【詩】炭酸刺繡 サイダー
きみのまねをして
同じサイダーを飲んだ日
「いっしょだね」って
きみは笑いかけてくれた
「おいしいね」って言った
その笑顔がまぶしくて
ぼくの心は
きみ一色になった
きみはサイダーが好き
その日に知ったきみのこと
きみのことを考えたくて
あの日と同じサイダーを
飲むようになった
ある日
きみは聞いてくれたんだ
「あなたもサイダーが好きなの?」
「うん」
思わずそう答えたけど
いつもサイダーを飲むのは
サイダーが好きだからじゃなくて
サイダーを飲む
きみが好きだから
きみがぼくをどう思っているか
本当は心の底から
知りたいと願う
でもこわくて聞けない
聞けなくて
サイダーをごくりと飲みこむ
ぼくの気持ちを知ってか知らずか
きみは笑顔で話しかけてくれる
たわいのない会話
ほんのひととき
それでもぼくにとっては宝物
サイダーの泡のように
キラキラした一瞬
刺繡のように
縫い付けてでも残したいひととき
それを味わいたくて
ぼくは今日も
きみと同じサイダーを飲む
藤家 秋さんの企画に参加しています。
前回の詩が不幸そうな話になってしまったので、
今回は明るくと思ったのですが、
甘酸っぱくなってしまいました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
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