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生きてます。HSP & ASDでもね。

【5】普通じゃないなら


 こんにちは。

きょうは、自分の「親」に思ったことを、お話ししようと思います。

誰かを傷つけたいわけじゃないから、もしも「あ、イヤだな」と思ったら、無理せずこのページを閉じてくださいね。


 昭和を四半世紀しか経験しなかった私と違って、私の両親は戦前、戦後に生きて来た人たちです。
戦争にも、そして敗戦を機にそれこそ天変地異のように変化した社会や価値観の大変化にも、大きく振り回されて生き延びて来ました。

自分が子供だった時には解りませんでしたが、たぶん、私の父も母も、「発達障害」的な資質があったと思います。そしてそれゆえの生きづらさを味わって来たのかもしれません。

だから、そこには親としての気持ち、すなわち「親ゴコロ」とか「親の愛」ゆえの心配や心痛があったのだと理解した上で、それでもなお、思うことがあります。
それは……

 『あんなにも "普通" を期待しないでくれていたら』

です。

今にして思えば、小学生の頃からズレまくっていた私は、「普通」の子供とはまるで違っていたのでしょう。
詳しくは割愛しますが、学生だった私は各教科の取り組みにも極端なムラがあり、ある時は100点、別の時は0点……というように、成績も一定しません。教科書が面白くないとその教科を放り投げるのに、中学生で図書館の特定作家の全作品を読破していたり。
例外的に一貫してダメだったのは体育。そして常に高得点続きだったのが、図画工作~美術。そして作文でした。

私本人は、自分の好きなこと、得意なことがはっきりしていたので、「漫画家になる」と心に決めていたのですが、その希望を知った途端、両親は私が持っていた漫画や描いていた原稿を庭にかき集めてすべて焼き捨ててしまいました。
この、一種の「焚書」行為は、私の心を深く打ち砕きました。
自分が大事にしていたものを無理やり取り上げられ、破壊されたのですから。この時の悲しみと、だいじなものを焼き尽くす「火」の記憶は、両親に対する「自分の子供にホロコーストのようなことをするのはなぜ?」という思いと結びつき、強烈なトラウマとなって、後々、何十年も私の中に残り続けました。

「なんで、普通にできないんだ!」

父親からは何度もそう叱責されました。
父の言う「普通」とは、平均的に勉強をして、いい学校に進み、いい会社に就職し、いい条件で結婚すること、だったのです。

そんな父親の期待に反して「漫画家になりたい」と言い出すなんて、私という子供はどれほど「道を外れて」見えたのでしょうね。

「のぞみが普通にしないのは親への反抗心」と決めつけた父は、怒りのあまり、数日、寝込んでしまったこともありました。(ほらね、ここでもワルモノにされています)

しかし……
「普通に生きて欲しい」という願いの底に、どれほどの親心があったとしても、子供がそれをできないのなら、そこに「その子には無理」「その生き方はその子に向いていない」という歴然とした事実があるのです。
それを認めず、無視し、いつまでも「普通に生きるのが幸せなはず」と「普通であること」を強要しても、それは親のエゴ。無理にそんな道を歩ませようとしても、子供は決して自分で生きられるようになりませんし、まして幸せになれるかどうかもわかりません。

それに、ここがとっても大事なのですが、その時の私は、「両親が自分に無理やり "普通" を強要することがつらい」と思っていたわけではないのです。
なぜなら、ほら……概念がありませんから、「? 普通って、何? 何のこと?」だったわけです。なので、父の言うような "反抗心" で「普通でないようにしてやれ」と、意図的に異常な行動を取っていたわけではなかったし、「普通にしようとしてるんだけど、できない。そんな自分がツライ」とも思っていません。そんな自覚はありません。
自分では「これが自分にとっての普通だ」というような感覚しかないんです。

だから、こう思っていたのです。
「"私がお父さんの期待するような子供でないこと" が、寝込んじゃうほどにつらいの? それは私は悲しいよ」
そう。
「普通にできない」ことが辛いのではなく、「私が(私にとって)普通にしていると親が傷つく」こと、もっとはっきり言えば「生まれて来たのが私なんかでごめんね」と思わずにいられず、それが、辛くてたまらなかったのです。
自分が生まれた資質のままに生きることが親を不幸にしてしまっているのか、と、思うのは、この上なく悲しいことでした。

でもその時の私には、そういったことを認識もできませんでしたし、うまく整理して親と話し合ってみようとも思えませんでした。
なのでただただ黙って俯いているだけだったのです。

今の、60歳の私が、今の知見を持って、あの頃の自分に寄り添えるなら……

「お父さん、私をまるごと見て。悪意なんかないよ。お父さんに反抗しようとも思ってない。残念かもしれないけど私はこういう人間に生まれ付いたの。絵は描けるし作文もできるけど、お父さんが希望するような理想の子供じゃない。お父さんが期待するような "普通" のことはできないよ。だからね、"普通でないのぞみが、どう生きればいいのか" を、一緒に考えてくれないかな?」

そう、言いたいですね。

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