生の舞台はやっぱり必要だと思った話。


先日、とある舞台公演を観にいく機会があった。

約5ヶ月ぶりだろうか。


チケットは自分でもぎっておき、半券のみを提出して入場。

アルコール消毒と検温を行ったのち、

掲示されているQRコードから、座席位置と緊急連絡先を登録して、

登録画面を見せたら、客席内への入場が可能になる。


座席は2、3席ずつ空けられていて

普段は激混みの女性用トイレも並ばずに入れる。

いつもなら賑やかなロビーも、どこかおとなしめだ。


やっぱり普段と全然違うなあ、と思っていたけれど、

真っ赤な緞帳を目の前に、椅子に腰掛けたら

ようやくここに来られたな、と。実感がじわりじわり、湧いてきた。


やがて、開演5分前を知らせるチャイムがなり、

さっきスマホの電源落としたよね…?と念のためチェック。

久しぶりだったので、ちゃんと落とせているか心配で2回は確認した。


そして。

オーバーチュアが流れ、幕が開くーー。



目の前で音楽が奏でられ、

誰かが全力で演じ、歌い、その歌声が会場いっぱいの空気を震わせる。

その光景が、あまりに眩しくて、尊くて、心が震えた。

自分の中でずっと欠けていたものが、満たされていくような感覚。

これが足りていなかったんだ。これを待ちわびていたんだ。



この状況下で、今後、舞台公演はライブ配信で代替できる、という意見もちらほら出てきていると聞く。

もちろん、感染拡大の懸念が常にあり、様々な事情で劇場に来られない人もいる中で、

ライブ配信という選択肢が生まれたこと自体は良いことだと思っている。


一方で、生の舞台がライブ配信に置き換えられる、とはどうしても思えない自分もいる。


チケットを取り、その日のために一生懸命予定を調整し、体調を整えて。

いざ当日、チケットを握り締めて、精一杯のおしゃれをして向かい、

劇場という非日常空間に足を踏み入れ、

目の前で繰り広げられる全力のパフォーマンスを全身で浴びて、全力で受け取る。


別にどちらも変わらないでしょ、と思う人だっているだろう。

でも私にとっては、生身の人間が目の前にいるのと、画面越しにいるのとでは

受け取れるものが全然違う。


今後、状況がどうなっていくかはまだわからない。

また感染が広がるようなら、さらに中止が重なることもあるかもしれないし、

各劇団、そして観客にもますます危機管理に対する意識が求められると思う。


でも、生の舞台には意味があると信じているし、

生の舞台を観ることを諦めたくない。

そして、舞台に立ち続けたいと願う人たちのことを心の底から応援したい。

改めて、そう思った日だった。

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