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色とりどりの彼女の宝物たち

私は子どもたちが描く絵が好き。

写真館で勤めていたときは、親御さんが撮影したお写真をセレクトしている間、手持ち無沙汰の子どもたちによく大きな画用紙とクレヨンを渡して絵を描いてもらった。

大きな画用紙いっぱい、用紙の端っこギリギリまで絵を描く子や、クレヨン全色使って絵を描く子、水色が好きでずっと水色のクレヨンで画用紙を塗りつぶすのに一生懸命な子、とにかく丸を紙いっぱいぎっしり描く子、私の似顔絵や、自身の自画像を描いてくれる子と様々。

想像力を働かせて、時間を忘れて絵を描く子どもたちの表情がとても好きだ。
目がキラキラしている。ものすごい集中力で無我夢中に画用紙に向かう子どもたちが羨ましいなと思う。

私も小さな時は絵を描くのが好きな子どもだった。
昔のカレンダー(企業や美容院から粗品でもらったりする大きなやつ)やチラシの裏面にめいっぱい絵を描くのが好きだった。
花の絵や空の絵、大好きな父方のおじいちゃんの顔を描いたものと沢山描いていた。
それをおじいちゃんが海苔の缶やお菓子の箱に大事に残してくれていて、おじいちゃんが嬉しそうに私の絵を保管して、たまに見返しているのを見て、おじいちゃんを喜ばしたくて夢中に絵を描いていた。
私が感じる「楽しい」を、おじいちゃんと一緒に共有していた。

中学高校と美術をかじってきたけれど、学校を卒業するといつしか絵を描くのを辞めてしまった。
分野違いの専門学校に入ったから、というのもあるけれど、あんなにも時間を忘れて、色とりどりの色鉛筆に囲まれて描いていた絵なのに、大きくなってからは他人と自分を比較するようになってしまって、いつしか自分が描く絵が恥ずかしいと思うようになってしまった。
高校でのデッサン講評会で思い出すのは、みんなの作品と一緒に並べられた時に胃がキリキリして冷や汗をかいたことだった。

でも子どもたちは私と違って、純粋に絵を描くこと、物を作ることを楽しんでいる。

去年の冬頃、沢山の荷物を抱えてご家族が撮影にいらっしゃった。
かばんから沢山出てきたのは、撮影に参加するお子様が描いた絵と図工の作品たち。
この作品たちと一緒に写真を撮ってほしいとご希望があり、撮影が始まった。
私はとてもワクワクしたのを覚えている。

画用紙で作ったパソコン、トイレットペーパーやラップの芯で作った変身ステッキ、折り紙の切れ端をたくさん合わせた紙のお洋服。
色とりどりの作品が部屋を埋め尽くす。
彼女と、彼女のお母さんとお父さんの宝物たちだった。

子どもたちと触れ合うと色々と気付かされる。
子どもたちの無垢な感情、想像力、優しさ。
忘れてはいけないな、と思うのに大人になるとおろそかにしてしまうことが沢山ある。


誰とも比較せず、誰も傷つけず、自身を楽しませることって大人になると難しくなるけれど、進んでやっていきたいな。
きっと自分を大切にする人は、他者も大切にできると思う。

今でも子どもたちに描いてもらった絵は大切にしています。
見ているといつも元気をもらえるから。

子どもたちが画用紙に向かう横顔を見ていると、純粋に誰に見せるためでもなく、自分を楽しませるだけの絵を描いてみたくなるのです。

読んでくださってありがとうございます。頂いたサポートは撮影時に子どもたちを楽しませるものに使わせて頂きます◎