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我が家の運転事情 (やさしさって難しい)

我が家が所有する車は1台。

運転するのは、平日が私、週末が夫。
長距離を運転する時は、夫。

何となく分かれている。

運転距離は短いが、回数は多い私。
近所の近道や抜け道は、私の方が詳しいと自負している。

運転距離は長いが、回数は少ない夫。
長距離ドライブは、お手のもの。

しかし車を使うのは、平日でも休日でも、近所での買い物が圧倒的に多い。
休日、夫が車を出す時が問題なのだ。

夫は、近所の近道に明るくない。
しかし、道を教えようとすると何となく嫌がる。
自分の手で道を発見したいようだ。

その思いを汲んで、例え夫が遠回りをしようと、あえて近道を教えなかった私。

教えないことがやさしさ。
そう思っていた。

しかしある休日、想定外のことが起きた。

夫が出先でお腹の調子を崩したので、私が運転することになった。

出先と言っても行き慣れたスーパー。
ただ夫と私では、使う道が違う。

走りやすい大通りを選ぶ夫に対し、抜け道を多用する私。
この日もつい自分の癖が出て、出先からの帰りに抜け道を通った。

すると夫が言った。

「いつもこの道を使うの?」

「そうだよ。こっちの方が早く帰れるから」

すると、夫の顔が少し険しくなった。

「この道を知っていたのに、あえて何も言ってくれなかったの?」

思わぬ指摘に、私はたじろいだ。

「うん。だって道を教えても嫌そうにするからさ。走りやすい道を自分なりに選んでると思ったから、あえて言わなかったよ」

夫は少し考えてから言った。

「こんなに良い道知ってるなら、教えて欲しかったな」

(え?教えて欲しかったの?)

声には出さないが、驚きを隠せない私。

教えないのがやさしさだと思ったのに、違ってた?
無理にでも教えた方が、やさしさだったの?

私は混乱した。
やさしさの食い違いに、頭を抱えてしまった。

「じゃあさ。私が道を教えてもイヤな顔しない?」

恐る恐る聞いた私に、夫は答えた。

「わからない。でもイヤな顔しないようにする」

ここで、この件の話は終わったが、私には疑問が残った。

やさしさって何だろう。

あえて教えないことも、
教えてあげることも、
指摘されてもイヤな顔をしないことも、
やさしさなのかな。

使い方を間違えると、やさしさでなくなる。

やさしさは奥深い。
そして、難しい。

【あとがき】
この文章は、2024.6.1の放課後ライティング倶楽部から出されたお題「やさしさ」で、facebookに投稿したもので、少しだけ編集しました。
「やさしさ」って、受け取る側によっては「やさしさ」じゃない時もあるなと感じた、実体験です。

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