起きる、そんな経験をしたことがある人はきっと少なくないだろう。寝ている間も「明日は遠足だ!」という強い意識が頭のなかにあって、そのわくわく感が眠りを中断させてしまうというのはとても不思議だ。

 平日の朝。身支度を整えていると、後から起きた息子が「まだママと一緒に寝たかったのに〜」と頬を膨らませながらポテポテとやってくることがある。そんなときは身支度を中断し、息子と一度布団に戻る。5分だけでも並んで横になり、頬を優しくなでたり抱きしめたりするとわりと満足してくれるのだ。要求を断って不機嫌になられるよりも、5分を捧げて満足していただく方が結果的に時間を食わない。私も息子とくっついて過ごす時間が大好きだ。
 それでもまだ布団から出たくないと息子がごねるときは、お姫様抱っこをして「大きな赤ちゃんだな〜」とぼやきながらリビングへ搬入する。息子の「お布団で一緒に寝たい」は甘えたい気持ちの現れだ。17kgのゴツい赤ちゃんとして丁重に扱うと、されるがままだ。(ただしめちゃくちゃ重い)
 平日はそんなふうにお布団と母の温もりへの未練をにじませている息子も、土日は違う。いつもより30分以上早く起きることも多い。「元気になった!」と言いながら飛び起きることもあれば、起きてすぐにニコニコしながら「アルプス一万尺しようよ」と誘ってくることもある。「昆虫展に行こう」と7時から靴を履きだし、とりあえず開館時間まで待ってくれということも。

 息子の休日の朝は、いつだって遠足当日だ。今日は何をして遊ぼう?新しい遊びを思いつくかもしれない。今日はどんなことが起こるだろう?新しい発見があるかもしれない。目覚ましの時間なんて関係ない。新鮮で、自由な朝のにおいに飛び起きる。
 でも、大人の私はちょっとつらいから、たまには少し遅い時間に起きてもらえると嬉しいかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?