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モネの瞳に憧れて

小学生だったある日のこと。

図工教室に入ると、机いっぱいに何かが置かれている。

近寄ってみると、いろいろな絵がプリントされているポストカードの数々。

皆、頭に疑問符を浮かべつつも、

ちょっとワクワクした空気が教室に満ちていく。


「机に置いてある絵の中から、気になるものを選んでみて。

 いくつでもいいよ。」


先生の声で、クラスメイトたちがわあっと机に群がり、思い思いに探し始める。

私も早速加わって、「あ、いいな」と思ったものを4枚ほど選んでみた。


一通り選び終わると、先生は私たちを席に着かせて、

「誰が描いた絵か、裏面を見てごらん」と言う。

なるほど、裏に画家の名前が書いてあるんだ。

いったいどんな人たちが描いたんだろう。とカードを全部ひっくり返してみると、


4枚、すべてのカードに同じ名前。

これが、「クロード・モネ」との初めての出会いだった。



以来、モネはずっと私の一番大好きな画家で、

ことあるごとに、様々な美術館へ足を運ぶきっかけになったし、

旅先で美術館に立ち寄る習慣もできた。


ーーー



時折、私はなんでモネの絵にこんなに惹かれるんだろう、と考える。

直感的に「好きだ」と感じることによる部分が大きくて、

はっきりと文章にするのは、とても難しい。

でも一つ言えるとすると、モネの「瞳」への憧れ、だと思う。


モネの絵は、近づいてじっくり見ると、驚くくらい様々な色が使われていて

でもそれらがぶつからずに溶け合い、柔らかく優しい色合いを生み出している。

私が仮に同じ景色を見たとしても、きっと同じように捉えることはできない。

だから、モネの絵と向き合う時、

私はモネの瞳を借りて、当時彼が見つめた景色を覗かせてもらっている。

そんな特別感があるのだ。


いつか、モネが暮らしたジヴェルニーを訪れて、

彼が時間を変えて、季節を変えてずっと描き続けた風景を、自分の目で見てみたい。

きっとその時にはさらに、モネの瞳への憧れが増すだろうな。

いつ叶うかわからないけれど、私の夢だ。



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