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妻と音声配信。
「もっとトークが上手くなりたい」
スタエフという音声配信を聞き終えた妻が、ぽつりとつぶやいた。
何やら、少ししょんぼりしている。
「え?どうしたの?」
「先週、スタエフにゲストで出たって話したでしょ?だけど、今日の配信でゲストに来てた方のトーク聴いたら、とにかく上手で。私のトークはまだまだだなって思ったの」
「でも先週、楽しそうにしゃべってたじゃん。こっちからすると何ひとりでしゃべってんの?って思ったけど」
そう。先週木曜日、妻は別室に閉じこもって、楽しそうにしゃべっていたのだ。
「先週は、しゃべってるときは楽しかったよ。だけどね。比較しちゃうと、トークが未熟だわと思うのよ」
妻の表情は晴れないままだ。
音声配信がどういうものか分からない自分にとっては、何と言ったらいいかわからなくて、どうしたものか考え込んでしまった。
「少なくとも、楽しそうにはしていたと思うよ」
そう言うのが精いっぱいだった。
しばらく妻は、SNSをしていたようだが、やはり時折考え込んでいる。
トーク、勉強しないといかんなあ
— ゆに (@sunflower_yuni) June 20, 2024
「まあ、しゃべるのが精いっぱいだもんな。人を楽しませるところまではレベル高すぎだし、求めすぎかな」
妻はぶつぶつ言いながら、入浴に行った。
音声配信なんて知らないジャンルだから、何といっていいか分からない。
アドバイスをするべきか、話を聞いてあげるだけでいいのか、今回はよくわからない。
そもそも妻は、いつも何かを始める時の理想が高い。
自分に厳しいので、もう少し気楽にやればいいと思うことが、圧倒的に多い。
そして生真面目で心配性でもあるから、自分を追い込むところがある。
でもな。「気楽に考えたら」っていったら、逆に怒られそうだもんな。
そんなことを考えてたら、妻が戻ってきた。
「さっき言ってた音声配信、まだこれからもやるとは限らないし、そんなに深く考えることじゃないかな。でも、やっぱり楽しく話せるスキルは身に着けたい」
そんなことを言いながら、風呂上がりの麦茶を飲む妻。
少し気が晴れたか。
「とりあえず今は聞くのを楽しみたい。しゃべるほうは、機会があれば気を付けることにするよ」
どうやら、自分の出る幕はなく、自己完結したらしい。
何だろう。
面白くない。
何もアドバイスしてない。
何かいいこと言いたい。
「あのさ」
思い切って話しかけた。
「うん?」
「それは伸びしろかもしれないよ」
やばい、ノープランでいいこと言っちゃった!
妻がきょとんとした顔でこちらを見ている。
「ええと…」
(なんか、良いこと言わなきゃ!)
「音声配信でしゃべったの、2回目なんでしょ?なら、上手くしゃべれなくて当たり前だから。いろいろ聴いて、これから勉強すれば伸びるんじゃない?落ち込まなくていいと思うよ」
一息でバーッとしゃべった。
妻はちょっと微笑んだ。
「ありがとう」
そういって、持ってた麦茶を飲み干した。
どうやら元気を取り戻したようだ。
<あとがき>
6/20のヤスさんのスタエフを聴きました。
その時ゲストで上がったおかぐちや源太さんのトークが上手で。
スタエフ経験者だから上手なのは当たり前ですが、羨ましくなっちゃったんですよね。
それを夫に話をしたときのことを、夫目線で書きました。
あとで夫から、「あのアドバイス、実は何も考えてなくて必死で何か言わなきゃと思って言っちゃったんだ」と言われ、今回の記事を思いつきました。
適当な思い付きかもしれないけれど、励まそうとしてくれた心遣いには感謝です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ヤスさんのスタエフ(ゲスト:おかぐちや源太さん)
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